ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2008/05/24〜25) @

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6

(Update:2008/05/29)

 

【大雪渓】

これまでは山麓では雨が降っても位ヶ原や大雪渓など上部では雪で少なくとも霙が降る状態でしたが、今回は上から下までどこをとっても全面雨という天候が24日(土)の午後から25日(日)の夕方まで続きました。また気温が下がっても雨から雪に変化を見せなかったところが印象に残ります。24日(土)の午後から降り出した雨はしばらくの間は小降りの状態が続くものの、17時近くから激しい降り方を見せるようになります。この時点の大雪渓の気温は3℃でしたが、先ほど申し上げたようにこの気温にもかかわらず完全な雨です。夜になると風が加わり、時折吹く突風で位ヶ原山荘の屋根もあおられる状態が25日(日)の朝まで続きました。そのため、連続雨量が規制値を超えた岐阜県側の乗鞍スカイラインは朝から通行止めとなりました。それでも、長野県側の位ヶ原山荘行きの春スキーバスの始発便は通常通り運行され登りの乗客はゼロでしたが、昨晩山荘に宿泊された方々が、天候の回復が期待できない空を眺めながら春スキーバスで早々に下山されました。

まとまった雨が降ったバーンには雨水が流れ落ちることでできる縦縞模様がいたるところで見られ、これまではなんとか周期的に新雪が降ることで保たれたきれいなコンディションはその面影すらなく、完全に梅雨の時期の大雪渓と同じ雪質となってしまいました。

雪質が次の季節に移り変わるのと同時に、ツアーコースにおいても今回の大雨の影響から、多くの場所で広範囲に渡ってブッシュが出現して滑走できない状態となってきました。ツアーコースでの下山は一般的に考えると限界になって来ているといえるでしょう。

それでは5月24日(土)〜25日(日)の様子をお伝えいたします。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【5月24日(土)、観光センター】      【三本滝レストハウス】
Page-2 : 【かもしかゲレンデからツアーコースへ】
Page-3 : 【ツアーコース T】
Page-4 : 【ツアーコース U】      【位ヶ原】
Page-5 : 【5月25日(日)、土砂降りの朝】      【雨の降り続く屋根板】
Page-6 : 【雪渓下部】     【昨年の今ごろは?】      <編集後記>

  

 

【5月24日(土)、観光センター】

朝日

こちらは早朝の観光センター前。ご覧のように少し薄い雲が青空にたなびき、東の空から上って来た朝日に少し赤く染まっています。

 

ノリクラの稜線 − 白一色から徐々にまだら模様に

ノリクラの峰々も呼応するかのように一瞬だけでしたがピンクに染まります。これまで白一色だった山肌も徐々にまだらになってきて、高天ヶ原は先週よりも雪解けが目立つようになって来ました。そして自然保護センターの右に写る桜も先週までのきれいな姿から葉桜へ完全にシフトしています。

 

スモモ − 緑の若葉が目立ちます

先週満開だったスモモもかなり葉が目立つようになって来ました。ノリクラ雪渓カレンダーは一週間ごとにお届けしておりますが、花に限らず多くのもので毎週の変化が大きいことに気付かされます。

 

タンポポ − 外来種の侵入が問題に

こちらはタンポポの花が終わった後の綿帽子。種子が風に運ばれ次の新しい芽が育って行くことと思いますが、ノリクラをはじめ、高山植物の自生する山岳地域においてタンポポが大きな問題となっていることは良く知られた現象です。

特に問題なのが外来種のセイヨウタンポポで、日本古来のタンポポは花粉が雌しべに受粉するため虫の介在が必要であるが、セイヨウタンポポの場合は受粉しなくても種子を作ることができる単為生殖を行うことから繁殖力が強く、在来種を脅かす存在となっています。

本来なら外来種のセイヨウタンポポと高山帯に咲くミヤマタンポポの分布は異なっているはずですが、登山者の靴や自動車のタイヤなどを介在して、セイヨウタンポポが高山帯へ入り込んでその勢力を拡大しつつあります。

マイカー規制前は当たり前のように山麓から多くの自動車が入り込み、セイヨウタンポポの種子も多く運ばれてきたものだと思います。そして、現在も畳平などではセイヨウタンポポをはじめとした外来種の除去作業が毎年実施されています。

 

周辺の木々は先週と比べるとさらに緑が濃くなってきています。

 

きれいな青空にノリクラの峰々が浮かぶきれいな光景もここまで。この先は徐々に天候が悪化の傾向を見せて行きます。

 

【三本滝レストハウス】

三本滝レストハウス前駐車場 − 閑散と

こちらは7時30分の三本滝レストハウス前駐車場。先週の混雑状況とは大きく異なり、今日はこれから雨になる予報が出ていますので10台ほどしかお越しになっていません。

 

出発の準備

駐車された方々の大半は8時15分に出発する位ヶ原山荘行きの春スキーバスに乗車されるスキーヤー・ボーダーの方々で、皆さん出発の準備に取り掛かっています。

 

車掌 − 駐車場を巡回し乗車券販売

先週の混雑を少しでも解消するためか、今日は車掌自ら駐車場を回って事前に切符の販売を行っています。

 

そろそろバス停に集まり始めますが... のんびりと腹ごしらえ

8時を回る頃になるとバス停には乗客の方々が集まってくるようになります。今日の天候は午前中が勝負。皆さんそれを承知でお越しになっていて、ほとんどがよくお越しになる方ばかり...

バス停に人が集まり始めていますが、こちらの方々はのんびりと朝の腹ごしらえに夢中です(笑)。

 

春スキーバス到着

定刻よりかなり早い8時を少し過ぎた頃に春スキーバスがやってきます。三本滝バス停は土日はかなりの混雑を見せるため、増発車両が直接配車され、また、荷物などの積み込みに時間がかかることから、定刻よりも早くやってくることもあります。

 

「そろそろ下りも春スキーバスかな?」と、バスに乗り込む

いつもお見かけするこちらの方も「ツアーコースでの下山をあきらめ、今週あたりからそろそろ下りもバスかな?」とおっしゃりながら、始発便に向かいます。

 

今日も親子三人で

こちらのお子さんは今日はちょっと眠そうなお顔をのぞかせながらバスに乗り込みます。登りはお父さんの背負子ですが、今年から下りはちゃんとスキーです。こんな小さなうちから日常的に山に親しんでいると、自然と色々な感覚が身につくことと感じます。

 

乗車完了 − 発車時刻を待ちます

ほとんどすべてに乗客の方が乗り込み、後は定刻を待つばかり...

 

準備ものんびりと... 

いやいや、こちらの方はやっと準備が整ってバスに向かいます。今日のように人出が少なくあわただしさがないこともあってちょっとのんびり...

 

観光センターからの乗客を乗せた春スキーバスがやってくるのを待ち一緒に出発します。

 

今日は2台 − 位ヶ原山荘へ出発

2台の春スキーバスは位ヶ原山荘に向かいます。次第に青空がなくなって天候に不安がありますが、昨年までの朝の上り便と夕方の下り便の1往復から、朝・昼・夕の3往復になったことで天候が悪くなれば、早めに切り上げてバスで下山することも可能になり、そんな点では今日のような天候でも安心して現地に向かうことができるようになりました。 Next

 

Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会