ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.19(2007/09/15〜16) D

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(Update:2007/09/20)

 

【雪渓下部 U】

石碑の岩 石碑の岩の下部のバーン

こちらはモーグルコーススタート地点の岩の南側にある石碑の岩。周囲は6週間前の段階で完全に雪解けが終わっています。先週もお伝えしましたが、右の画像の石碑の岩の下部のハイマツ帯の縁にはウラジロナナカマドが点在し、紅葉の時期になるとハイマツ帯を縁取るように赤く染まります。

先週はほとんど変化がありませんでしたが、今週はウラジロナナカマドの緑が薄くなり始め、紅葉に向けた準備が始まっている様子がわかります。年によっては9月中旬頃から紅葉が始まりますが今年は若干遅めです。しかし、これからの時期はハイマツ帯の縁は見逃すことのできないシーズンとなります。

 

チングルマ − 一部紅葉が始まりました

こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。先週あたりから綿毛がほとんどなくなり、チングルマの季節は終わって締まったかと思いましたが、部分的ではありますが、赤く染まり始めている様子が伺えます。チングルマの紅葉は他の高山植物の紅葉よりも赤味が強く、最後の最後まできれいな状態を楽しませてくれます。

 

 

【雪渓上部 T】

雪渓上部全景 − 上は1週間遅く、下は比較する週がありません

雪渓上部の雪解けの状況はこれまでにもお伝えしているように昨年と比べて上端付近と下端付近では差があります。先週は上の方が0〜1週間遅く、下のほうが2〜3週間早い雪解けでした。

今週は上の方が1週間遅い状況ですが、全体的な面積や下の部分の位置はすでに昨年の最小面積を上回る雪解けを見せ、比較することができません。

雪渓上部右側 − ごく一部残っている。昨年とほぼ同じ状況

雪渓上部右側はもう完全に雪解けが完了したように見えますが、ごく一部だけ残っています。残っているのは雪渓上部右側エリアの中央付近で、この付近の積雪量は昨年と同じです。ただ、昨年はこの画像よりさらに下の部分に積雪がありましたので、正確に言えば、昨年よりも早めの雪解けといえますが、画像のエリアだけに限定すれば、昨年と同じ状況といえます。

 

猫の額ほどの積雪が分散 一番大きいもので11メートル × 4メートル

積雪は何箇所かに分かれて、本当に猫の額に近いほどの状態です。全部で4箇所に分かれていて、右の画像のものが一番大きいもので、横11メートル×縦4メートルほど。

 

積雪のなくなった時期から換算して平年よりも積雪量が多かったといえます

左の画像のものが一番上に位置するもの。もう来週には完全になくなっていることと思います。雪渓上部右側の積雪がなくなった時期は昨年はほぼ同時期ですが、2005年は今年よりも2週間早く、2004年にいたっては今年よりも4週間早い状況で、今年は平年よりも積雪量が多かったことがわかります。

 

 

【山麓から持ち込まれたオオバコ】

オオバコの調査にやってきました こちらにありますよ

さて、こちらの方はオオバコの調査にノリクラにお越しになりました。昨年、調査にお越しになったときには畳平でも確認できたそうですが、今年は畳平周辺は皆無の状態。そしてようやく見つけたのが大雪渓の駐車場付近とのこと。

オオバコの全草や種子は咳止めとして生薬(漢方薬)の原料とされることでも有名です。

 

オオバコ

オオバコ(大葉子)はシャゼンソウ(車前草)とも言われ、車の通る道端に生える雑草です。車に踏まれて他の植物がどんどん少なっても車前草だけは残ってゆくという非常に強い雑草です。乗鞍高原の道端を見るといたるところに自生していることがわかります。もともと山麓の植物で大雪渓周辺にとっては、セイヨウタンポポのような外来種に相当するものです。山麓のオオバコの種が登山者の靴や自動車のタイヤなどに付着して進入し、人通りの多いところを中心に自生しているようです。

ノリクラではオオバコ以上にセイヨウタンポポやオオハンゴンソウといった外来種の進入が問題となり、畳平周辺では乗鞍美化の会が中心となって除草作業を行っています。畳平周辺は国立公園の特別地域に指定されていますので、外来種といえども「植物の採取」に相当するため、許可が必要となります。したがって、採取(除去)する種類や採取(除去)方法まで細かく規定されているようです。ただ、除去の対象にオオバコはないようですので、昨年よりオオバコの数が減ったのであれば、やはりマイカー規制などによる好影響が出ているのかもしれません。

 

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