ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.13(2007/08/04〜05) F

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(Update:2007/08/09)

 

【高山植物】

コバイケイソウ(花) 頂枝につく花と側枝につく花で構成されています

こちらはコバイケイソウ。毎年花をつけないことで有名ですで、大雪渓エリアでは三年前と二年前は花をつけましたが、昨年は花をつけませんでした。今年はこれからコバイケイソウの花の時期を迎えますが、どうやらしっかりと花をつける年となったようです。

右の画像をご覧になるとお分かりかと思いますが、小さな花が密集していて、真ん中にまっすぐ伸びる頂枝につく花と横に広がる側枝につく花の二つに分けられます。

 

頂枝の花は両性花、側枝の花は雄花

こちらはコバイケイソウの花の部分。よく見るとまっすぐ伸びる頂枝につく花と横に広がる側枝につく花には違いがあります。頂枝につく花の中心には緑色の雌しべがありますが、側枝につく花には雄しべだけです。

コバイケイソウは大型の高山植物に属し、近寄って見なくても十分楽しめますが、手が届くほどの距離まで近づけばこんな小さな発見ができます。朝顔の観察日誌をつけた子供の頃のようにじっくりと観察するのもよいでしょうね。

 

シナノキンバイ − 花は完全に散っています 実ができ始めています

こちらは先週満開を迎えたシナノキンバイ。どうやら花はほとんど散ってしまいました。左の画像をご覧になって「しっかり花びらが残っているじゃないか!」とお思いでしょうが、これまでにもお伝えしているとおり大きな黄色は花びらではなくガクで、、右の画像のようによく見ると花びらは完全になくなりおしべが数本残っていて実が大きくなり始めています。

花は散っても咲いているように楽しませてくれるところがうれしいですね。

 

チングルマ(花)

大雪渓エリアでこれからピークを迎えてくるのはチングルマ。「雪渓下部 U」のコーナーの石碑の岩のチングルマは終わりかけていましたが、エリアによって違いが見られます。これから雪解けが進むと登山道やスキーヤー専用道沿いのどこかで必ず咲いている高山植物です。

 

ゴゼンタチバナ(花) 総苞片の中にたくさんの花
=赤い実をつけるのはその中の両性花だけ=

こちらは先週の ノリクラ雪渓カレンダーVol.12(2007/07/28〜29)D で紹介したゴゼンタチバナ。白い四辺は花ではなく総苞片(そうほうへん)です。
右の画像で総苞片の中に10個以上の花を見つけることができます。秋になると赤い実が数個できますが、すべての花が結実するわけではありません。結実するのは黒く見える雌しべのある両性化だけです。

<苞(ほう)について> − ミズバショウ、ザゼンソウ、ミヤマタンポポ、セイヨウタンポポなど

今回ご紹介した苞(ほう)とは、つぼみを包んでいた葉のこといいます。あまり意識してみたことのない苞ですが、結構お目にかかっているものです。たとえばミズバショウの花を白く包む苞や、同じサトイモ科のザゼンソウの紫の苞は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれ、この苞がないと誰もミズバショウとかザゼンソウとは気づかないほど特徴的な形をしています。

またノリクラを含め高山では下界からの帰化植物が問題になっています。特にセイヨウタンポポは自動車のタイヤや登山者の靴などで持ち込まれて繁殖しています。花や葉の形状からはほとんど見分けがつきませんが、ガクの下にある苞の形状によって見分けることができます。
在来種のミヤマタンポポと帰化植物のセイヨウタンポポについては、折を見て紹介いたします。

 

ウラジロナナカマド

いつもは雪渓下部 Tのコーナーでおつたえしている大雪渓入口のウラジロナナカマドです。先週満開だった花はご覧のようにほぼ完全に落ちています。先ほどのゴゼンタチバナと同様、こちらも真っ赤な実をつけることは誰しもご存知だと思います。

 

コケモモ(花) 数輪ずつ花をつける

先週、イワウメとコケモモを訂正いたしましたがこちらがコケモモです。枝先に数輪ずつ花をつけます。また、枝ぶり(葉ぶり)がイワウメよりも高さがあって、地形に這いつくようなイワウメとは見た目の雰囲気が若干違います。

ゴゼンタチバナ・ウラジロナナカマドと同様、こちらも赤い実をつけます。

 

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