ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.20(2006/09/23) C

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(Update:2006/09/28)

 

【高山植物】

ミヤマキンバイ(紅葉)

速報 紅葉概況 で、今年の紅葉は昨年より1週間ほど遅れているとお伝えしていますが、ウラジロナナカマドやダケカンバの紅葉だけでなく、大雪渓エリアの高山植物の紅葉もやや遅れ気味です。

いつもの年なら、9月上旬ころから紅葉を始めるミヤマキンバイも、今年は中旬ごろになって、少しずつ紅葉しはじめ、今週に入ってようやく、赤さが増してきました。ただ、まだ、しっかりとした色合いにはなっていません。

 

イワギキョウ(花)

ミヤマキンバイなどの紅葉が遅れていることと連動するように、高山植物の散る時期も遅れているようです。よく見ると、まだ、つぼみがあり、これから咲き出そうとしているものさえあります。こちらのイワギキョウは、2005シーズン ノリクラ雪渓カレンダーVol.20 A に掲載しているものと、ほぼ、同じ個体のもので、時期も全く同じですが、昨年は、すでにほとんどのものが枯れています。

 

モミジカラマツ(花)

ミヤマアキノキリンソウ(花)

大雪渓エリアでもお盆過ぎに咲き始めるモミジカラマツ。大半のものは終わりに近づいてきていますが、中にはご覧のように、満開の株があります。例年だと、花は終わり、葉が綺麗に紅葉する時期です。

また、ミヤマアキノキリンソウについても、例年なら、8月末ごろから見頃の時期を迎え、この時期は実ができる頃です。今年はまだつぼみが残っているものもあり、花が終わって、実がなっているものはほとんどありません。

 

ハクサンボウフウ(花・実)

こちらはハクサンボウフウ。シラネニンジン、ミヤマゼンコなどとともに、セリ科の高山植物を代表する一つです。ちょうど、花の時期から実の時期に移行している最中です。

 

不稔花 − 結実しているもの、していないもの
根茎 −クマの好物

下から放射状に伸びた茎に、さらに小さく放射状に花がついていて、一つ小さなグループを作っています(小花序)。そのグループをよく見ると、外周部分の花は結実していて、小花序(※)の中心は、実をつけない花(不稔花)があります。

ハクサンは加賀の白山から由来し、ボウフウは同じセリ科の中国の薬草「ボウフウ(防風)」の根茎とよく似ていることから命名されています。ボウフウ(防風)はその名のとおり、「風邪を防ぐ」という意味合いから、現在でも、漢方薬の一成分として使用されています。

ハクサンボウフウの根茎は薬用に用いられることはなく、むしろ、人間よりも熊(ヒグマ)の方がよく採取しているようです(ヒクマの好物)。薬用のボウフウは春と秋が収穫の時期ですので、もしかすると、これからの時期はハクサンボウフウの根茎を狙って、出没する可能性が高いかもしれません。

ハクサンボウフウの自生付近で掘り返した跡を見つけたら、熊に要注意!ということになります。


【用語メモ】

※花序(かじょ) : 茎からどのように花がついているか、そのつき方を表す言葉(例:散形花序)。また、花の集合体のことを花序ということもある。ハクサンボウフウは小さな花の集合体(小花序)がさらに集まって、一つの花序をつくっていることから、複散形花序と呼ばれている。

※不稔花(ふねんか) : おしべ・めしべの成長が不十分で、結実できない花のこと。アジサイなどの装飾花がこれに該当する。

 

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