ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2011/03/26) C
【ツアーコース W− 位ヶ原急斜面】
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。
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先週の位ヶ原急斜面 (2011/03/19) |
今週の位ヶ原急斜面 先週より50センチ増加、昨年並み |
位ヶ原急斜面の積雪は先週より50センチ多くなり、ほぼ昨年並みの状況となっています。2月までは昨年よりも1メートル以上少ないときもありましたが、3月に入って積雪量が増えてきました。
山麓ではこれから積雪量が減少傾向となってきますが、この付近は4月に入ってもまだ積雪量が増加し、むしろこれからのシーズンの方が増加量が多くなる傾向を示します。
時間とともに悪化傾向を示す天候が続き、先行して登って行った方々のトレースも次第に不鮮明になって来るほど降雪がひどくなってきます。
それでもそのトレースを見失わないように登っていく必要があります。一旦、トレースから外れてしまうと、太腿まで埋まってしまうほどの新雪で、足を持ち上げるのに一苦労する状況。
ツアーコース初デビューの方々にとってはかなりつらい状況でしょう。
箇所によってはストックが70センチほども埋まってしまうほどの積雪量があり、一部雪崩が発生したところもありました。雪崩は真冬よりもこれからの時期に多発し、真冬の軽い雪質と異なって密度の高く重たい雪質になってきますので、小規模な雪崩であっても注意が必要となります。
14時の気温はマイナス14℃。上部エリアは轟々と音を立てて荒れ狂っています。コンディションは完全に厳冬期そのもの。ここで断念して滑走する準備をする最中でも、否応なく吹雪が襲い掛かってきます。
冬であればこの状況はさほど珍しいことではないので、それなりの準備や気構えを持って行動しますが、春の恐ろしいところはぽかぽか陽気から真冬へと天候が一気に激変したとき、それに対応できないことが問題となるでしょう。それは装備の問題もありますが、状況を即座に察知して対応することがもっとも重要です。
荒れ狂う天候の中でも、時折、太陽が差し込み、風も雪もピタッと収まる瞬間があります。こんなとき、「もう少し先に行こう!」という邪心があったりすると、行動を誤るケースがあります。「せっかくここまでやってきたんだからもう少し...」とは思いがちですが、この状況で楽しく滑走することはムリですから、気持ちを切り替えてまた出直すことが次の「ノリクラ通い」につながって行くのです。
<編集後記>
ノリクラにお越しになる方々の中には、3月11日の東北関東大震災に被災された方もいらっしゃることと思います。震災から2週間が経過するものの、いまだに復興の目処すら立たない状況が続きますが、いつかは必ず立ち直れる力がこの国にはあると信じています。
その立ち直れる力の原動力は、インフラやエネルギー・食料供給であることは間違いありません。しかし、それだけでなく、長期的には人々の忍耐力がもっとも重要で、それを支える希望とか心のよりどころがもっとも必要となってくることと感じます。
今は日々の生活だけでそれ以外のことなど考えられない状況でも、いつかは「あぁ〜またノリクラに行きたいなぁ」と、思える日が来ると思いますし、そのようになることを願っています。
今シーズンもノリクラ雪渓カレンダーの連載が始まりました。ご愛読いただく方々の「心の原動力の一部にでもなれたら...」と思いながら続けて行きたいと考えるものです。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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