ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2006/06/24) C

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(Update:2006/06/29)

 

【高山植物】

今週に入り、高山植物の開花がだいぶ増えてきました。

 

キバナシャクナゲ(花)

先週から咲き始めたキバナシャクナゲは、今週に入って一斉に開花が始まりました。また、畳平周辺は、ここよりも少し遅れていましたが、遅れを挽回するかのように、開花しているものが目立つようになって来ました。

 

ハクサンイチゲ(つぼみ)

先週までころころとした小さなつぼみだったハクサンイチゲは、ご覧のように開花直前の状態になっています。キバナシャクナゲは畳平のほうが遅れていましたが、ハクサンイチゲに関しては、畳平のお花畑のほうが、すこし進んでいるようです。畳平のお花畑の様子については、あとがきB でお伝えいたします。

すべてが高山植物の自生地
微妙なバランスの上に成り立っている

大雪渓を少し離れて、道路沿いを歩いてみることにします。ノリクラに限らず、高山植物は時期が来れば、その高山植物に適した場所に芽を出すようになります。したがって、大雪渓エリアや畳平のお花畑だけでなく、道路沿いの道端にも見られます。

平地の道端の感覚からすると、これらの植物も「単なる草」と思われがちですが、標高2500メートル以上の高山帯は、気温・日照・栄養状態に大きな制限があり、高山植物しか自生できません。そして、その高山植物すら、ぎりぎりのラインで自生しているといってよいでしょう。

したがって、微妙なバランスが崩れることで、高山植物の植生に変化があらわれ、また、土壌の栄養状態が少しでも良くなれば、登山者の靴底についた種から平地の植物が進入することもあり、ノリクラの場合、シャトルバスを利用するため、平地から直接、高山帯に足を踏み入れることから、他の山岳地よりも平地の植物の進入の可能性が高く、より一層の注意が必要となるわけです。

ですから、肥料として用いられる硫安を、雪面硬化の目的で雪渓で使用することは、土壌の栄養状態を変化させることになりますので、絶対にしてはならないわけです。

 

ミヤマハタザオ(花)

その道端に咲いているのがミヤマハタザオ。北海道、本州中部以北と、大山など中国・四国地方の一部の山地帯〜高山帯の砂礫地や岩場に自生する多年草の高山植物。ご覧のミヤマハタザオは高さ15センチ程度と、前回、お伝えしたミヤマタネツケバナよりもやや大きめで、葉の形などが全く異なりますが、どちらも小さな白い花で、同じように見えてしまいます。

また、ミヤマハタザオは、大きいものだと、高さ30センチ程度になるものもあります。

ハイマツ帯の中をのぞいてみると...

高山植物にとってハイマツ帯は、山地帯で言うところの林床に相当し、ハイマツ帯を好む高山植物を見ることができます。

クロウスゴ(花)

クロウスゴは萼が裂けていない

ハイマツ帯を好む高山植物のひとつであるクロウスゴ(黒臼子)。北海道、本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の針葉樹林内や林縁に自生する落葉低木。クロウスゴは臼の底のようなくぼみを持つ実が特徴で、図鑑などでは、花の時期の画像よりも、実の時期の画像のほうが多い高山植物です。

同じツツジ科の植物で、よく似た、クロマメノキという高山植物があります。自生する場所、枝ぶり、実の色(暗紫色)などがよく似ていて、さらに、花も同じようなつぼ型で、花の時期も、実の時期も、見分けの難しい状態です。

しかし、細かく見ると、葉の形や花にもその違いを見つけることができます。クロマメノキは、萼(ガク)が大きく5裂に裂けているのに対し、クロウスゴは、裂けていない所に違いを見つけることができます。

小さな違いですが、クロウスゴとクロマメノキを判別する大きな違いとも言えるでしょう。

 

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