ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2007/05/19〜20) H
【雪渓上部】
雪渓上部全景 | 雪渓中段(魔利支天岳) |
雪渓上部は先週とほとんど代わりありません。また、魔利支天岳は雪付きの悪い西斜面に着雪が見られるものの、それ以外は大きな変化はありません。ただ、右の画像の雪面を見てお分かりのとおり、きれいにグルーミングされた冬のバーンコンディションです。
5〜10センチの新雪 | 自分の世界に入り込んで... |
大雪渓エリアは5〜10センチ程度の新雪が積もっています。午後になって、やや、重みが出てきましたが、5月も中旬過ぎということを考えると、そんな贅沢は言ってはいけません。どのスキーヤーも、自分の世界に入り込んで滑り降ります。
稜線をめざして... |
雪渓上部と同様、山頂付近も先週と比べて、大きな変化はありません。今日は多くの方が稜線を目指して登って行きます。右の画像は蚕玉岳と朝日岳の間の稜線を登っていく方の姿をご覧になれると思います。
ただ、この隣の剣ヶ峰と蚕玉岳の稜線からの滑走も含め、表面がパックされ、硬い状態のようで、ゴーゴーと板を鳴らしながら滑走されます。この音が斜面にこだまし、滑り出して、この音が山全体に響き渡ると、一瞬、何事が起こったのかと、びっくりするほどです。
【肩の小屋】
こちらは肩の小屋周辺。
深くえぐられた風紋 | 深さは30〜40センチ |
この付近は絶えず強い風の吹き抜けるエリアで、これまでにも深くえぐられた風紋を紹介いたしました。新雪の降った直後に強い風が大きな模様を作ります。
肩の小屋の周りは先週と比べて、20センチ程、積雪が増えています。
大雪渓に下りる登山道 − 先週の石は再び隠れました。 | 小屋東側の広場 − 全面を多い尽くすほどではありません |
左の画像は、肩の小屋から大雪渓に続く登山道に下りる箇所。先週、石が出始めましたが、ご覧のとおり、再び雪に覆われています。それでも、もっとも雪付きの悪い、小屋の東側の広場は全面を覆いつくすほどの積雪はなかったようです。これも降雪と風の力関係といえるでしょう。
樹氷 |
風との力関係を示すもう一つの現象がこちら。湿り気を含んだ風が絶えず同じ方向から吹きつけ、風上方向に向って成長します。大きさは大きいもので20センチ程度。
巨大な樹氷 |
50センチにも達します |
こちらは小屋のわきにある登山道を示す標識。巨大な樹氷(えびのしっぽ)が、張り付いています。大きいもので50センチにも達しています。昨日の天候のすごさを象徴しています。
小屋の屋根には全体的に積雪が見られますが、基本的な積雪量は先週と変わりありません。さほど風が強くないところでは積雪量が増加し、かぜの強いところでは、現状維持といったところです。
コロナ観測所 − ヘリコプターで荷揚げ |
かつては通年観測を行っていたコロナ観測所は、ここ数年は冬季の観測は行っていないようで、春になってから活動を開始します。今日は天候が安定し、ヘリコプターでの荷揚げが行われました。それと同時に、これまで無音だった大雪渓に、観測所の発電機のエンジン音がうなっている様子を耳にすることができます。
しばらくするとドームの開口部を太陽に向けて観測を開始することと思います。こんな光景もノリクラの春の風物詩といえるかもしれません。
【昨年の今ごろは?】
今回の積雪量は昨年の同じ時期どころか、その前の週よりも多いほどです。例年、乗鞍スカイラインはまだまだ安定した状態ではなく、5月20日(土)は悪天候で通行止めで、天候の回復とともに午後から運行を開始したものの、すぐに土砂降り状態になりました。そして、迎えた21日(日)は、今回と全く同様、きれいに晴れ渡った一日となりました。
これほどよく似た推移を見せるのは本当に珍しいことです。
<編集後記>
何年もノリクラに来ていますが、5月中旬を過ぎて、これだけの降雪になったことは、これまで経験がありません。このようなきれいな樹氷と銀世界を見せられてしまうと、あと2〜3週間で梅雨が訪れるなんて考えられない状態です。そして、岐阜県側の乗鞍スカイラインのシャトルバスと、長野県側の春スキーバスの両方が、19日(土)、20(日)の二日にわたって運休ということも初めてのことかと思います。そんな状態でも、歩いて楽しむことを知ってしまうと、それはそれでまた楽しいと感じてしまうものです。
なお、冒頭でもお伝えいたしましたが、諸事情により、次の週末は現地での取材を行うことができません。したがって、次のノリクラ雪渓カレンダーは、2週間後の6月2日(土)、3日(日)を予定しております。その間は、未掲載のコンテンツの編集・掲載や、サイトのメンテナンスを行う予定ですので、どうかこれまでと同様、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。なお、当日の速報については、何らかの形で更新したいと考えております。
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