ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.4(2008/06/07〜08) B

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(Update:2008/06/12)

 

【肩の小屋】

こちらは肩の小屋

 

肩の小屋周辺 − 昨年より1週間早い雪解け

昨年の同じ時期は濃霧でしたので、肩の小屋の北側の積雪状況は比較することができませんが、こちらの南寄りの二つの画像は先週と同様で昨年より1週間早い雪解けの推移をみせています。

 

コロナ観測所 − 2010年3月観測終了

こちらは魔利支天岳の山頂付近にある国立天文台乗鞍コロナ観測所。すでに新聞などで報道されておりますが、2009年度末(2010年3月)で観測を終了します。コロナは太陽を取り巻く薄い空気で、太陽本体の百万分の一の明るさしかないため、観測には大気中の塵が少ない山岳地帯が適していますが、ノリクラの中でも一番展望が効き、冬季の移動に必要な中継地となる山小屋などの関係から魔利支天頂上が選定され、1949年に東京大学の東京天文台乗鞍岳コロナ観測所として開設されました。以来60年間、黒点やコロナ観測を続けてきました。

観測所建設前の試験観測で利用された旧陸軍の航空研究所は、一昨年まで営業していた畳平の乗鞍山荘の旧館として存在していましたが、昨年夏に取り壊され、乗鞍山荘本館も今年中には解体されるものと見られます。

ノリクラの歴史を一つずつ作ってきた施設が取り壊されたり閉鎖されて行く様子を見ていると寂しさを感じます。

高山植物

雪解けの進んだ箇所からはこれまで眠っていた高山植物たちが姿をあらわし始めます。

 

キバナシャクナゲ − つぼみは昨年よりさらに1週間遅い

こちらはキバナシャクナゲ。右の画像のようにつぼみを付け始めたものもありますが、まだまだ多くはありません。例年なら5月下旬にはつぼみを確認することができ、雪解けの遅かった昨年よりもさらに1週間ほど遅い状況を見せています。( 参考 → 2007ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2007/06/02〜03)  C ) 

 

常緑の高山植物
(コイワカガミ、コケモモ、シラタマノキ)

キバナシャクナゲ以外にも色々な高山植物が姿をあらわし始めます。ハイマツやキバナシャクナゲの葉は雪の中でも緑色を保っていますが、中にはご覧のように赤〜暗紫色に変色しているものもあります。この画像にはキバナシャクナゲ以外にぱっと見ただけで3種類の高山植物の葉を確認できます。(左下:コイワカガミ、右下:コケモモ、中央:シラタマノキ)

どれもこれから太陽の光を受けると徐々に本来の色彩に戻ってきます。

 

トウヤクリンドウ(新芽)

キバナシャクナゲやコイワカガミなどの高山植物は常緑ですから、冬になっても葉を落とすことはありませんので、雪解け直後からその姿を見つけることができます。ですから新緑ではありません。そんな中、多年草のトウヤクリンドウが今年の新芽を伸ばし始める様子を見つけることができます。太陽の光に誘われて一生懸命に芽吹きを始めた息遣いを感じさせてくれます。

 

肩の小屋前の雪原も雪解けが目立つようになり、先週までこの雪原からまっすぐ朝日岳のに向かって進むことができましたが、ご覧のようにそのルートはもうありません。

 

したがって、夏の登山道のルートから登って行きます。

 

【稜線へ】

肩の小屋から夏の登山道

それでは肩の小屋から夏の登山道上進んで行きます。肩の小屋の前の雪原を進み、朝日岳の山裾に差し掛かると右の画像のように積雪が一旦なくなります。

 

再び積雪 ここからアイゼンを装着

しかし、100〜200メートル程度進むと再び積雪となります。ここからアイゼンを履いて進むほうが良いでしょう。

 

先週の白一色から少しずつハイマツ帯や砂礫が現れ始めます

この先は稜線まで完全に雪の上を歩いて行きます。シールでも問題なく登って行けますが、位ヶ原や大雪渓よりも傾斜があるため、シールが確実にグリップしていることを確かめながら進んでゆく必要があります。そして、先週まではほぼ白一色だった雪面も右の画像のように所々でハイマツ帯や砂礫地が見られるようになって来ました。

 

今回(2008/06/07)の稜線直下手前 先回(2008/06/01)の稜線直下手前

ここをもう少し先にすすむと稜線直下に出ます。夏の登山道の杭が少し見え始め、この先からつづら折れの道に続いて行く所です。先週と比べて30センチ程度の雪解けであることがわかります。

 

大雪渓方面 − ハイマツ帯が目立つようになります

大雪渓方面もハイマツ帯が目立つようになり、これまでは肩の小屋を経由せずに登山道まで登ってくることができました。上部に差し掛かるとシールが効きにくいこともあり、できるだけ緩やかなルートをアプローチしたい所ですが、今週からはご紹介している肩の小屋からのルートか大雪渓を左上に進んで、蚕玉岳〜朝日岳の稜線を目指すことになります。

 

魔利支天岳 − 昨年より1週間早い雪解け

こちらは登山道のルートを振り返って望んだ魔利支天岳。先週と同様、昨年より1週間程度早い雪解けといえます。 Next

 

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