ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.12(2007/07/28〜29) D

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6  7  8

(Update:2007/08/02)

 

【高山植物】

登山道入口 − きれいに咲き誇る高山植物にふと足を止めます

今週に入って高山植物の種類がますます増え、特別探さなくても普通に見られるようになって来ました。登山道の脇に咲き誇る高山植物に足を止めてみる...そんなちょっとした余裕がほしいものです。

 

コイワカガミ(花) ショウジョウバカマ(果)

登山の人の足を止めさせているのはコイワカガミ。今日のような濃霧の日でも蛍光ペンのようなきれいなピンクを見せてくれます。きらきらと輝くような花弁とは対照的に日差しのない今日は丸い肉厚の葉には輝きはありません。コイワカガミ(小岩鏡)は常緑の多年草で雪解けの中から濃い紫の葉がきらきらと輝く様子が印象的です。その後、日が当たるようになってくると緑色に変わってくるようですが、岩礫地などに張り付くように自生するコイワカガミの葉が鏡のように光るところから、イワカガミ(岩鏡)と呼ばれています。花がかがんでいるように見えるところが名前の由来ではなさそうです。

そしてコイワカガミよりも一足先に咲く早春のピンクの花といえばショウジョウバカマ。ご覧のようにすでに花は終わって、果ができています。花が咲いていた頃の茎の高さは左の画像のコイワカガミよりももう少し高い程度で10〜20センチほど。ところが花が終わっても茎はさらに伸びて、こちらのショウジョウバカマは30センチ以上になっています。この状態はしばらく観察できますので、きれいな花ばかりではなく、花の終わった高山植物の様子もぜひ観察してみてください。

 

ミヤマダイコンソウ − つぼみ

そしてコイワカガミの隣には大きな葉をつけたミヤマダイコンソウが出番を待っています。長く伸び始めた花茎にはつぼみができています。ミヤマダイコンソウが咲き始めると夏本番を迎えたと思ってもよいくらいです。

 

登山道脇に咲く高山植物 コバイケイソウ(左)とシナノキンバイ(右)

こちらは三週間前のノリクラ雪渓カレンダーVol.9(2007/07/07〜08)C からお伝えしている登山道入口付近のコバイケイソウとシナノキンバイ。ご覧のようにシナノキンバイは見事に開花しています。

コバイケイソウは毎年花をつけないことで有名で、三年前と二年前の大雪渓のコバイケイソウは連続して花をつけましたが、昨年は花をつけませんでした。また、宝徳霊神バス停付近のコバイケイソウはすでに花をつけていますので、こちらのコバイケイソウも開花を期待したいところです。

 

シナノキンバイ(花) 花はオレンジ色の小さな突起状のもの

こちらのシナノキンバイは三週間前に芽が出始めたものの、そのときはまだシナノキンバイとはわからないほどで、二週間前はつぼみができ始めた頃になるとようやくシナノキンバイであることがはっきりしてきて、先週は開花し始めたところでした。そして、今週はきれいな大輪を咲かせています。これもまた有名な話ですが、黄色く大きくみえる5枚の花びらは花弁ではなくガクで、本当の花弁は長くまつげのように見える雄しべの下にあるオレンジ色のものです。

これだけ大輪の高山植物はあまり多くないだけに、花びらでないと聞かされるとちょっと残念ですね。ちなみに同じ黄色のミヤマキンバイの花と見比べてみた場合、ミヤマキンバイには緑のガクがあるのに対し、シナノキンバイはそれ自身がガクなのでありません、一度ひっくり返して観察してみてください。

 

ゴゼンタチバナ(花)

どちらかというと大雪渓よりも低い山麓で見かけることの多いゴゼンタチバナ。亜高山帯の針葉樹の林床などで見かけることのできる高山植物で、高山帯では条件のよく似ているハイマツ帯の中などで見かけることが多いと思います。

4枚の花びらも実は花びらではありません。今回は取材時間の都合上、拡大画像が撮影できませんでしたので、機会を見つけて再度ご紹介いたします。

 

先週のキバナシャクナゲ − それぞれつぼみをつけています

今週のキバナシャクナゲ(葉芽)

今週のキバナシャクナゲ(花芽) − 花芽だけがきれいに開花

すでに終わりかけているものもあるキバナシャクナゲ。上の2枚は先週の様子。大雪渓では残雪の影響からこれから花を咲かせるキバナシャクナゲもたくさんあり、ご覧のようにつぼみをつけています。

ただ、今週に入って同じキバナシャクナゲを見てみるとご覧のとおり...花をつけたのはふっくらとしたつぼみの花芽で、葉芽の方はこれからどんどんと枝を伸ばしてゆきます。

新芽は前年の夏過ぎにはできるそうで、その段階の日照などの条件によって花芽になるのか、葉芽になるか決まるようです。

 

訂正 − イワウメ(花)

こちらは先週コケモモと紹介しましたがイワウメでした。訂正してお詫びいたします。花が一輪ずつしかついていませんでしたのでそれが大きな特徴なんですが、最初からコケモモと思い込んでしまったところがいけませんでした。何年もやっていますが、なかなか難しいものです。

 

<<Back | Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会