ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.5(2008/04/19〜20) B

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(Update:2008/04/24)

 

【ツアーコース U】

位ヶ原へ登る急斜面 − まったく視界はありません

こちらはツアーコースから位ヶ原に上がる最後の急斜面付近。ご覧のように視界はほとんどありません。この状態ですので、これ以上先に進む方はまずいらっしゃらないと思いますが、ここから位ヶ原山荘へ向かう方は右に写る樹林帯に沿って登っていってください。そうすると途中から赤いリボンが枝に結ばれています。

位ヶ原山荘へ向かう目印となる赤いリボンはこの急斜面の途中から右の樹林帯の中を20〜30メートル間隔で設置されていますので、霧のひどいときでも判別しやすいと思います。しかし、ツアーコース右端の樹林帯に結ばれる最初のリボンを見つけるためには、この樹林帯に沿って登って行かなければ、濃霧の中では絶対に見つけることはできません。ツアーコースに残されている多くのトレース跡はコースの中央にあり、それにしたがって登ってしまったため、「赤いリボンを見つけられず、位ヶ原に上がってしまった」という方もいらっしゃいました。

「濃霧の中で右端にある目標物を見つけるためにはコースの一番右側を歩く」という誰もが考え付く当たり前の行動に、その場で気付くことができなければ、山の中に立ち入る資格がないと考えなければなりません。

都会で「右側歩行」を守らなくても大きな問題とはならないでしょうが、この場で「右側歩行」を実行しなければ生命の危険が待ち構えています。

 

朝一番で登って行ったボーダーの方々

そんな中、朝一番で登って行ったボーダーの方々が降りてきました。位ヶ原山荘方面から車道を登ってきて、ここでボードを組み立てます。

 

ボードを組み立てる

二枚の板を張り合わせて、ビンディングを取り付けたら完成。

 

濃霧の中、バランスを崩すたびに大声がこだます

詰まり気味の湿雪と平衡感覚を失う濃霧の中、バランスを崩すたびに大きな声がこだまします。

この先、位ヶ原 − この状態では立入禁止

急斜面を登り、この先から位ヶ原です。

 

位ヶ原の赤いリボンは濃霧時は役に立ちません

先ほど、位ヶ原山荘に向かうための赤いリボンについてお伝えしましたが、位ヶ原内にもツアーコースへ戻るための赤いリボンが枝に結ばれています。また、所々で看板も設置されていますが、位ヶ原はすでに森林限界を超えていて、自生するダケカンバの樹木はかなり分散している状態です。したがって、赤いリボンがついていても、濃霧の時はその次のリボンを見つけることができず、このような状態では赤いリボンや標識を目安に登って行くことはできません。

特に位ヶ原からツアーコースに戻るとき、同じような地形の谷がツアーコースの南側にもあります(伊奈川)。濃霧の中を滑ると一番低い部分へと進みがちで、一番低い部分をそのまま行くと伊奈川へと入っていってしまいます。

先に進んだ方のトレース・シュプール跡を目標にすればよいと考えるかもしれませんが、そのトレースが正しいとは限りませんし、さらに天候が悪化して降雪ともなればそれすらなくなります。

したがって、このような条件下では特別な装備があって地形などを良く知っていない限りこれより先には進んではいけません。

 

【位ヶ原】

今日の位ヶ原は本当に人を誘い入れる悪魔のような天候を見せます。

 

空に開いた穴から怪しくのぞく太陽 − 変幻自在な雲が太陽にまとわり付く

完全にホワイトアウトだった上空の雲が激しく動き始めて空に開いた穴から怪しく太陽が差し込みます。太陽にまとわりつくように流れる雲は変幻自在に形を変化させ、消えては沸き、沸いては消えるそんな動きを繰り返します。

 

先ほどまでの状況がうそのように晴れ上がった位ヶ原は悪魔のとごく人を呼び寄せる

そして、それまでの天候がうそだったかのように位ヶ原はきれいな雪原の姿を現します。晴れ上がった位ヶ原はツアーコースから悪魔のように人を呼び寄せるのです。

 

しかし、こんなきれいな光景も一瞬のこと...

再びホワイトアウトの世界へ もうこうなったら帰ることもできません

再び元のホワイトアウトの世界が戻って来ます。雲が切れてはじめてからきれいな青空は15分も持ちませんでした。登山者をツアーコースから位ヶ原へ誘い込む魔性がここにはあります。
一瞬の青空に誘われて登って来てしまった登山者は後にも先にも進めない事態に陥ります。 Next

 

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