ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.11(2006/07/22) D
【高山植物】
コイワカガミ(花) |
大雪渓エリアでは、最初のコイワカガミが咲き始めてから、3週間ほどが過ぎますが、雪解けとともに、いろいろなエリアで見かけることができます。こちらのコイワカガミは肩の小屋への登山道入口付近のもの。今が見頃です。
シナノキンバイ(花) |
先週、お伝えしたとおり、シナノキンバイは一斉に黄色の花を咲かせています。まだ、開花したばかりですが、翌週も鮮やかな黄色を見せてくれるか少し微妙なところです。
萼がない? |
シナノキンバイの黄色く見える花びらは萼(がく)であることは有名です。したがって、花を下から見たとき、存在するはずの緑の萼がなく、花茎からいきなり花が付いているように見えます。また、ハクサンイチゲも同じように、萼が花びらのように見える高山植物として知られています。
このように萼片が花弁に見える植物は比較的多く、チューリップなどは内側3枚、外側3枚の構成になっていて、内側の花被※は花弁(いわゆる花びら)で、外側の花被は萼が変化したものと言われています。また、アジサイは小さな花びらがいくつもありますが、それはすべて萼で、その中のさらに小さな花が咲きます。
シナノキンバイなどの雪田(せつでん)※を好む高山植物のほかに、ごつごつとした岩場を好む高山植物も観察することができます。
ジムカデ(花) |
ちょうどムカデが頭を垂れているように見えるジムカデ。北海道と中部以北の高山帯の草地や岩隙で見かけることができます。
大雪渓エリアの岩場では、同じ仲間のアオノツガザクラをよく見かけますが、花はそれよりもやや小さく、アオノツガザクラほど群生していませんので、少し見つけにくいかもしれません。ちょっとした岩の割れ目を注意深く観察すると見つけることができます。
【用語メモ】
※花被(かひ)・花被片(かひへん):
花弁(花びら)とも萼(がく)とも区別が付きにくい場合に用いられる。花被片は、それぞれ一枚ずつを指すときに用いられる。チューリップのように内側と外側の花被片がある場合、内花被片・外花被片と区別して呼ぶ場合もある。
※雪田(せつでん):
高山で遅くまで雪が残るエリアのことをさす。雪田は比較的フラットな平原である場合が多く、常に湿り気が多いため、多くの高山植物が雪解けとともに芽吹いてくる。ノリクラでは畳平のお花畑や室堂ヶ原、桔梗ヶ原、土俵ヶ原などが代表的で、数多くの高山植物を観察することができる。
雪田にはハクサンイチゲやミヤマキンバイなど、多くの高山植物を見かけることができるものの、ミヤマダイコンソウなど岩場を好むものや、コマクサのような砂礫地を好むものは、雪田では見かけることは逆に少ない。
大雪渓エリアは岩場が多く、雪田といえるかどうか微妙であるが、遅くまで雪が残り、雪田を好む高山植物と、岩場や好む高山植物の両方を観察することができる。
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