ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.3(2007/05/27〜28) A

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(Update:2007/05/31)

 

【雪渓下部】

ここからはいつもご紹介している大雪渓の様子をお伝えいたします。

左の画像は大雪渓入口から雪渓下部を撮影したもの。一週間の間に大きな変化を見せています。先週は肩の小屋口バス停の先端部分が数センチ見えている状況でしたが、案内板の部分まで雪解けしています。また、左の登山道を示す標識も、登山道を表示する木板とさらにその下にあるスキーヤー専用道を表示する木板の部分まで雪解けが進んでいます。

バス停、登山道標識、二つとも、40〜50センチ程度の雪解けです。夏場では一週間で1メートル以上の雪解けは珍しくありませんが、この時期で、50センチの雪解けはかなり多いほうです。

 

大雪渓入口の看板
=50センチの雪解けで昨年並みまで減少=

2006ノリクラ雪渓カレンダーVol.3(2006/05/21)F

左の大雪渓入口のすぐ左の看板付近は、先週まで全くハイマツ帯を見ることができませんでしたが、ご覧のように看板の後ろ側には、ハイマツ帯がかなり出現し始めました。先週は看板の下端部分まですっぽりと雪に覆われていたものの、ぼっかりと空いています。こちらも先週から50センチ程度の雪解けです。この大幅な雪解けにより、これまで、昨年よりも多い積雪状態を推移していましたが、この付近に関しては、昨年とほぼ同じ状態になってしまいました。

 

魔利支天岳 − 頂点から手前に延びるハイマツ帯が出現

いつもと角度が違いますが、こちらは魔利支天岳。頂点から左下に伸びる稜線がコロナ観測所に通じる部分。ここは以前から雪付きがあまり良くありませんので、ハイマツ帯や岩場が常に露出している状態でしたが、頂点から手前に見えるハイマツ帯は先週までほとんどなく、この付近に関してもかなり雪解けしていることがわかります。

 

トイレ前 − この付近の雪解けがもっとも目立つ 50センチから1メートルの雪解け

こちらはトイレ前の駐車場の縁。先週は降雪で縁がほとんど隠れた状態になっていました。また、先々週は縁から50センチの幅でアスファルトが見えていました。そのときの駐車場部分の雪面と、その下部の雪面との段差は高いところでも50センチに満たないものでした。

それが左の画像のように1メートル近い段差となっていてかなりの雪解けです。

 

位ヶ原と県道乗鞍岳線 4号カーブまで除雪完了
=ツアーコースへはこのカーブの上から左方向へ巻いて行く=

左の画像は大雪渓付近の県道乗鞍岳線と位ヶ原の全景です。先週までは部分的にハイマツ帯が見えていましたが、今週はご覧のように位ヶ原を全域にわたって、ハイマツ帯が横断しようとしています。また、大雪渓付近の県道乗鞍岳線は、まだ、除雪が進んでいませんが、ご覧のようにはっきりとその軌跡がわかります。

右の画像は大雪渓駐車場から県道乗鞍岳線を500メートルほど下りたところにあるヘアピンカーブで、通称「4号カーブ」と呼ばれているところです。先週は4号カーブの数百メートル手前まで除雪の重機が入っていましたが、アスファルトが出るまで除雪は行われていませんでした。今週はご覧のように4号カーブまで完全に除雪が終わっています。

先ほども申し上げましたが、4号カーブまで除雪が完了すると、位ヶ原は路面で完全に分断されますので、山頂・大雪渓方面から位ヶ原を経由してツアーコース方面に滑り込むには、右の画像の4号カーブの上までトラバースしてから、カーブを巻くように左方向に下りて行きます。
4号カーブからツアーコースに戻るには、カーブを曲がって、そのままツアーコース方面に滑り出すのではなく、そのまま、県道沿いに200〜300メートルほど進み、ツアーコース方面に伸びる緩やかな沢筋の反対側(伊奈川の右岸)に出てから、ツアーコース方面に向かったほうが確実でしょう。

また、濃霧の日などは、道路に滑落しないよう、注意が必要です。

 

 

【雪渓上部、肩の小屋】

蚕玉岳〜朝日岳稜線付近

こちらは蚕玉岳と朝日岳の稜線付近を大雪渓の上端付近から撮影したもの。左側に見える蚕玉岳の山肌が、先週と比べて、かなり雪解けしている様子が伺えます。

 

クレパス − 稜線から滑り降りて大雪渓入った所 深さ70センチ、幅30センチ − 濃霧の時は十分注意が必要

蚕玉岳と朝日岳の稜線から滑り降りると、雪渓上部左側の一番左端に入ってきます。ちょうど、その付近にハイマツ帯が見え始めています。ここから、大雪渓に向かって急斜面になってきます。
左の画像のように、この付近には大きなクレパスが発生しています。深さは70センチ、幅は30センチ程度です。例年、この付近には巨大なクレパスが発生しますので、特に珍しいことではありません。この後、さらに大きくなってくることが予想されますので、稜線から滑り降りてきた際、濃霧の時などは滑落に注意が必要です。

 

肩の小屋付近 − ハイマツ帯が伸びてきている こちらでもクレパスが発生

こちらは肩の小屋付近。左の画像はコロナ観測所のある魔利支天岳から肩の小屋方面に伸びる斜面。濃霧の向こうに肩の小屋がかすかに見えます。

右の画像のように、こちらでもクレパスが発生しています。先ほどのクレパスもそうですが、おそらく、急激な雪解けによって歪みが生じて、発生したのではないかと考えられます。肩の小屋付近も、例年、クレパスが生じることが多いので、特別、珍しいことではありませんが、今後、雪渓下部などでも同様のクレパスが生じると、7月以降、モーグルコースなどで滑走エリアが分断されてしまう可能性もありますので、今後の推移が心配です。

 

 

【昨年の今ごろは?】

date:2006/05/28

今週は劇的に積雪量が減りましたが、それでも、昨年に比べれば、上部付近を中心にまだまだ積雪量の多い状態です。天候はかなり不安定で、ほとんど濃霧の天候が続いたため、撮影は霧の晴れ間を待って、一瞬を狙う必要があり、主要ポイントの撮影には、二日とも同じルートを回ってようやく完了することができたほどです。

 

 

<編集後記>

長年にわたって、一年の半分近く、雪渓カレンダーを毎週お届けするには、取材日の調整など、諸々のやりくりが必要です。しかし、今回のようにどうしても都合のつかないこともあります。したがって、今回は雪渓カレンダーの掲載は見送るつもりでしたが、現地特派員ががんばって撮影して来てくれたおかげで、現地の状況把握ができるレベルの画像を得ることができたため、お届けすることといたしました。

現地特派員は当WebSiteの熱烈な読者の一人で、こちらからの要望などを快く受けてくださり、数十枚にわたる画像を撮影してくれました。お礼申し上げます。
また、当WebSiteは今回のような撮影協力してくださった現地特派員をはじめ、大雪渓などで出会った方々が気軽に取材に応じてくださったり、また、色々な方々が応援してくださることで、成り立っていると考えています。

今回は2ページだけの掲載ですが、このような事情での掲載ですので、ご了承くださいますようお願いいたします。来週は、再び現地にて取材活動を行う予定です。

 

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