ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.8(2006/07/01) D
【高山植物】
コイワカガミ(花) |
キバナシャクナゲが満開を迎えていますが、肩の小屋付近では、このほか、花の時期を迎えている高山植物はこちらのコイワカガミ。昨年より1週間遅い開花です。
コイワカガミは北海道と本州の亜高山帯〜高山帯の草地・岩場・ハイマツ帯に自生する常緑の多年草。コイワカガミは、雪解け直後の高山植物の少ない時期でも、後ほど紹介する常緑樹のアオノツガザクラと一緒に姿を現します。
コイワカガミは茎にはまったく葉がなく、常緑なのに地上部が枯れる多年草ということは、ピカピカ光るコイワカガミの葉は、根生葉(こんせいよう)※であることがおのずと推測できます。
それでは、これから開花が期待される高山植物の様子も見てみたいと思います。
アオノツガザクラ(つぼみ) |
こちらはアオノツガザクラ。北海道と本州中部以北の高山帯の草地や岩場に自生する常緑低小木の高山植物。枝の先端から淡黄色の小さなつぼ型の花がいくつもぶら下がるのが特徴です。枝先からつぼみが出始めている様子が伺えます。
アオノツガザクラは大雪渓から肩の小屋に向かう登山道をカーペットを敷き詰めたように群生していますので、これから、必ず見かけることができる高山植物のひとつです。
コケモモ(つぼみ) |
こちらのコケモモも、これから花を咲かせようとしています。アオノツガザクラと同じように枝先に数個の花を下向きにつけるのが特徴で、ピンクから白の花がすずなりに咲きます。大抵の場合、図鑑などでは、すずなりに花をつけた、開花の状態しか載っていないので、これがコケモモであることが判別できないかもしれません。
ご覧のように、つぼみのころは、枝先に小さな実がいくつもlできているかのような付き方をしていますが、ころころとした小さなものが、一輪一輪の花に成長していきます。
ベニバナイチゴ(葉) |
二週間前、枯れ枝からぽつりぽつりと若葉が出始めたベニバナイチゴは、ご覧のように、全体を包み込むように生い茂っています。
ベニバナイチゴ(つぼみ) |
よく見ると、若葉に隠れるように青いつぼみができ始めているのがわかります。あと1〜2週間もすれば、真紅の花が気恥ずかしそうにうつむいて咲く様子が観察できるはずです。
【用語メモ】
※根生葉(こんせいよう) : 葉は一般的に地上にある茎から出てくるが、根から直接地上に出てくる葉のことをいう。したがって、多年草(※)のコイワカガミが、冬になり地上部がなくなっても、常緑の葉を持つ理由はここにある。ただし、正確には根から直接葉が出ることはなく、地表付近の茎から出ているとされている。
(多年草については、ノリクラ雪渓カレンダーVol.6 (2006/06/18) C の用語メモ をごらんください)
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