ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2008/08/29〜31) C
【高山植物】
ここからはいつものように高山植物の様子をお伝えします。
コバイケイソウ(紅葉) |
まだ「紅葉」という言葉を耳にするには早すぎるかもしれませんが、標高の高い大雪渓周辺では少しずつ変化を始めています。こちらはコバイケイソウ。ご覧のように黄色く色づき始めています。大雪渓周辺など森林限界を超えた付近では、このコバイケイソウの紅葉から少しずつ、本格的な紅葉へと移り変わって行きます。
昨年のコバイケイソウ
− 今年のほうが紅葉が早い |
こちらは同じ個体の昨年の様子。今年は花がありませんでしたが、昨年は花が咲いて紅葉は今年より1週間遅いことが分かります。雪渓上部 Tのコーナーでウラジロナナカマドが部分的に紅葉が始まった様子をお伝えしましたが、どちらも昨年よりも1週間早い状況を見せていて、今の段階では確定したことはいえませんが、今年の紅葉は早めに推移するかもしれません。
コバイケイソウ(実) − 今年は花をつけた株が少なめでした |
また、今年のコバイケイソウは全体的に見ると、花をつけた株の方が少ない状況でした。花をつけたコバイケイソウはご覧のようにしっかりとした実をつけています。コバイケイソウは頂枝と側枝ともに花をつけますが、両性花を持つ頂花しか実ができないことはよく知られています。
オヤマリンドウ(花) − おそらくこれで満開 |
そして、オヤマリンドウもようやく花が咲き始めました。ほとんどつぼみにみえますが、右の画像のようにほんの少しだけ花を咲かせていることが分かります。おそらくこれ以上は花を開かせることはないと思います。
ミヤマホツツジ(花) −花柱が反り返るのが特徴、蜜まで有毒 |
先週つぼみだったミヤマホツツジはご覧のようにきれいに開花しています。独特な形をした花で、上に向いて反り返る花柱が特徴です。山地に分布する同類のホツツジは花柱が余り反り返らず横にまっすぐ伸びる点が識別点となります。
また、ホツツジは全草は有毒で蜜まで有毒成分があり、養蜂では時として問題となることもあります。
ミヤマアキノキリンソウ(花) |
徐々に咲いている高山植物が少なくなってきます。その中でもミヤマアキノキリンソウはお盆前あたりから咲き始めて、時期をずらして各所で咲くため、まだこれからも花の姿を楽しむことができます。
クロマメノキ(実) |
先週、クロウスゴの実ができ始めた様子をお伝えしましたが、同じ仲間のクロマメノキもご覧のように実ができ始めました。そして、葉も徐々に緑色から暗紫色に変化が起こり始めている様子が分かります。
コケモモ(実) |
こちらはコケモモ。ご覧のように実が赤くなっています。
ミヤマタネツケバナ − 雪解けの遅い大雪渓では局所的にまだ見られる |
花の時期が他のエリアよりも全般的に遅い大雪渓エリアでも、さすがにミヤマタネツケバナがこの時期になって咲く場所はかなり限定されています。「種付花」というくらいですから田植えの時期に咲く花で、大雪渓以外の畳平などでは6月に咲く花です。
この付近は雪解けがようやく終わり、絶えず上部から雪渓の雪解け水が流れ込むエリアで、この条件が重なるため、この時期に咲くわけです。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンにしてください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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