ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.3(2007/03/24) B

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(Update:2007/03/29)

 

【ツアーコース − 天候悪化】

ツアーコースをさらに進むと、それまで見えていた剣ヶ峰がすっかり姿を消します。ツアーコースは樹林帯の中ではあるものの、上部に向かうにつれて、風雪が強くなってきます。

通常、ここで考えられることは、樹林帯の中で風雪が強いということは、森林限界を超えればさらに状況は厳しくなるということです。天候の悪いとき、樹林帯の中よりも森林限界をこえたエリアでは、視界や風雪(風雨)が悪化することは夏場でも同様ですが、冬場はどこに行っても白一面で、夏場なら、地表の形状や樹木で簡単に現在地を判別できるようなところでも、かなり困難な状況になります。また、道に迷ってから、元に戻ろうとしても、自分の足跡が風雪でなくなり、戻るに戻れない状況もあります。

したがって、これから春山シーズンに入ってきますが、吹雪となれば、冬山に逆戻りの状況になります。よく訪れていて地形などをわかっているつもりでも、実際に白一色の世界に身をおいてみると、本当にその怖さを痛感します。

 

ノリクラは滑るところがたくさんあるから楽しい

こちらの方々もノリクラにはよくお越しになっているとの事。ノリクラは滑るところがたくさんあるから楽しいとか...今日のような日に出会う方は本当にノリクラを熟知された方ばかりのようです。

今回はこのあたりを少し歩いて、そのままツアーコースを下るとの事です。こんな日は無理をしないという適切な判断が肝心なようです。

 

この急斜面を登ると位ヶ原です。ザックに竹ざおを何本も挿してこの急斜面を降りてこられた方。帰りの目印にと竹ざおを立てながら位ヶ原を歩いて行こうとされましたが、「とてもそんな状況ではない」と、おっしゃり、この後、足早にツアーコースを滑り降りていきました。

 

位ヶ原

急斜面を登った先の位ヶ原は、ご覧のようにその先は右も左もわからない状況です。

 

 

【位ヶ原】

目印になるものがありません

位ヶ原に上がると、晴れて視界の良いときとまったく異なる光景となっています。ほとんどルートがわからない状態です。赤いリボンがついたダケカンバを見つけるとホッとします。ただ、ある程度の地形や位置を把握していなければ、この先どちらの方向へ進んでいったらよいかわかりません。

晴れた日の位ヶ原の状況を熟知していても、このような天候のときは、その経験はまるで役に立ちません。晴れた日は、遠くに見える剣ヶ峰、肩や小屋など、これから向かおうとするランドマークばかりに気がとられて、地形の細かな起伏の変化や樹木の位置などは把握しているようで、実際にはほとんど記憶にないことさえあります。

右の画像の奥には剣ヶ峰の山裾がすぐ近くにあって、晴れていればなんて事のないところでありますが、これ以上は無理と判断して、同じルートを引き返すことにします。

 

こちらの方々も安全を期してここで引き返していかれました。
「行けるところまで行って、ダメなら引き返せばいいや〜」と、単純に考える方もいらっしゃるかと思いますが、先ほど、晴れた時と状況を熟知していても役に立たないと申し上げましたが、それと同様に、登りの景色を覚えていても、下りはまた見え方が異なります。まして、スノーシュー・シールでの歩行スピードと、スキーでの滑走スピードに大きな差があって、移動距離感覚に差が大きく、下りは思っている以上に滑り降りてしまうことさえあります。また、登りの足跡をたどりながら降りるということは、吹雪の中では絶対に不可能です。

ですから、「いけるところまで行って、ダメなら引き返せばよい」という考えは捨てて、安全な圏内を出ないうちに引き返すことが重要です。

 

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