ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.3(2007/05/27〜28) @

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(Update:2007/05/31)

 

【大雪渓】

今回は諸事情により、現地に出向くことができませんでしたので、現地特派員の撮影による画像をもとにお届けいたします。したがって、撮影機材や撮影箇所の違いなど、いつもの雪渓カレンダーとは異なっておりますが、ご了承ください。

3月からGWまでのプレリース版を含め、若干の変動はあるものの、これまで大きな変化をみせなかった大雪渓エリアは、この一週間で様変わりしています。特に、5月26日(金)の降雨が大きく影響しているようです。
これまでは山麓が雨でも位ヶ原から上部では降雪の場合が多く、また、一旦雨が降っても、数日後には雪が降り、バーンコンディションが回復する状況を繰り返していました。しかし、さすがにその状況も5月下旬に差し掛かると、雨による影響のほうが大きくなってきて、白一色だった大雪渓エリアも、数多くのハイマツのコロニーを確認するようになってきました。しかし、昨年よりもまだ白く雪に覆われたエリアのほうが多く、今年は標高の高いところでの積雪量の多さを物語っています。

そして、オープン初日以来、積雪凍結通行止めが続いた乗鞍スカイラインは、22日(月)を境に天候や路面状況が安定してきて、終日通行止めという日がなくなり、この週末も畳平経由で大雪渓入りした方もいらっしゃいました。

それでは大雪渓エリアの状況をお伝えいたしますが、いつものようなページ数・画像数はありません。状況を把握するには十分とは思いますが、何卒、ご了承ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【位ヶ原山荘から位ヶ原へ】
Page-2 : 【雪渓下部】     【雪渓上部、肩の小屋】     【昨年の今ごろは?】     <編集後記>

  

 

 

【位ヶ原山荘から位ヶ原へ】

5月24日(金)に降った雨で、県道乗鞍岳線は川のような流れとなり、所によっては小石も流出するほどの勢いでした。この降雨のため、位ヶ原山荘付近でも、一日で20センチほどの雪解けがありました。そして、翌日の25日(土)は、打って変わって青空の広がる晴天。最高気温も12℃まで上昇し穏やかな一日になりました。

今回、現地特派員から送られてきた画像は、26日(日)の夕方と27日(月)午前中のものです。26日(日)はやや下り坂の天候で肌寒く、山頂付近も雲に見え隠れする天候でした。

現地特派員が訪れたルートは、26日(日)の夕方に位ヶ原山荘から屋根板を登って位ヶ原から大雪渓周辺向かったものと、翌日の27日(月)は、山頂付近から大雪渓に滑り降りたものの2つのコースです。

まずは、位ヶ原山荘から屋根板周辺の様子をお伝えします。

 

屋根板方面 県道乗鞍岳線(位ヶ原山荘付近)

位ヶ原山荘から県道乗鞍岳線を少し歩いたところが左の画像。いつも屋根板周辺をお伝えする画像とほぼ同じものですので、お分かりかと思います。正面に富士見岳を見ることができます。その山肌がかなり露出している様子がわかります。
また、手前に写る県道沿いの雪の壁もかなり低くなり、先週まではなかった、路肩のガードレールを確認することができます。

右の画像は屋根板への登り口から少し上がったところより県道乗鞍岳線を見下ろしたもの。こちらでも先週はなかった法面の露出が確認できます。

 

屋根板 − 最初の急斜面

屋根板はこの急斜面を登って、一旦、平坦なところに出て、そして、夏道のある急斜面の部分を再度登ると宝徳霊神バス停付近にでて位ヶ原に達します。ご覧の登り始めて最初の急斜面は、先週、ダケカンバの樹氷が見事な輝きを見せていたところですが、その面影はもうありません。(→ ノリクラ雪渓カレンダーVol.2(2007/05/19〜20)E 【屋根板は冬化粧】 )、また、部分的に地面が見え始めているところあります。

 

急斜面を上りきって平坦なエリアに
−谷向こうの山肌は胡麻塩のよう−
雨水の流れで縦溝ができる

先ほどの急斜面を登りきると、ご覧のような平坦なエリアに出ます。左の画像のように、雪解けのため、木々が多くなり、雪肌が胡麻塩のような状態になっています。

また、雪面に雨水が流れると、右の画像のようにその流れに侵食されて縦溝ができます。これからの時期、雨の降った後は、このような状態の雪渓をよく見かけることができるようになります。そして、さらに時期が過ぎると、スプーンカットといわれる夏の雪渓特有の状態になってきます。

 

雪解けとともに木々が起き上がってくる

撮影箇所が若干わかりにくいかもしれませんが、前述の平坦なエリアから一段上を見たところ。中央の少し右寄りに崖がありますが、この付近が夏道で、ここを上がると宝徳霊神のバス停にでます。

崖から下のほうに目を移すと、シラビソ・オオシラビソと思われる針葉樹が横になっているのがわかります。これまで雪の下で眠っていた木々が、雪解けとともに起き上がろうとしています。
別の言い方をすれば、1メートル程度の雪解けでも、数メートルの木々がいたるところで起き上がってきますので、少しの雪解けで、かなり多くの木が出現し、全体的には先ほどの胡麻塩のような光景となるわけです。

 

位ヶ原 − 除雪で分断されています ハイマツ帯の脇にはキバナシャクナゲがつぼみをつける

先ほどの急斜面を登って位ヶ原にでます。県道乗鞍岳線の除雪作業は、大雪渓駐車場の約500メートル手前の4号カーブまで進んでいます。そして、ご覧のように県道乗鞍岳線の除雪で位ヶ原は分断されています。したがって、大雪渓からツアーコース方面に向かう際には、画像のさらに右側から、後述する4号カーブの上をまくように滑り降りる必要があります。ただ、ツアーコースの下部は藪漕ぎが必要です。

また、位ヶ原もハイマツ帯もその高さが目立つようになり、ハイマツ帯の脇にはキバナシャクナゲの木を確認することができます。よく見ると、葉の中心につぼみがついている様子が伺え、あと数週間すると、透き通るような淡い黄色の大輪を咲かせます。

キバナシャクナゲは他の高山植物に先駆けて、花を咲かせますので、ハイマツ帯を見かけたら、肉厚の常緑の葉をつけたキバナシャクナゲを見つけてください。大きな花ですから、その肉厚の葉の中に淡く咲く様子を見つけることができるはずです。

キバナシャクナゲの花の時期は、大雪渓沿いの登山道など雪解けの遅いところでは7月以降も見つけることができますが、おおよそ6月中旬から6月下旬が見頃です。

 

大雪渓に向かって

それでは続いて大雪渓の様子を紹介します。

 

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