ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.18(2007/09/08〜09) D

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(Update:2007/09/13)

 

【高山植物】

登山道沿いも黄色に変化を始めています

雪渓下部のコーナーの魔利支天岳の山肌でも紹介いたしましたが、登山道の沿線でも所々で黄色になり始めています。

 

コバイケイソウ(紅葉) − 大雪渓エリアの紅葉はコバイケイソウから始まります

黄色に色づく正体はコバイケイソウ。大雪渓エリアの紅葉はウラジロナナカマドやダケカンバでもなく、このコバイケイソウから始まります。

 

高山植物のミクロな世界の紅葉が始まりつつあります

もちろんほかの高山植物だって紅葉に向けて準備を始めています。何の変化もなさそうに見えますが、丸い葉が紫になり始めているのはコイワカガミ。そして、その回りに少し黄色く変化を始めたモミジのような形の葉がモミジカラマツです。

このほかにも紅葉する高山植物は数多くあり、ダケカンバやウラジロナナカマドといったスケールの大きな紅葉に対し、大雪渓エリアのミクロな世界の紅葉といってもよいでしょう。

 

現在見頃を迎えているのはミヤマアキノキリンソウ

もちろんまだまだ花の時期が継続している高山植物もあります。こちらはミヤマアキノキリンソウ。県道乗鞍岳線の沿線などではすでに終わりかけているものありますが、大雪渓エリアでは今が一番見ごろ。現在、黄色の花をつけているものはこのミヤマアキノキリンソウをはじめ、少し終わりかけていますがウサギギクとミヤマダイコンソウも花をつけています。

 

オヤマリンドウ(花)

先週、つぼみの状態だったオヤマリンドウ。きれいな紫の花をつけています。

 

ほんの少しだけ開いているのがわかります

ただ、この状態が本当に咲いているといえるのかどうかはっきり申し上げられません。図鑑などではもう少し開いているものが一般的ですが、例年、この状態が限度です。

よく見ると真ん中のつぼみ(花)の先端がほんの少しだけ開いているのがお分かりになるかと思います。次週、開き具合に変化が見られましたら、再度ご紹介いたします。

 

トウヤクリンドウ(花) まだつぼみのものもあります

肩の小屋周辺など、他のエリアでは数週間も前から咲き始めていますが、大雪渓エリアではようやく咲き始めたトウヤクリンドウ。緑と白のストライプが特徴です。右の画像のようにまだつぼみの状態のものありますので、もう少し楽しめそうです。

トウヤクリンドウが咲き始めると、高山植物の花の季節は完全に終わりといってもよいでしょう。余談ですがトウヤクリドウは高山植物の中でもっとも遅い時期に開花しますが、どの高山植物よりも先に芽吹き始めるのです。そんな様子を ノリクラ雪渓カレンダーVol.5(2007/06/09〜10)B の最後に紹介しております。芽吹きから3ヶ月という長い期間をかけてようやく開花するトウヤクリンドウ。高山植物の厳しさを感じることができます。

 

大雪渓から離れて県道乗鞍岳線の沿線の高山植物も見てみます。すでに花の季節は終わっていますが、ご覧のように赤い実がなっている樹木があります。

 

オオヒョウタンボク(果) − 二つの実が合着している(有毒)

大雪渓エリアでは見かけませんが、こちらはオオヒョウタンボク(大瓢箪木)。その名のとおり、実がまるで瓢箪のような形をしているところからこのように呼ばれています。瓢箪のような形のこの実は、二つの実が合着してできています。ですから花の時期はちゃんと二つの別々の花が咲いています。

国立公園・国定公園の特別保護地区・特別地域では高山植物などの採取は禁止されています(正確には許可が必要)。したがって、オオヒョウタンボクの実を採取される方はいらっしゃらないかと思いますが、一般的には有毒であるとされていますのでご注意ください。

 

この時期、頻繁に見かけるホシガラス

この時期になるとハイマツ帯を行ったり来たりと急がしそうに飛び回る鳥はホシガラス。この時期にならないと見向きもされないのですが、ひしゃがれた鳴き声はいつも耳にすることができます。

一般的なハシブトガラスよりかなり小型で、カラスとは思いもよらない方も多く、この時期、頻繁に飛び回る様子が注目されるようになっても、ライチョウと間違えられることもしばしばです。(ライチョウの成鳥よりも小型です)

 

胸の白い斑点を星空にたとえて「ホシガラス」
冬に備えてハイマツのマツボックリを割って中の実を集めます

ホシガラスは胸のあたりの白の斑点が星のように見えるところから「星鴉」と呼ばれています。この時期、ハイマツの周りを忙しそうに飛び回るのはハイマツの実(マツボックリ)を集めるため。ハイマツからもぎ取った硬いマツボックリをクチバシで割りながら中の実を取り出します。

画像では足元でおさえたハイマツのマツボックリから取り出した実をクチバシに加えている様子がご覧になれます。これらの実はほお袋にいっぱいにためて、雪の積もらない岩陰などに蓄え、冬場の貴重な食料にしています。一生懸命集めて貯蔵されたハイマツの実も、食べられることなく、忘れられてしまうこともあり、それが次の世代のハイマツに育つこともあって、ハイマツとホシガラスの面白い関係がそこにあります。

 

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