ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.5(2008/06/14〜15) D

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(Update:2008/06/19)

 

【6月15日(日)、大雪渓駐車場】

6月15日(日) − 昨日以上に良い天気

一夜明けて、翌日の6月15日(日)も梅雨を忘れた良い天気に恵まれます。

 

大雪渓駐車場 南アルプスに手が届く − 上空は澄んだ空気に包まれる

こちらは大雪渓前の駐車場。今日はどこから見ても遠景が手に取るようにはっきりとしていて、八ヶ岳から南アルプス、中央アルプスまでご覧の近さで眺めることができます。湿度の高いこの時期にこんなに澄んだ空気に包まれる日にはなかなか巡り会うことができません。

 

雪解け水が凍結しています

澄んだ空気に包まれると同時に冷たい空気に覆われたこともあって、雪解け水が流れる箇所ではご覧のように部分的に凍結しています。

 

9時前、春スキーバス到着 − 今日は3台運行

先週から大雪渓駐車場(肩の小屋口バス停)まで延長運行されるようになった春スキーバスが9時前に到着します。今日は3台が運行されて約100名ほどの方が乗車されました。

 

荷物の搬出に大忙し − 夏のシャトルバスと全く同じ光景

乗客の大半がスキーヤー・ボーダーの方々ですから、到着するとすぐにトランクから板の搬出が始まります。ほとんど夏のシャトルバスと変わらない光景が繰り広げられます。

 

登行の準備

大半の方が稜線や山頂を目指しますので、シールを貼るなど登行の準備が始まります。

 

スキーやボードで爽快に駆け落ちるのも楽しく、また、アイゼンでゆっくり風景を楽しみながら降りてくるのもまた別の視線があります。

 

先週に引き続き今日も... いつも楽しみにしてくださってありがとうございます

先週に引き続き今週もやってこられたボーダーの方々や登山の方々。いつもWebSiteを楽しみにされているとの感想をいただきました。雪山のシーズンは終わりに近づいてきますが、ノリクラは3000m級の高山であるにもかかわらず、広々とした雰囲気を持ち、それが雄大な景色を作り出しています。夏のハイマツの絨毯の美しさや秋の錦の広がりなどシーズンを通して楽しむことができますので、ぜひ、またお越しください。

青空の中を出発

少しばかり雲がわき始めましたが、きれいな青空が広がる中を出発します。

 

笑顔をふりまいて「行ってきます!」

山頂を目指す誰もが笑顔をふりまいて「行ってきます」と声をかけてくれます。

 

わき目も振らずに稜線目指して登って行く方や途中で腰を降ろしてのんびりと風景を楽しみながらゆっくり行く方などさまざまです。今日のような良い天気ならどんなエリアにいても楽しい一日を送ることができそうです。 

 

 

【雪渓下部】

ここからはいつものように大雪渓の様子をお伝えいたします。

 

大雪渓入口 − ほぼ昨年並み

大雪渓入口付近は先週まで積雪がありましたが、ご覧のように「高山植物等の採取は禁止されています」などのお願いの記載された看板付近まで雪解けが進んでいます。昨年とほぼ同じ状況です。

 

雪面は車道より50センチ下がる − 昨年よりやや雪解けが遅い

雪渓の高さは先週の段階で車道とほぼ同じでしたが、ご覧のように50センチほど低くなっています。昨年は1メートルほど低い状態でしたので、若干雪解けが遅くなっています。

 

トイレ付近 位ヶ原方面は滑走エリアが狭まる

トイレ付近は先週の段階で手前に見える排水溝の上部部分が見える程度でしたが、今週は完全に姿が出ています。位ヶ原方面はご覧のように少しずつ滑走エリアが狭まってきています。

 

今週から利用可能

トイレは今週からご覧のように開放されて使用できる状態になりました。また、肩の小屋近くにある公衆トイレも今週から利用可能です。

 

雪渓下部全景 縦溝は先週より小さくなる

雪渓下部のバーンは先週よりも若干縦溝が小さくなり、滑走そのものに大きな影響を与えるようなギャップはありません。

 

モーグルコースの岩 − 昨年とほぼ同等の雪解け

こちらは雪渓下部の上部にあるモーグルコースの岩。先週より30センチ程度と雪解けのペースが若干遅く、先週の段階では昨年より1週間早い状況でしたが、今週はその差が少なくなってきています。

 

先週のクレパスはなくなりました
−ここから雪渓下端まで145メートル−

モーグルコースの岩の付近にはクレパスがありましたが、その割れ目からハイマツが姿をあらわし、クレパスがほぼなくなっています。ハイマツ帯は徐々に下方へ伸びて、ここから雪渓の下端までは先週の150メートルから145メートルと若干短くなるものの、まだまだ問題となるほどではありません。

 

石碑の岩 − 昨年よりやや多い積雪

こちらはモーグルコースの岩から南へ100メートルほどのところにある石碑の岩。ちょうど雪渓下部の南端に位置します。先週と比べて50センチ程度の雪解けが見られます。

先週の段階では昨年とほぼ同じ推移をみせていますが、昨年はこの1週間で急激に雪解けしたため、今週は昨年よりやや多い積雪量となっています。

 

エア台とライン − モーグルの方々

稜線から一気に滑り降りる方ばかりではなく、エア台とラインを作成してモーグルの練習をされる方々もそろそろシーズンインの季節になってきました。

 

大きなダーフィーをみせてくれたこちらの方々は例年ノリクラにお越しになるのはこの時期までとのこと。ノリクラのモーグルはこれからがシーズンですので、ぜひ、またお越しください。

なお、6月中は岐阜県側の鶴ヶ池大雪渓に多くのモーグラーが集まっています。取材時間の制約からその様子をお伝えすることができませんが、機会があれば、ご案内したいと思います。

 

【昨年の今ごろは?】

2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.6(2007/06/16〜17)

今回は二日間とも良い天候の中ですごすことができましたが、昨年も同様に二日間とも梅雨とは思えない状況でした。特に16日(土)に至っては今回以上にきれいな晴天が日没まで続き、かなり遠方の山まで確認できるほど澄んだ空気に包まれて、ここ数年の中でも類を見ないほどの晴天ででした。

 

<編集後記>

良い天気に恵まれた二日間となりました。そして徐々に雪解けが進んで地面が姿をあらわしてくると色々な植物を見つけることができるようになってきます。高山植物についてはこれまでにも数多く紹介し、その中でも良く触れているように短い期間で集中して新芽→開花→結実を完結させて次の世代へ移り渡して行かなければならない事情があります。高山植物がきれいに咲き誇るパンフレットや画像を見かけて保護しなければと思う気持ちが一人でも増えればうれしいことであります。しかし、花が咲いている1〜2週間だけでなく、その前後も一生懸命生きていることを忘れてはなりません。特に雪解けが終わりようやく太陽の日を浴びることができるこの時期は成長に大きな影響があると考えられます。さらに梅雨入りしてただでさえ日照が少ない時期ですから、太陽が燦々と輝く日はしっかりと光を浴びさせてあげたいものです。

雪解けが終わり、芽の出始めた地面にザックや荷物を置いたり、ハイマツに掛けると、その一日を日陰で暮らしてしまうことになります。学術的にそれが高山植物の成長に問題があるかどうか分かりません。でも、そんなちょっとした気配りが必要でしょう。

白一面の雪原ではさほど気にする必要がありませんでしたが、これからノリクラに入山される方々はぜひそんな特殊環境があることを認識してスキーやボードそして登山を楽しんでもらいたいものです。

 

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