ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.5(2008/06/14〜15) @

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(Update:2008/06/19)

 

【大雪渓】

今回の二日間はこの時期としては申し分のない週末ではなかったかと思います。

梅雨前線が南の海上に下がり、大陸からの高気圧が張り出してきたこともあって、14日(土)は午前中よりも午後になるほど良い天候となりました。しかし、絶えず強い風と寒気が入り込み、山麓と畳平では10℃以上の気温差があって、終日に渡ってアウターが手放せない一日となりました。一旦は曇り空となったものの午後から透明感あふれる青空となり、それに呼応するかのよう早朝でも緩んでいた雪面が夕方近くになって締まり始めます。
翌日の15日(日)の朝はひんやりとした空気に包まれます。畳平では霜柱が立ち、雪解け水が凍っているところあり、昨晩の冷え込みを物語ります。昨日ほどではないものの日中になっても冷たい空気は若干残りますが、さえぎるもののない太陽からは強い日差しを打ち消して程よい気候を作り出してくれます。そんな冷たい空気に覆われるものの日中になると真夏に見られるようなややモクモクとした雲が青空に浮かび、梅雨の中休みどころか梅雨明け後のようなまぶしくコントラストの強い様相を呈したほどです。

真夏になれば青空に白い雲が浮かぶ様子は天気さえ良ければいつでも楽しむことができますが、それ眺めながら稜線からのロングランを楽しむことはできません。今回はそんな両者を同時に楽しむことができ、この時期としては貴重な晴れ間となりました。そんな二日間の様子をお伝えいたします。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月14日(土)、ほおのき平駐車場】     【乗鞍スカイライン】
Page-2 : 【畳平】     【畳平周辺】     【肩の小屋へ】
Page-3 : 【肩の小屋】     【稜線へ】
Page-4 : 【稜線】      【剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線】
Page-5 : 【6月15日(日)、大雪渓駐車場】     【雪渓下部】      【昨年の今ごろは?】      <編集後記>

  

 

【6月14日(土)、ほおのき平駐車場】

こちらは快晴のほおのき平駐車場。

 

畳平も晴 − 今日はAダイヤで運行

乗鞍スカイライン終点の畳平も晴れ上がっています。この天候ですから降水確率は40%以下です。したがって、通常ダイヤであるAダイヤで運行されます。

このときのほおのき平駐車場の気温は14℃。太陽が差し込み始めると陽の当たる面では暑さを覚えるほどの状態です。畳平との気温は14℃でかなりの寒暖の差があります。

 

出発の準備

この晴天にもかかわらず、今日の人出はまばら。これまではどちらかというと山スキーを主体とした方が多く見受けられましたが、ゲレンデスキーを終えた後、八甲田や月山など各地の春スキーのエリアを楽しみ、ノリクラで今シーズンの締めを飾るという基礎スキーの方もいらっしゃり、この6月は色々なジャンルの方がお越しになるシーズンでもあります。

 

6時55分、シャトルバス始発便

始発のシャトルバスは1台。乗鞍スカイラインのシャトルバスは始発は平湯温泉で、ごくまれではありますが平湯からの乗客が多いときはほおのき平駐車場の乗客がすべて乗車できない場合があり、次の便となる場合があります。

 

平湯温泉からの乗客も含めて約15名の方を乗せて畳平に向けて出発です。

 

【乗鞍スカイライン】

車窓には新緑がまぶしい

乗鞍スカイラインの車窓からはまばゆい新緑が目に飛び込んでくるようになってきます。

 

シラカバ(平湯峠までの旧道周辺) ダケカンバ(乗鞍スカイライン、平湯峠付近)

標高を徐々に上げるにしたがってその植生も少しずつ変化を見せ始めます。平湯峠までの急峻なつづら折れが続く旧道付近では左の画像のようなシラカバがまだまだたくさんありますが、平湯峠を過ぎて有料道路時代に料金所があった夫婦松までの区間ではほぼ完全にダケカンバに置き換わってきます。どちらも同じ仲間の木々で、ご覧の2枚の画像のようにまっすぐした姿を見せているとどちらとも判別しにくいものもあるようです。

 

ツキノワグマ − 捕殺で繁殖数の減少が懸念

こちらは車道から森に逃げ込むツキノワグマ。草食のクマはこの時期は新芽を食料とし、秋になればどんぐりなど木の実を冬眠に備えて捕食することは良く知られています。そんな広葉樹の多い森に生息しますが、ツキノワグマのほとんどは本州中部以北に分布し、九州では絶滅、四国でも絶滅が危惧されている状況です。

 

猫の小屋 − かなり雪解けが進む

こちらは猫の小屋のある標高2200m付近。先週の段階では車道左側の山肌は大半が雪に覆われていましたが、ご覧のようにほとんど積雪はありません。

 

猫岳山裾 − 徐々に展望が開ける 高山の町並みと白山

猫の小屋を過ぎて猫岳の山裾を回りこむと車窓の右側の展望が開けるようになってきます。右の画像では高山の町並みを眼下に眺めながら、目の高さには白山の白い頂を望むことができます。

今回は空気が澄んで山麓の町並みも一緒に楽しむことができましたが、重厚な雲海が一面を多い尽くして、そのはるか向こうに白山の頂がポツンと姿をあらわす光景も捨てがたい魅力があります。

 

烏帽子岳 雪の重みでダケカンバらしさが際立つ

森林限界を超えてまず最初に確認できるノリクラの峰は烏帽子岳。この付近ではご覧のようなダケカンバが見られます。積雪の重みでグロテスクに曲がりくねった幹や枝がダケカンバの特徴で、前述の標高の低いところのダケカンバとはその様相に大きな違いがあります。

 

四ッ岳カーブ −積雪は先週とほぼ同じ

乗鞍スカイラインでもっとも積雪の多い四ッ岳カーブは先週とさほど変わりありません。

 

鶴ヶ池大雪渓 − 6月下旬まで滑走可 烏帽子岳(左) −こちらからの姿形から命名される

四ッ岳カーブを過ぎて桔梗ヶ原を進むと岐阜県側で唯一滑走ができる鶴ヶ池大雪渓が広がります。長野県側の大雪渓と同様に積雪の多い状況で、今回もたくさんのモーグラーの方々がお越しになっていました。例年、滑走エリアにハイマツ帯が出現し始めると滑走禁止の措置がとられ、6月下旬ごろまで滑走できます。

今年はまだ当分滑走可能と考えられますが、滑走禁止の措置が講じられた場合にはお知らせのコーナーにてご案内する予定です。

そして、その鶴ヶ池大雪渓を振り返ってみると、三角にとがった頂を目にすることができます。先ほど紹介した烏帽子岳。全国に烏帽子岳はたくさんありますが、この姿形が烏帽子に似ているところから命名されています。

 

畳平に到着

そんな車窓を楽しんでいるとすぐに畳平に到着します。 Next

 

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