ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.25(2006/10/29) E
【高山植物】
ミヤマクロスゲ |
大雪渓エリアは完全に高山植物のシーズンを終えています。ハイシーズンには緑の草原のようなイメージだったミヤマクロスゲもご覧のように枯れ姿になっています。ただ、もう少し、時期が早ければ、このあたりもいわゆる「草紅葉」と呼ばれる、綺麗な小麦色になり、それはそれで、なかかな見ごたえのあるものになります。例年なら、多くの高山植物が花の時期を終わらせる9月上旬頃から見られますので、花と紅葉の狭間の時期に楽しめる現象ともいえます。
クロウスゴ | かろうじて残る実と冬芽 |
花の時期はもちろんのこと、紅葉の時期も、そして、実の時期も終わってしまった高山植物の中で、ちょっと目を引くのがこちらのクロウスゴ。これまでにも、季節の折に何度も紹介している高山植物です。ご覧のようにかろうじて実が残り、特に右の画像では、冬芽が成長している様子が伺えます。
他の高山植物が枯れた中、 |
もうすでにお分かりかと思いますが、枝が途中から赤くなっています。下部の茶色の部分が昨年の枝。そして、上部の赤い部分が今年伸びた枝先です。(前年枝・今年枝)。春先の芽吹き当初は、ご覧のような赤い色をしていて、実のなる時期は一旦褐色に近い色合いになっていましたが、葉が落ちて、再び綺麗な赤紫色に染まっています。
葉がなくなり、そして、周囲の高山植物も枯れ果ててしまった中、かなりよく目立つ存在です。
クロマメノキ |
そして、必ずクロウスゴと対比されるのが、同じツツジ科のクロマメノキ。
クロマメノキの冬芽 | 花(実)は前年枝につくのか、今年枝につくのか? |
こちらも今年の枝先にたくさんの冬芽ができているのがよくわかります。ただ、クロウスゴほど、赤くはなく、どちらかというと赤褐色といった色合いです。
クロマメノキについて調べてみると、花は今年枝に咲くと書いてあったり、前年枝に咲くと書いてあったり、相反する内容が散見いたします。しかし、実物をよく見てみると、右の画像のように、前年枝先端、つまり、今年枝の付け根に、実ができています。ですから、「今年枝に咲く」と書いてあっても、「前年枝に咲く」と書いてあっても、両方とも間違いではないかもしれません。もっとも、解剖学的にどちらの組織から派生しているか調べれば、確定できるのかもしれません。
クロウスゴにせよ、クロマメノキにせよ、今年枝・前年枝をしっかりと意識して観察するには、落葉したこの時期でないと、なかなか難しいかもしれませんね。
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