ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2006/08/26) G
【雪渓上部 U 続き】
8月25日(金) − 誰もいない静かな雪渓 |
7月月からお盆くらいまでは、平日でも大雪渓を訪れるスキーヤー・ボーダーがちらほらいらっしゃいますが、さすがにお盆を過ぎると、訪れる人もなく、一時間に一度のシャトルバスの音や、遠く離れた肩の小屋への専用道を歩く登山者の声がはっきりと聞き取れるほどの静けさに包まれています。
そんな中、雪渓の中で、ひとり黙々と作業を進める人がいます。
コブ管理人 |
言わずと知れたコブ管理人ですが、週末に訪れるモーグラーが土曜日の朝から練習に入れるよう、毎週金曜日から現地入りして作業を行っています。
今回は3.5メートルピッチ |
コブ作成と言えども、きれいにターン弧を描く |
今回は3.5メートルピッチでの作成。コブでの滑走はコブの一番深いところにスキーを当てて滑るイメージを持っている方も多いかと思います。しかし、上のレベルを目指す方々にとっては、一番深いところだけでなく、その手前のコブの腹の部分でも加重させていけるかが大きなポイントになってきます。
コブは滑れば滑るほど、その形はどんどん変化し、コブの一番深いところしか加重しなければ、いわゆる「受けコブ」になって行き、コブの腹の部分を使うことがさらに難しくなります。したがって、最初から人工的にきれいなターン弧でコブの腹の部分を形成して、コブの腹をしっかり使う練習をする必要があります。
ですから、コブ管理人の作成したコブは定評があるのでしょう。
フォールライン上に一つ一つ印をつけて... |
雪渓上部左側は、一部、片斜面になっているところがあります。したがって、まっすぐ下に向かって作成したつもりでも、フォールラインからずれてしまうことがあり、ご覧のように、コブの弧の中心に、一つ一つ目印をおいて、フォールラインを確認しながら、作成していきます。
、
長さは25コブ | 作業を終えたら最終便で下山。 |
夕方までには25コブのラインができ、作業を終えて、最終のシャトルバスで下山します。今日は鍬とスコップだけで、スキー板は持参せずにコブ作りに専念されていました。(お疲れ様です)
8月26日(土) − モーグラーが集まる |
昨日作ったコブのラインにモーグラーが集まり、滑り込んで形を整えていきます。
角を落とすように滑り込めば感性です |
形はすでに出来ていますので、角を落としていく感じで滑り込めば完成です。
これまでのノリクラ雪渓カレンダーで何度もお伝えしておりますが、雪渓は、少なくとも1週間で高さ1メートル以上雪解けでなくなります。したがって、コブラインは毎週毎週作り直さないと維持できないわけで、週末のたった二日間のために、前日から現地入りして、終日作業を行うことは、なかなかできるものではありません。
第21回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 |
かつて、マイカー規制以前の自転車大会は、大雪渓の常連にとっても大きなイベントでした。大雪渓でスキー・ボードをすること以外に関心を寄せることがほとんどない中、自分たちのフィールドでこれほどまでの大きな大会が行われることは皆無で、スキーで滑走するのに必要だから登っているだけであって、あえて標高差1000メートル以上、距離20kmを連続して登っていくヒルクライムはかなり異次元のスポーツに感じていたことだと思います。
マイカー規制まではクルマがないとスキーなんてとても出来る状態ではないと考えていたものの、いざ、シャトルバスで通うようになると、以前とそれほど変わらない利便性でスキーを行うことが出来ることに気づき、また、下りだけ自転車でダウンヒルするスキーヤーも出てくるようになって来ました。また、大雪渓に訪れるスキーヤーの中でも、ヒルクライムする方も現れ始め、さらには、ザックにスキー板をくくりつけて、「チャリ&スキー」にトライする常連の方もいらっしゃるようになったほどです。
自転車でのヒルクライムに挑戦をはじめ、最初はいつになったらたどり着けるのかと、苦しみ以外に感じられるものが一切なかった状況から、、ビンディングからクリートをはずさず畳平に行けるようになって、「やれば何でもやれば出来るんだ〜」と、実感でき、マイカー規制がなければ、ノリクラがこんなに広くて、いろんなことが出来る場であることはわからなかったことだと思います。
【昨年の今ごろは?】
雪渓下部の雪は完全になくなり、先週まで滑走できた雪渓上部右側も滑走できない状態で、雪渓上部左側のみとなってしまいました。今年と同様、第20回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍が開催されました。今年よりもよく晴れて、さわやかな気候の中での大会でした。
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