ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.6(2010/06/18〜19) E
【6月19日、大雪渓は濃霧】
昨日は昼過ぎから雨となり、一晩中降り続いた後、夜明け頃になってようやく収まってきました。上空には青空ものぞき始め、天候の回復が期待できる朝です。
いつもならたくさんの方々が春山バスに乗車しようと準備をされる様子が見られるはずですが、今日の三本滝レストハウス前駐車場は、天候の影響もあって訪れる方はまばら...
そして、明日開催される第5回乗鞍天空マラソンのため、駐車スペースは一部規制されています。さらに大会当日は駐車規制に加えて、春山バスの全便運休と、観光センター〜三本滝間の通行止めも実施されます。なお、岐阜県側の乗鞍スカイラインでは乗鞍天空マラソンに伴う規制はありません。
今日の春山バス始発便は5名のみ。なんともはっきりしない天候が続く中、肩の小屋口バス停(大雪渓駐車場)に向けて出発します。
雨水が激しく流れる | 積雪は荒田沢橋を過ぎたあたりから |
昨晩激しく降った雨の影響で、沿道は滝のように雨水が流れています。この雨の影響で、岐阜県側の乗鞍スカイラインは連続雨量規制のため、通行止めの状態が続き、シャトルバスも運休の措置がとられました。
乗鞍スカイラインの通行止めは、今回のように朝になって雨が止んでも、それまでに降った雨の連続雨量が規制値を超えると実施され、雨量規制が解除されるためには、完全に雨が止んで、現地のパトロールで安全が確認された後となりますので、通行止め解除までには数時間が必要となります。
そして、森林限界付近の位ヶ原山荘を通過すると...
沿道の残雪が一気に増えます。そして、ここから先は濃霧に見舞われるようになってきます。「森林限界」は植生の分布の様子を表現した言葉ではありますが、それは気象条件の一つの境目でもあるわけです。
春山バスが到着した大雪渓付近はご覧のように視界は50〜100mほど。雨は降っていないものの、霧の粒が真横に流れて行く様子が周期的に続いています。
合羽は雨が降りだしてから着るもの...でもこの時期は何時降られるか全く予想ができません。出発前に着ておいたほうが正解かもしれません。
「とりあえず山頂まで行ってみます。」と出発します。現在ではノリクラは修行の山ではありませんが、毎週足しげく通うのも、それに近い部分があるかもしれません。
摩利子天岳の急斜面下で休憩されているこちらの二人。今回初めてというボーダーの方は「登りにかなり苦労しました。」と、おっしゃっています。この時期、天候が良くないときは、かなり硬めのバーンコンディションとなり、スキーブーツのように雪面を蹴りこんで登ることが困難なソフトブーツの場合、急斜面を登ることはできません。
梅雨入り前のこれまでの時期は、雪面の柔らかい日が多く、摩利子天岳の急斜面でも難なく登ることができたと思いますが、雨が降り続いた後は、少しでも冷え込むとアイスバーンに近い状態となるため、夏に近づいているにもかかわらず、春スキーの時期よりも硬いコンディションとなるわけです。
そして、7月になると、再氷結して雪面から突出した氷の柱が筍のように現れます。「7月=夏スキー開幕」のようなイメージがあるとすれば、それとは裏腹なバーンコンディションが7月の雪渓の状態なのです。
【昨年の今ごろは?】
取材に訪れた6月19日(金)と20日(土)は梅雨の中休みとなり、特に20日(土)は秋を思わせるような深い青空に綺麗な筋上の雲がたなびき、さらにひんやりとした空気に包まれるなど、梅雨とは思えない一日を過ごすことができました。
ただ、この天候も20日(土)の晩から雨が降り続き、乗鞍天空マラソン当日の21日(日)の早朝は激しい降り方となってしまいました。そのため、折り返し地点として予定されていた大雪渓付近の風雨がひどく、大会開始直前に位ヶ原山荘に変更されるほどでした。
<編集後記>
しばらくの間は梅雨の天候と格闘しなければいけないシーズンとなりました。
この時期は合羽は必需品であることは、ノリクラに何度も通っている方なら周知のこと...しかし、ただでさえ蒸し暑い時期に合羽を着るのは結構辛いものです。合羽を着ないと雨にぬれてしまうし、着ていると中から蒸してくる訳で、なかなか良い方法を見出せないところが難点です。
そして、合羽を着るタイミングも重要なところ...
スキーブーツを履いていてその上から合羽のパンツを履こうと思うと、結構面倒ですから、雨の降りそうな感じの日は出発前から合羽のパンツだけでも履いておくなどの準備をすると良いかと思います。その際に、ザックカバーもしてしまうと良いでしょう。これからの時期は突然の雷雨に見舞われることも多く、ちょっとしたタイミングの差でずぶ濡れにならずに済むことも多々あります。
さらに、合羽だけでなく、グローブも...
スキーグローブなどで防水性のレイヤーの入ったものがありますが、実際に使ってみると完全に防水とはとは行かないもので、一番確実なのは作業用のゴム手袋。完全防水である以上に、生地がゴムですから水を吸わないため、乾燥など後始末が簡便です。
また、霧が流れているときも合羽を...
霧の流れがはっきりと確認できるほど霧の粒が大きい時は、雨降りと変わらないくらい濡れてしまいます。雨のように一気に濡れず、衣服が徐々に水分を吸って行くため、濡れていることに気がつかないこともあり、早めに合羽を着ることが必要でしょう。
これからの梅雨の季節を上手く付き合って行けるようにしたいものですね。
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