ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.13(2008/08/09〜10) C

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(Update:2008/08/13)

 

【雪渓中段】

雪渓中段

雪渓下部の北端のモーグルコースの岩と南端の石碑の岩の間を上がったエリアで、雪渓上部と雪渓下部を結ぶ緩斜面です。画像中央に大岩がありますが、先週まではその手前にも積雪がありました。しかしご覧の通り、完全に雪解けが終わり、雪渓中段の積雪は大岩の後方のみとなっています。

 

上半分は完全に雪解けが完了 − 昨年とほぼ同じ雪解けの状況

ご覧のように下半分はまだ積雪がありますが、雪渓上部右側と接続する上半分は完全に雪解けが終わっています。このため、雪渓上部からの滑り込みはできなくなっています。昨年並みの状況です。

 

登山道 − 昨年とほぼ同じ雪解けの状況

こちらは雪渓中段の北端に位置する肩の小屋への登山道。先週から高さで1〜1.5メートルほど雪解けが進んでいます。昨年と比べて同じかやや遅い状況を見せています。

 

下半分のエリア 長さ80メートル × 幅29メートル

こちらは下半分のエリア。長さ80メートル×幅29メートルで昨年より縦方向がやや長い状況。

 

上端から

滑走にはややエリアが狭く、雪遊び程度には良いかもしれませんが、傾斜が下端に行くにしたがって落ち込んでいて、下部のほうが大きな岩がありますので注意が必要です。

 

 

【高山植物】

スキーヤー専用道

スキーヤー専用道の周辺は登山道と同様、色々な高山植物を目にすることができます。

 

ミヤマキンバイ 三つ葉が特徴

こちらはミヤマキンバイ。黄色の花は数多くありますが、葉と同時に観察すれば、すぐにわかります。ミヤマキンバイは必ず三つ葉。クローバーのようですね。

 

ウサギギク

こちらはウサギギク。葉がウサギの耳のようなつき方をしている所から命名されています。

 

咲いていないウサギギク 咲き始めたウサギギク

こちらの2枚の画像は「咲いていないウサギギク(左)」と「咲き始めたウサギギク(右)」です。違いは花の中央部分の頭花と呼ばれる部分。この頭花は一つ一つが小さな花でその集合体を頭状花序と呼びます。左のように咲き始めの状態ではまだ頭花はほとんど咲いていませんが、時間とともに右の画像のように外周部分から徐々に咲き始めます。そのため、ウサギギクは長い間、花を楽しむことができ、さらに受粉期間を長く取ることできることから、キク科の仲間はもっとも進化した植物といわれています。そのため、虫たちも頭花の外周の「咲いている部分」に集まります。また、頭花の一つ一つを筒状花と呼び、普段見ている大きな花びらは舌状花と呼ばれ、紫外線下では頭花以上に反射してまぶしく写り、虫のやってくるのを待ちます。

 

コバイケイソウ 頂枝の花と側枝の花

こちらはコバイケイソウ。毎年花をつけないことで有名です。大雪渓エリアでは4年前と3年前と昨年は花をつけ、今年もしっかりと花をつけています。こちらのコバイケイソウは花のピークをやや終えています。コバイケイソウは真ん中にまっすぐ伸びる頂枝につく花と横に広がる側枝につく花の二つに分けられます。

 

側枝の花は雄花だけ 虫も頂枝に寄り付く

こちらはコバイケイソウの花の部分。よく見るとまっすぐ伸びる頂枝につく花と横に広がる側枝につく花には違いがあります。頂枝につく花の中心には緑色の雌しべがありますが、側枝につく花には雄しべだけです。したがって、虫たちも頂枝につく花に寄ってきます。
花のピークの時期ではなかなかその違いがわかりませんが、少し枯れて、花弁がなくなるとその違いがはっきりとわかります。

 

ジムカデ

岩の隙間よく観察すると至るところでジムカデが小さな花を咲かしている様子がうかがえます。ムカデが頭をもたげているような様相からこんな風に呼ばれています。

 

大雪渓唯一のハクサンイチゲ − ジムカデと同居

畳平のお花畑では大群生を見せているハクサンイチゲも大雪渓では肩の小屋周辺を除けば、ほとんど見かけることができません。こちらのハクサンイチゲは大雪渓エリアで唯一確認できるもの。お花畑を代表するハクサンイチゲも大雪渓ではすぐ隣には岩場を好むジムカデと同居しています。

 

アオノツガザクラ

そして、こちらはジムカデと同じツツジ科の仲間もアオノツガザクラ。スキーヤー専用道沿いなど至るところで見かけることができるようになって来ました。

 

枝を見ると木であることがわかります ほとんど開かない花弁でもちゃんと訪虫

高さは10センチ前後と小さな高山植物ですが、葉の下の枝をご覧になるとお分かりかと思いますが、草ではなく小さな木であることがわかります。そして、控えめに鈴蘭のように下向きにさき、さらにほとんど開かない花弁に虫たちが寄ってきてくれるのかと心配しますが、ご覧のようにちゃんとマルハナバチがやってきてくれます。

 

マルハナバチ − 後ろ足には花粉籠
=アオノツガザクラばかりを飛び回る=

このマルハナバチは後足に花粉の団子をつけています。体についた花粉を「花粉籠」に集めますが、このマルハナバチは他の高山植物には目も留めず、アオノツガザクラばかりを次から次へと飛び回って行きます。マルハナバチは短い花の時期に一日中、飛び回って蜜と花粉の団子を集め、巣に持ち帰った花粉の団子はマルハナバチの幼虫の貴重な蛋白源となります。

 

こちらはコイワカガミばかりを飛び回る

そして、こちらのマルハナバチは花粉の団子がありません。先ほどとは別のマルハナバチ。そして、こちらはコイワカガミばかりを渡り歩いています。 Next

 

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