ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.8(2006/07/01) F

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(Update:2006/07/06)

 

【雪渓上部】

雪渓上部は、終日霧の中で、全景を把握することができませんが、雪渓上部を左右に分ける峰が先週よりも大きくなってきているようです。

 

雪渓上部右側のクレパス
開口幅は1.5〜2メートル

雪渓上部右側のクレパス
一部で段差が大きくなっています(高低差2メートルほど)

こちらはいつもお伝えしている、雪渓上部右側にあるクレパス。先週あたりから表面が崩れ始めましたが、今週に入って、垂直に落ちていた割れ目が、V字になってきています。ただ、開口幅はさらに広がり、大きなところでは2メートル近くまで広がっています。

また、右の画像のように、一部の箇所では、クレパスの上下に断面のズレが大きくなり、その高低差は2メートル近くまで達しています。雪渓下部のクレパスでは、変化が少なくなってきていますが、こちらのクレパスは開口幅や断面のズレがどんどん大きくなっています。

 

クレパスと雪渓上端との距離は30〜50メートルほど 氷柱

クレパスは雪渓上部右側全体を横断していて、上端からの距離は30〜50メートルほど。開口幅が広いため、スキーで滑り降りることは困難です。また、上端に近い付近では、右の画像のように、縦に並んで氷柱ができています。また、縦溝もはっきりしてきて、7月入ってバーン状態は極端に悪化しています。

 

雪渓上部右側 上端

雪渓上部右側の上端付近です。左の画像に雪渓上部を左右に分ける尾根が見えます。尾根の高さは2〜3メートルほどで、長さは20〜30メートルほど。雪渓下部は3週間ほど遅い雪解けの状態ですが、雪渓上部に関しては、昨年より1週間ほど遅い状況です。

先週までお伝えした稜線付近の雪解けと同じように、上部に関しては、下部ほどの雪解けの遅さはないようです。

スキーキャンプ

雪渓上部を左右に分ける尾根の下で、今年も基礎スキーのキャンプが開かれます。

 

ひたすら登って...

毎年、参加されている方から、今年初めての方までいらっしゃるとのことで、さすがに、毎年参加されている方は、登山用の合羽にゴム手袋と完全防備で挑んでいます。

 

ひたすら滑って...

この濃霧の中、指導者からはゴール間際の滑りしか見えない状態ですが、受講者はスタートからゴールまで、それぞれの欠点やテーマに即した動きに近づくよう、一本一本が真剣です。

 

一本一本丁寧にレクチャー

このキャンプで今年の冬のおさらいをする人。どうしても克服できなかったことにチャレンジする人。また、さらにスキルアップのために参加する人などさまざまだと思います。

動きのフォルムではなく、本質的な働きを捉えようとするスキーには、終わりはないのかもしれませんね。

かつてマイカー規制の実施される前までは、大雪渓に訪れる常連のスキーヤー・ボーダーにとって、大雪渓前まで車で訪れることができるようになる7月は、アクセスの利便性などから、本格的な夏スキーシーズンを意味し、大雪渓前の駐車場は、ドアも開けられないほどの混雑が、毎年、7月最初の週末には見られたものです。それだけ、7月最初の週末というのは特別なものでした。

今から思えば、車でやって来たころは、周りの環境変化にかなり鈍感でした。それでも、森林限界を超えた風景が下界とは明らかに違うことは肌で感じ、下界よりも居心地がよかったことは事実です。もしかすると、新しいものを発見しようとする貪欲さよりも、雰囲気として何かを感じることが、自然環境に関心を持つ第一歩なのかもしれません。

7月に入り、芳しくない天候が続く気配がしますが、雰囲気を楽しむところから、ノリクラの自然に関心を持って頂けたらよいのかもしれませんね。(この後、畳平のお花畑の様子は、あとがき で紹介いたします。)

 

【昨年の今ごろは?】

date:2005/07/03

昨年の7月1日は、国道158号線で、県道乗鞍岳線が合流する前川渡(まえかわど)から沢渡(さわんど)までの区間で、土砂崩れが発生し、道路が埋まった影響で、これからハイシーズンを迎える上高地に松本方面から向かうことができなくなりました。国道が不通になった影響から、岐阜と長野の通行が遮断され、観光バスについては、日中は県道乗鞍岳線−畳平−乗鞍スカイラインのルートが利用できるものの、大型トラックや高山と東京を結ぶ夜行バスなどは松本以西の通行が完全になくなり、糸魚川経由や中津川経由など、通常では考えられないルートをつかったようです。

また、普通車と新島々から沢渡に向かう路線バスは、普通車でもすれ違いが困難な、乗鞍高原から白骨温泉を経て沢渡に下りるルートを通行しましたが、ハイシーズンと重なり、大渋滞となっていました。また、普通車でも下手すると切り返しが必要となる「通称 Zカーブ」では、路線バスが脱輪するなどのトラブルもありました。

国道158号線の通行止めは、この後、7月末まで続き、7月の上高地の入山者数にかなり影響が出たようです。(→あとがきに続きます

 

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