ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.16(2006/08/26) C

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(Update:2006/08/31)

 

【高山植物】

ウラジロナナカマド(実)

来月あたりになると、ウラジロナナカマドの紅葉の状況が気になり始めます。

現在の状況は、位ヶ原近辺のウラジロナナカマドでは、一部の実が赤くなり始めていますが、こちらの大雪渓入口のウラジロナナカマドは、まだ、青い状態です。状況によっては、来週あたりから実が赤くなり始めるかもしれません。紅葉はまだまだです。

アオノツガザクラ(花)

大雪渓の岩隙をよく見ると、小さなつぼ型の花が咲いている様子を見かけます。おそらく、高山植物に興味のない方でも、スキーヤー専用道脇にたくさん咲いているので、「あぁ〜これか〜」と、思い出すのではないかと思うくらいポピュラーな高山植物です。

 

アオノツガザクラ(花)
つぼみは立っていて、花は垂れる

アオノツガザクラ(青の栂桜)は、中部以北の高山帯の雪田や岩隙に自生する常緑低小木の高山植物。常緑ですが雪解けの頃は暗褐色のため、雪田をびっしりと覆い尽くしていますが、あまり目立ちません。それが初夏になると、群生地では緑の絨毯となり、クリーム色の小さな花を咲かせます。花をつけていないと、同じように岩場に自生するガンコウランやジムカデなどと葉の形状が似ていて見間違えますが、大きさなどが全く異なりますので、見慣れてくれば、混在していてもわかるようになってきます。ちなみに葉や茎の大きさは、アオノツガザクラ>ガンコウラン>ジムカデという順になります。

画像のアオノツガザクラは、ちょうど開花しだしたばかりで、花とつぼみが混在しています。登山道沿いのアオノツガザクラは7月上旬ごろから咲き始めますが、雪解けの遅い大雪渓では今が見頃。ご覧のようにつぼみの時期は立っていますが、花が咲き出すとその頭を垂れてきます。そして、また、実の時期になると、再び、頭を持ち上げます。

クロマメノキ(花)

こちらのクロマメノキも、大抵、6〜7月に咲き出す高山植物です。先ほどのアオノツガザクラと同様、大雪渓エリアでは開花が遅れています。「クロマメノキ(黒豆の木)」といわれるように、黒い実がなり、いわゆるブルーベリーと同じ種類の植物です。また、必ずクロマメノキと一緒に紹介されるクロウスゴ(黒臼子)もブルーベリーの仲間で、クロマメノキとクロウスゴは、木や葉の付き方や大きさなどが似ていて見分けにくいものです。

 

クロマメノキ − 萼が5裂に裂けている

クロマメノキとクロウスゴが、一番見分けやすい時期は、実の時期で、クロウスゴには、臼の底のような模様が出来ますので、一目瞭然です。また、花の時期もよく見れば、判別が可能です。ノリクラ雪渓カレンダーVol.7(2006/06/24)C で、クロウスゴの紹介の際にお伝えしたように、クロウスゴの萼は裂けていませんが、クロマメノキはご覧のように裂けていますので、花の時期でもよく観察すれば、判別が可能です。

 

チングルマ(実)

こちらは定点でお伝えしているチングルマ。先週の段階で実になっています。ただ、大雪渓全体ではまだ花をつけているものや、実になっているものなど、いろいろな状態のものがありますので、その推移を同時に楽しむことが出来るのも、エリアによって雪解けの時期に違いが生じる大雪渓ならでは現象です。以下の画像はすべて同じとき(8月25日)に撮影したものです。

 

@ チングルマ(花)

こちらはまだ花をつけているチングルマ。通常、この状態で1〜2週間は推移しているはずです。

 

A チングルマ(実) − 風車のような形状がチングルマ(稚児車)の由来

花が終わり、花柱がよじれた状態で残るようになります。このよじれた状態が、子供の頃によく遊んだ風車に似ているところからチングルマ(稚児車)と、言われるようになっています。ただ、このよじれた状態の期間はそれほど長くないので、定期的に見ていないと見逃すことも多々あります。

 

B チングルマ(実) − よじれた花柱が広がり秋風に漂う

そして、花柱は次第に広がり、秋風に乗って、飛んでいくようになります。このような綿毛の状態のチングルマはよく見かけ、ひらひらと風に揺られている姿を見かけると、夏も終わりに近づいていることを感じさせます。

 

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