ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.21(2006/09/30) C

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(Update:2006/10/05)

 

【高山植物】

車道沿いのハイマツ帯

今日は大雪渓から少し離れて、車道沿いのハイマツ帯の林床を見てみます。

 

シラタマノキ(実) クロウスゴ(実)

こちらの二つはともツツジ科の高山植物。左のシラタマノキは真っ白な実ができ始めたところ。サロメチール臭(湿布臭)が香ることは多くの図鑑や雑誌に記載されています。そして、同じような場所にクロウスゴも実をつけています。こちらのクロウスゴはもう落葉が始まっていますが、クロウスゴとシラタマノキは、実の色や外見が全く異なっているので、実がなっているこの時期に、見間違えることはまずないでしょう。

しかし、花の時期はどちらも釣鐘型で、非常によく似ています。 ノリクラ雪渓カレンダー(2006/06/24) Vol.7 C では、クロウスゴの花を紹介しておりますので、参考にしてください。どちらの花も外見だけではほとんどわかりませんが、枝ぶりと葉の形をよく観察するとわかります。シラタマノキは地面から斜め上に向かって枝をだし、葉の縁がのこぎり状にギザギザしています。クロウスゴやクロマメノキの葉にはギザギザはありません。

花の時期にどちらがシラタマノキでどちらがクロウスゴなのか、一度、葉を見て選別してみてください。

 

ゴゼンタチバナ(実)

こちらはゴゼンタチバナの実。ノリクラではどちらかというと、位ヶ原や冷泉・魔利支天あたりの、もう少し標高の低いエリアで見かけることが多く、特に位ヶ原より低い針葉樹林帯ではごく普通に見かけることのできる高山植物です。もちろん大雪渓付近でも、亜高山帯の針葉樹林にかわって、ハイマツ林を覗くと、ご覧のようにその姿を確認することができます。

ノリクラ雪渓カレンダーVol.12(2006/07/31) E で花をつけたゴゼンタチバナを紹介しています。一輪の花から、複数の実がたわわになるのはちょっと不思議とは思いませんか?

ミヤマダイコンソウ(紅葉)

さて、エリアを大雪渓に戻し、こちらはミヤマダイコンソウの紅葉。例年、9月中旬ごろから赤く色づき始めます。今年もちらほらとは見かけていたものの、ここまで綺麗なものにめぐり合うことはなかなかできませんでした。

大雪渓付近ではウラジロナナカマドは、橙色までしか紅葉しないものが多く、真紅の紅葉は、ミヤマダイコンソウをはじめ、イワオトギリ、ミヤマキンバイ、チングルマなど比較的小さな高山植物や、大きくてもクロマメノキくらいに限られています。

 

大雪渓全体でミヤマクロスゲが小麦色に光りだす

そして、大雪渓エリア全体では、ミヤマクロスゲが小麦色に光り始めるようになってきました。いわゆる「草紅葉」と呼ばれる状態で、午後の日差しを浴びて、穏やかに輝く様子は、なかなか、見ごたえのあるものです。

 

トウヤクリンドウ(花) − 他の高山植物が紅葉を始めようとする頃ようや咲き出します。

周辺の高山植物が紅葉に身を染め始めると咲き出すのがトウヤクリンドウ。右の画像のようにミヤマダイコンソウが真っ赤に染まる隣に、真っ白な花弁に緑のストライプが特徴的です。

トウヤクリンドウは晩秋を代表する高山植物で、トウヤクリンドウが群生する様子を見かけるようになると、いよいよ、高山植物の季節も終わりに近づきつつあるといえます。大雪渓エリアでは、例年、9月中旬ごろの開花で、今年は少し遅れました。しかし、開花の遅いトウヤクリンドウの若葉は、ノリクラ雪渓カレンダーVol.4(2006/06/03) C のように、どの高山植物よりもいち早く芽を出しています。ノリクラ雪渓カレンダーVol.4(2006/06/03) C のトウヤクリンドウは、肩の小屋に近いところのもので、こちらはお盆くらいに花をつけていました。それでも、芽を出して、2ヶ月以上もたってから花をつける様子は、他の多年草の高山植物が、発芽から開花まで、短い夏を急ぎ足で駆け抜ける中、かなりスローな歩みかもしれません。

 

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