ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2008/05/24〜25) E

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(Update:2008/05/29)

 

【雪渓下部】

ここからはいつものように大雪渓の様子をお伝えします。

 

5月24日(土)の大雪渓入口

5月25日(日)の大雪渓入口

こちらは大雪渓入口付近。左は初日(5月24日(土))の画像で、右は大雨の翌日(5月25日(日))のものです。一晩で10〜30センチの雪解けが見られます。雨による雪解けは太陽の日差し以上のものがあり、春先までは例年並の積雪量があっても梅雨末期の大雨で積雪量が一気に減少する年もあり、雨の影響は計り知れないものがあります。

 

昨年の大雪渓入口 − ほぼ同じ状況
2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.3(2007/05/26〜27)A

昨年の同時期の大雪渓入口付近の画像です。ほぼ昨年と同じ状況を推移していることがわかります。

 

登山道を示す標識が現れる − 昨年並み

そして先週あたりから登山道を示す標識の支柱の頭が見えてきましたが、ご覧のように標識本体も姿をあらわします。先週よりも50センチ程度は雪解けしていることがわかります。

 

「高山植物等の採取は禁止されています」などの看板が出始める − 昨年並み

登山道の右奥には「高山植物等の採取は禁止されています」などのお願いの記載された看板の頭が見え始めてきました。こちらに関しても昨年並みの状況です。

スキーヤー専用道脇のハイマツ帯 − 昨年よりも積雪量が多い

大雪渓入口から雪渓上部へはスキーヤー専用道を歩いて行きます。例年なら7月中〜下旬ごろになるとほぼ全面雪解けが終わります。こちらは大雪渓入口からスキーヤー専用道にむかって左側にあるハイマツ帯。ようやくその姿をあらわし始めました。

例年ならもっと広範囲にハイマツ帯が出現しているはずで、積雪量の多かった昨年でももう少し多く見られました。

 

雪渓下部全景

屋根板のところでもご紹介いたしましたが、雨水が流れた影響からバーン全体に縦縞模様ができていますが縦溝にはなっていないため滑走には問題ありません。それどころか水分を含んだ重たい新雪が完全になくなり、少しばかり冷え込んだこともあって滑走性のよいコンディションとなっています。

 

モーグルコースの岩 − 先週よりも50センチ以上の雪解け、クレパスはまだありません

先週当たりから出現し始めたモーグルコースの岩、先週よりも50センチ以上雪解けして高さは1メートルを越えて昨年よりも1週間ほど早い推移をみせています。昨年はこの付近から周囲にクレパスが走り始めましたが、今年はまだその様子はうかがえません。

 

トイレ前

こちらはトイレ前。先週よりも駐車場のアスファルトの面積が増えています。それでも昨年よりもやや多い積雪量です。

 

乗鞍スカイライン通行止めで、お昼の春スキーバスでお越しになりました

今日は大雪渓を訪れる方は皆無かと思いましたが、濃霧の魔利支天岳方面から滑り降りてこられました。乗鞍スカイラインのシャトルバスで現地入りする予定だったものの、通行止めのため急遽三本滝レストハウスへ移動して、昼の春スキーバスでお越しになったとのこと。

 

お昼を過ぎても一向に治まる気配を見せないこの天候の中をツアーコースで帰るか位ヶ原山荘に戻るか迷っていらっしゃいましたが、ツアーコースのバーンコンディションを考えると、今日は位ヶ原山荘に戻ってゆっくりされたほうがよいでしょう。

 

肩の小屋 − 昨年より1週間早い雪解け

こちらは大雪渓の上部にある肩の小屋。大雪渓は全体的に見て昨年並みかやや多い状況を示していますが、肩の小屋周辺に関しては昨年より1週間程度早い状況を見せています。

大雪渓や位ヶ原など全体的に見れば、例年よりもかなり多い状況であることは間違いありません。

 

【昨年の今ごろは?】

2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.3(2007/05/26〜27)

この日は諸事情により現地に出向くことができませんでした。長年ノリクラに通っていますがこのようなことも時にはあるもので、今回の雪渓カレンダーは中止の予定で進めておりましたが、熱烈な読者でもある現地特派員が特別に取材を行ってくださり何とか記事にまとめることができました。

これまでの中で雪解けによる変化がもっとも激しい一週間で至るところでハイマツ帯や木々が雪の中から現れて、まるで違う風景を見ているほどの変化をみせました。

 

<編集後記>

ツアーコースもそろそろ終わりの時期が近づいてきています。昨年の12月から約半年間、このツアーコースで現地入りしてきましたが、まだ雪が積もり始めた頃はブッシュが多く、特に位ヶ原に上がる最後の急斜面ではダケカンバの枝の間を縫うように歩いて行く必要があり、張りの強い枝を追い払うとまともに跳ね返りを受けて、顔やウエアは擦り傷だらけといった状態に悩まされたこともありました。もちろん12月も半ばを過ぎると軽い新雪を楽しむことができる日も次第に多くなり、1日に何本も滑走するゲレンデスキーとは異なり、冬の厳しい環境の中では1本滑ればもうそれで十分といったことも懐かしく思います。また、真冬の厳しい環境では思考能力が低下するものですが、そのときはさほど気付かないもので、春になって少しずつ穏やかな気候になり、活動しやすい環境になってきたときに始めてそう気付くものです。
厳冬期のツアーコースでは1日中歩き回っても人に出会うことのない日もありましたが、3月になると驚くほどたくさんの方が訪れるようになり、そんなところからも季節がどんどん移ってゆくことを感じたものです。
今後は、ゆっくりとツアーコースを歩きながら移り行く風景を楽しむことができなくなると思うとちょっと寂しい気持ちになってしまいます。やはり歩いて感じることが大切だと常々思っています。

次回のノリクラ雪渓カレンダーは岐阜県側の乗鞍スカイラインから現地入りする予定ですが、お知らせ でもご案内したように四ッ岳付近の落石により28日(水)から通行止めが続き、復旧は31日(土)午後となっています。状況によってはこれまでどおり、長野県側からの情報となります。

 

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