ノリクラ 雪渓カレンダー
番外版(2010/12/25〜26) C
【12月26日(日)、今日も吹雪】
そして、翌日の12月26日(日)。早朝7時の位ヶ原山荘は今日も吹雪に見舞われています。
気温はマイナス15℃。昨晩からの積雪はさほど増えていませんが、それでもしっかりとした新雪感のあるやわらかい足裏感覚があり、下地の硬さを感じさせないこの時期ならではの新鮮な雪質があります。
天候は回復傾向を一向に見せません。いつもなら、すぐ目の前に屋根板の斜面が広がるものの、今日はご覧のように100メートル程度の視界しかなく、行動エリアも限定せざるを得ない状況です。
もちろん、この天候でも出発の準備...
「この天候でも...」と、憂鬱に考える思考は常連の方々にはなく(失礼!)、「この天候だから...」と、脳裏ではとらえるのが常識となっているようです。ですから、この天候とは裏腹に笑顔がほころびます。
山荘周辺はツボ足で太ももまで埋まってしまうほどの軽い新雪が積もります。
ですから、ビーコンチェックなど事前の準備は必ず整えてからの出発が必要です。
天候は回復傾向を見せることなく、落ちてくる雪の粒がさらに多くなってきます。そんなことはお構いなく、一行は位ヶ原山荘を後にします。
【屋根板はオープンバーンに】
雪不足が続いていた屋根板もご覧のようにかなりオープンバーンが広がってきました。
屋根板はスノーシューで脛程度まで沈み込む状況。
積雪が増えてオープンバーンが広がってきたと同時に気をつけなければならないことは、いうまでもなく雪崩。今年2月にはノリクラで死亡事故がおきていることもあって、決してノリクラは安全ということはできない状況です。
そのため、できるだけ、木々の立ち並ぶルートをとりながら、オープンバーンを避けて登って行きます。
ノリクラガイドマップ冬〜春スキー版では、これまでに雪崩が発生した箇所をご案内しております。屋根板でも過去に大きな雪崩が発生しており、細心の注意が必要です。
一人が滑走し終えて林の中まで達したのを確認し、状況を見ながら次のメンバーが飛び込んで行きます。楽しみながらも安全を最優先に考えることが求められます。
今シーズンもまだ始まったばかり...事故のないウインターシーズンにしたいものと考えております。
<編集後記>
今回は冬のノリクラの常連の方々が位ヶ原山荘に集う機会をお伝えするために番外版の編集を企画し、真冬の上部エリアの様子の厳しさが少しでもお伝えできればと考えました。
この時期のノリクラは一年のうちでもっとも厳しいシーズンであることは間違いありません。近年、あまり予備知識を持たずにツアーコースに初めてお越しになるという方が増えているように感じます。おそらく、その方々の中にはWebSiteの速報をご覧になってお越しになる方もいらっしゃるかと思います。
今後もウインターシーズンにお越しになる方が増えてくることも考えられますが、ノリクラ関連の情報だけでなく、一般的な冬山の予備知識・装備を整えて、経験者とともにお越しになることをお勧めします。
そして、もっとも重要なことは、冬山の装備以上に、危険を十分に考慮した行動をとること...今年2月には雪崩による死亡事故も発生しておりますが、そんな状況を少しでも回避するための対策や行動も冬山装備の一つと言えます。どんな装備を完備しても、安全サイドに立った行動が必要であることは間違いありません。
今回は常連の方々が集まって語り合うノリクラサミットを開催いたしました。冬山の山荘で行うということから、有志でお越しになるというスタンスで行っております。そんな主旨がご理解いただけ、安全サイドに立った行動ができる方だけとさせていただいております。次回も開催できればと思います。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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