ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.19(2006/09/16) C

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6  7  8

(Update:2006/09/21)

 

【高山植物】

ウラジロタテ(雌株・雄株)

大雪渓エリアは雪解けの状態によって、高山植物の生育の状況が大きく異なります。こちらはウラジロタデ。ちょうど開花の時期で、手前の赤い花をつけるものが雌株。奥のクリーム色の花をつけるものが雄株です。

ウラジロタデとオンタデは、ほとんど見分けが付きません。乗鞍全体では圧倒的にオンタデが多く、大雪渓エリアはウラジロタデが多いという話も聞きます。ただ、分布調査もかなり古い時代に実施され、同定には実験室レベルの分析を要することもあり、実際の分布状況は不明のようです。今回は、大雪渓エリアのものをご紹介しますので、ウラジロタデとしておきますが、オンタデである可能性もありますので、ご了承ください。

 

ウラジロタデ(紅葉) − 紅葉前の山肌をいち早く色づけてくれる存在

紅葉情報については、後ほどお伝えいたしますが、山肌を見ると、所々部分的に黄色く色づいている箇所があります。その大半はコバイケイソウとウラジロタデ(オンタデ)。ただ、ウラジロタデ(オンタデ)の紅葉は葉が枯れる途中段階といったほうが正解かもしれません。それでも、ウラジロナナカマドやダケカンバといった紅葉の主役が躍り出る前に、これらの高山植物がいち早く山肌を色づけてくれます。

本格的な紅葉前の高山植物の彩りは登山道脇がお勧め

前述のウラジロタデやコバイケイソウなどの高山植物の紅葉を間近に楽しむには、肩の小屋に向かう登山道がお勧めです。

 

コバイケイソウ(紅葉) ミクロの世界には高山植物の紅葉が

左の画像はコバイケイソウの紅葉。ご覧のように群生しているとかなり見ごたえのある風景です。しかしそれだけではなく、もう少しミクロの世界に入り込むといろんな高山植物の紅葉を楽しむことができます。

右の画像では三種類の高山植物が紅葉しています。
左の大きなカエデのような黄色の葉はモミジカラマツ。花はカラマツソウに類似し、葉がご覧のようなもみじのようなところから名づけられています。
そして、その上の暗紫色はクロウスゴ。今が一番きれいな色の時期だと思います。
さらにその右上の赤い葉はミヤマキンバイの紅葉です。

いずれも、バックにある常緑のアオノツガザクラとのコントラストが見事ですね。

イワギキョウ(花)

まだまだがんばって花をつけている高山植物もあります。大雪渓エリアでは、8月の中・下旬あたりから開花を見せるイワギキョウは、今年はやや開花が遅く、9月になってようやく見られるようになって来ました。

イワギキョウは花の時期が比較的長く、昨年は9月下旬まで見られました。今年はさらに遅くまで見られるかもしれませんので楽しみです。

 

水辺の岩礫地には...

ミヤマタネツケバナ(花)

雪解け水が岩場を流れ落ちるところには、湿った岩礫地を好むミヤマタネツケバナを見つけることができます。母種のタネツケバナ(種漬花)は、モミを水につけて田植えの準備をする頃、あぜ道など水辺に咲くところから命名され、本来、春に咲く花です。

高山植物のミヤマタネツケバナも大雪渓エリアでは6月中旬くらいから見かけることができます。(参照 : 2006シーズン ノリクラ雪渓カレンダーVol.6 2006/06/18 C

ただ、大雪渓のように雪解け水が絶えず流れる湿った岩礫地では、春に限定せずに、ミヤマタネツケバナを見つけることができます。このような環境は、ノリクラでは大雪渓以外では見つけることができないかと思います。

 

岩場のごく限られた箇所に群生

湿ったところを好む性格から、雪解けした箇所に次々と姿を現し、このように9月になっても見られることがあります。ただ、他の高山植物が生い茂るようなところには姿を見せず、岩場のごく限られた箇所で群落を形成しています。

 

<<Back | Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会