ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.6(2011/04/28〜30) F

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(Update:2011/05/05)

 

【ツアーコース U】

入口急斜面を登りきって、ツアーコースはさらに続きます。

 

位ヶ原は比べ物にならない強風 −早めに下山

いつもならツアーコースを下山される方々をたくさん見かけるのは午後ですが、今日は早い時間帯に下山される方々にお会いします。こちらのお二人の話では「位ヶ原に上がった瞬間、ツアーコース内とは比べ物にならない強風に見舞われ、引き返してきました〜。いや〜参った...」と、おっしゃってくださいます。

毎年、ツアーコース内のどこかで必ずお会いするこちらの方は、冬のリクラも春のノリクラもよくご存知ですが、そんな方々が耐え難い状況ということですから、相当なものなんでしょう...

 

昨年の1番標識付近(手前)
2010ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.6(2010/04/29〜05/01) B
今週の1番標識付近(手前)
昨年よりやや多い積雪量
 

入口急斜面を登り切って1番標識付近までは切り株が最も多いエリアです。こちらの切り株は先週から確認できる状況となってきました。先週と比べて積雪量が増え、また、昨年よりも積雪量が多い状況であることがわかります。

 

バーンは春のゲレンデに似たコンディション

ツアーコースは次々と下山される方が滑走される様子が見られますが、春のゲレンデのバーンコンディションに似た状態で、比較的滑走しやすい様子が見られました。

 

昨年の3番標識
2010ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版
Vol.6(2010/04/29〜05/01) B
先週の3番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版
Vol.5(2011/04/23) B

今週の3番標識
先週・昨年とほぼ同じ状況

こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週・昨年とほぼ同じ状況です。

 

4番標識だけが見つけられないんですよ...

ツアーコースを登った位ヶ原から引き返してきたこちらの方々も「風で吹き飛ばされそうになったよ。ゴールデンウィーク中にもう一度来たい。」と、おっしゃってくださいます。そして、ツアーコース内の番号標識について、「1番から6番の標識で4番だけが見つけられないんですがどこにありますか?」とのこと...

 

4番標識 − 陰に隠れて見つけにくい

4番以外の標識は比較的容易に確認できますが、4番だけは見落としてしまうという方も多いようです。3番標識を過ぎて5番標識までの区間で、一度コースが右に曲がるところがあります。その手前の右側に4番は存在しますが、右の画像のように周囲の木々や枝に隠れて見えにくい状態となっています。

ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 ではツアーコースの地図を掲載しております。その中で番号標識の位置も載っておりますのでご確認ください。

 

強風を避けてお昼休み

いつもは平穏なツアーコースも今日は強風が吹きぬけ、4番標識のように樹林帯に隠れるように休憩される様子が見られます。ノリクラは今回で二回目というこちらの方々。ノリクラは肩肘張らずにバックカントリーを楽しむことができるのが魅力の一つと感想をいただきました。少し休憩を取りながら、強風に加えて雨が降り始めた状況の中、さらに先まで進もうか思案中のようです。

 

高天ヶ原は見えるが剣ヶ峰は姿が見えず

いつもなら高天ヶ原と剣ヶ峰が二つ並んで確認できる状況も、今日はなぜか左の高天ヶ原ははっきりと見られるものの、すぐ右にある剣ヶ峰は全く見えません。雲が激しく行き交い、雨に霙が混じる天候となって、急激な悪化を見せています。

 

昨年の5番標識
2010ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版
Vol.6(2010/04/29〜05/01) B
先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版
Vol.5(2011/04/23) B

今週の5番標識
先週とほぼ同じ、昨年より15センチ多い

こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週とほぼ同じで、昨年より15センチ多い状況です。

 

かつて、大雪渓に立てられていた竹竿は...

位ヶ原から降りてきて、樹林帯の中で休憩されているこちらの方々も今日は第一便の春山バスに乗る予定だったとのこと。「20年近く前、春の大雪渓を登ったときに竹竿でルート確保されていて、悪天候時には非常に助かったが、あれはまだありますか?」と、お聞きになってくださいました。

2010年3月で閉鎖となった摩利支天岳山頂にあるコロナ観測所は、1998年まで有人で冬季観測が実施され、物資・交代要員輸送の雪上車走行のルート確保のために大雪渓内に竹竿が立てられていました。そのため、現在では大雪渓には竹竿は設置されていません。

なお、位ヶ原からツアーコースに下山する際、隣の伊奈川の谷に誤って進入しないよう、毎年、伊奈川の谷の手前に竹竿・ロープが春山バス運行前に設置され、今年も4月28日(木)に地元の方々によって設置されました。

 

豪雨・雷鳴 −急いで下山

豪雨とともに上空には閃光・雷鳴が響き渡るようになり、急いで下山を開始する方が続々と続きます。

 

そして、先ほど休憩されていた方もコース途中で引き返す準備を...

 

今日はこれで満足 − 下山開始!

今日はツアーコース途中までしかアクセスできませんでしたが、今日はこれで満足と思って、また、状況のよいときにぜひお越しください。

 

6番標識手前のウェーブ

5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。ウェーブの形状は先週とほとんど変わらないため、登行でも滑走にも問題はありません。また、積雪量はほぼ先週と同じです。

 

そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。

 

【ツアーコース V − 位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2010 ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2010/04/29〜05/01) C

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.5(2011/04/23) C

今週の位ヶ原急斜面
先週より20センチ多い、昨年並み

位ヶ原急斜面の積雪は先週より20センチ多くなり。昨年とほぼ同じ状況です。

 

バーンはゲレンデの春スキーのコンディション

バーンコンディションはツアーコース下部とあまり変わりなく、ゲレンデ内の春スキーといった感じです。

 

そんな中を滑り降りてきたこちらの方...

 

ノリクラガイドマップ、印刷して携帯してます

「ガイドマップ、このとおり印刷して持ってきていますよ!」と、見せてくださったのは、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 大雪渓・山頂版 です。冬〜春スキー版 は、主にツアーコースと過去の雪崩箇所を記したものになっていますが、春〜夏スキー 大雪渓・山頂版 は山頂付近の滑走可能エリアを記したものになっています。これからのシーズンは、山頂付近を目指す方も多くなるかと思いますので、ぜひご活用ください。

 

轟く雷鳴が頭上で響き渡る中、急いで下山です。

 

鉛色の雲が急降下 − 春の嵐の一日

鉛色の雲がどんどん低くなり、真下に急降下する様子は春の嵐の一日を象徴する状態で、この後、乗鞍高原でも激しく雨の降る状態となりました。

 

<編集後記>

前回の編集後記でも、天候が不安定な日が続くゴールデンウィークは春山バスが運休になるケースがあることをお伝えしました。

そして、今年のゴールデンウィーク前半も、やはり同様の状況となりました。29日(金)から5月2日(月)までの期間で第一便が運行されたのは、5月1日(日)のみでした。
5月1日(日)は、終日にわたって雨で、位ヶ原山荘付近でも雪ではなく雨でした。午前中は強い風が時折吹き、梅雨の時期のように降り続く天候でした。このような天候の時のほうが運休になる可能性が高いように感じられますが、雨であれば路面凍結はなく、むしろ安定した路面状況と言えます。ただ、雨により法面の雪の壁が崩落したり、雪解けによって落石の発生も懸念する必要があります。

雪解けによる落石はこれからの時期はもっとも注意が必要で、位ヶ原山荘から大雪渓まで運行区間が延長される6月以降になると、3号カーブから2号カーブの間の富士見沢や、肩の小屋口バス停から3号カーブ付近の摩利支天岳東斜面などは、直径1メートル近い落石が毎年頻繁に発生しています。

また、雪崩にも注意が必要な時期はまだまだ続き、白馬大雪渓などの雪崩はすでに各報道でお聞きになっていることと思います。
以上のように、春山は厳冬期と比べて危険性が少ないことは全くなく、不安定な天候が続く中に、時々穏やかな陽気の日がめぐってくると考えたほうがよいかと思います。

3月末から連載した ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版 は今回号で終了いたします。なお、5月中旬から ノリクラ雪渓カレンダー正式版 の連載を開始する予定です。これからもWebSiteのご愛読くださいますようお願いいたします。

過去の春山バス運休事例は、先週も掲載いたしましたが、乗鞍岳春山バスの運行状況をネット検索して、このページにたどり着く方もいらっしゃるかと思います。したがって、同様の記事を再掲載いたします。

春山バスの運行開始が延期されたケースは過去にもあり、2007年は運行開始が5月3日に予定されていましたが路面凍結で運休となり、翌日の5月4日も夜間に降雪があって運行できず、春山バスの運行初日は予定より二日遅れた5月5日でした。

【過去の事例 − 春山バス、運行開始が二日も遅れた(2007年)】
 ●2007ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.8(2007/05/03〜05)
   →【5月3日(木) 運行開始予定日は路面凍結で運休】(Page-2)
   →【5月4日(金) 積雪で運休】(Page-3)
   →【5月5日(土) 春スキーバス初日】(Page-9)

したがって、春山バスが運行されない場合は、これまでどおりツアーコースを歩いて登ることとなりますので、登行するための装備(シールやスノーシューなど)を整えてお越しいただいたほうがよいかと思います。
また、天候の急激な変化にも対応が必要で、位ヶ原一帯のホワイトアウト状態には十分注意が必要です。

【過去の事例 − ホワイトアウトで一時身動き取れない状態に(2007年)】
 ●2007ノリクラ 雪渓カレンダー 2007シーズン Vol.1(2007/05/12〜13) 
   →【大雪渓は濃霧のち快晴】(Psge-9)

  


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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