ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.10(2011/07/14〜15) E

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(Update:2011/07/21)

 

【畳平、お花畑】

それでは、畳平のお花畑の様子をお伝えします。7月中を中心にいろいろな高山植物が見られる時期を迎え、畳平のお花畑は、ノリクラの中で気軽に訪れることができる箇所としてはもっとも大規模な高山植物のお花畑といえます。

 

入口付近

お花畑の雪解けは、このあとご案内する周回コースの奥のほう(西側)から、入口方面(東側)へと順番に進んで行きます。そのため、高山植物の生育も、周回コースの奥のほうが先に進み、入口方面へと順番に進んで行きます。

こちらは階段を下りてお花畑入口付近。全体の中でもこの付近は雪解けの遅いエリアとなります。

 

ハクサンイチゲ(入口付近) − ほぼピーク、昨年並みの推移

先週から咲き始めたハクサンイチゲは、ピークを迎えています。ほぼ、昨年並の推移です。

 

ミヤマクロユリ(入口付近) − つぼみ

ハクサンイチゲ以外にも、ご覧のようにミヤマクロユリのつぼみがあちこちで見られます。

 

パンフレットを片手に − でも、なかなか探し当てられません

今日もお花畑には、高山植物の写真入のパンフレットを片手に周回コースを回る方々の姿があります。しかし、目の前にたくさん咲いている高山植物を見て、パンフレットからその高山植物を探し当てられる方は少ないようです。

 

高山植物の判別は花と葉を同時に観察すること 同じ黄色でも葉の形が違います

パンフレットの写真の多くは、花の部分をクローズアップして掲載しております。そのため、花の大きさなどを写真から知ることはできないものの、花と一緒に写る葉の特徴もしっかり観察して、高山植物の判別の一要素とします。

それまで、まったく別の高山植物を指差していた方々も、そんなちょっとしたコツを見つけると、すぐにミヤマキンバイの写真を見つけ、正解にたどり着くことができました。

 

遊歩道分岐点

遊歩道をさらに進んで周回コースを右に回り、お花畑を奥のほうへ(西の方へ)向かいます。

 

遊歩道分岐点付近 − ハクサンイチゲ一色になっています

周回コースに入ってすぐの場所でも、入口付近と同じく、ハクサンイチゲが見頃を迎えています。この付近はご覧のようにハクサンイチゲ一色の状態を見せています。

 

チングルマ コイワカガミ

ハクサンイチゲ以外の高山植物も数多くなってきて、チングルマが先週よりもかなり目立つ状況となり、コイワカガミも先週と同様に見頃です。

 

周遊コース奥 − ハクサンイチゲは終盤、ミヤマクロユリが咲き始める

周回コースをさらに奥のほうに進むと、ハクサンイチゲは終盤に差し掛かり、それに置き換わるようにミヤマクロユリが優勢となって来ました。

 

ミヤマクロユリ − 昨年よりも一週間早い推移

ミヤマクロユリは半数以上も個体で開花を始めています。昨年よりも一週間ほど早い推移です。

 

ミヤマクロユリ − 両性花 ミヤマクロユリ − 雄花

下向きに咲くミヤマクロユリの様子を見るのは難しいところがありますが、その花の中を見ると、雌しべと雄しべの両者がある両性花と、雄しべしか存在しない雄花の二種類があることがわかります。

ミヤマクロユリは各個体の栄養状態などによって、雄花にとどまってしまうものから、歳月が経過して、ようやく両性花になれるものまであって、その違いもなかなか楽しいものです。

 

ミヤマキンポウゲ

そして、ミヤマキンポウゲも目立つようになって来ました。

 

ミヤマキンポウゲ(左)とミヤマキンバイ(右)
同じ黄色の花でも、花弁や葉の形から判別ができる

同じ黄色の花にミヤマキンバイがあります。花そのものの大きさが良く似ていて、判別しにくいものですが、ミヤマキンポウゲは背丈が30センチ以上伸びるノッポな高山植物であるものの、ミヤマキンバイは10センチにも満たない小さな高山植物です。また、画像を見比べていただくとお分かりですが、先端がくびれた花弁を持つミヤマキンバイは、まさに梅の花を思わせる形態。さらに葉の形状が両者ではまったく異なるところが見分けのポイントでしょう。

 

お花畑は見頃のピークを迎えています

今度の三連休はハクサンイチゲのピークを迎えますので、見頃の時期を逃さずお越しください。

 

【昨年の今ごろは?】

2010ノリクラ雪渓カレンダーVol.10(2010/07/17〜18)

昨年は三連休に照準を合わせたかのように、関東甲信、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州北部の各地が一斉に梅雨明けし、ノリクラでも真夏を思わせる天候の続く状況となりました。

梅雨明けが発表された17日(土)は、青空に綺麗な鰯雲が広がる朝を迎えます。そして、大雪渓付近は真っ青な青空が広がり、誰の目にも梅雨明けは間違いないと確信できる状況です。その強い日差しに山麓から雲が湧きあがり、午後には小雨が時折降る状況も、夏山特有の天候で、この点からも本格的な夏が訪れるのだと感じる状況でした。

そして、翌日の18日(日)も良い天気に恵まれ、三連休中日ということもあって、観光センター前駐車場は早朝から満車状態となり、シャトルバスもお盆並みの増発体制がとられ、かなりの賑わいとなりました。

 

<編集後記>

7月より取材日を木曜日・金曜日に変更しておりますが、前回・前々回の取材は、木曜日・金曜日に加えて土曜日も取材を行いましたので、完全に平日だけの取材は今回が初めてでした。週末と比べて静かなノリクラを送ることができた反面、訪れる方が少ないため、現地に訪れる方への取材が困難になるのではと危惧致しました。

しかし、平日にお越しになる方も結構いらっしゃることと。学校登山のように平日に行う行事があることなどは、今回の取材で初めてわかりました。また、平日にお越しになる方でも、WebSiteをご愛読していただいているとのことで、中には、週末にお越しになることができなかったため、これまでWebSiteの取材を受けることができなかったが、WebSiteの取材を受けることを楽しみにされていたという声もいただきました。

また、7月15日(金)は三連休前日で、連休に連続させて休みを取得された方も多かったようで、観光センター前駐車場にお越しになった車の様子を見ても、少し人出の少ない週末の状況と変わらない台数があり、もしかすると平日でもそれなりの人出があるのかもしれません。

いずれにしても、現地でたくさんの方にお会いしたいと思っておりますので、これからも木曜日・金曜日にお越しになる方はぜひとも、お声をかけてくださいますようお願いいたします。

【これからノリクラデビューを検討されている方へ】

これまでにも何度か申し上げておりますが、梅雨明けからお盆くらいまでが、ノリクラデビューを果すのに最適な時期です。最適とはいっても最低限の用意は必要で、夕立・雷雨への対策と、強い日差しへの対応は必須です。そのため、合羽は必需品です。スキーウェアの代用はあまりお勧めしませんので、登山用の合羽を新調されたほうが良いでしょう。また、登山用の合羽があれば、あえて防寒用のウインドブレーカーなどを用意する必要がなく兼用可能です。また、ザックが濡れてしまうと中身も濡れてしまいますから、大きなゴミ袋も用意して、雨が降ってきたら、ザック全体を包んでしまうと良いでしょう。

また、強い日差しへの対応には、いくつか考えなければなりません。一つは日焼け対策。大雪渓エリアは空気が薄く、雪面からの照り返しがあって、通常以上の紫外線を浴びてしまいます。そのため、日焼け止めを必ず塗布し、長袖・長ズボンを着用してお越しください。長袖・長ズボンは、転倒時の負傷防止も併せ持っています。
そして、強い日差しへのもう一つの対応としては、水分補給を考えなければなりません。現地には売店はありませんので、事前に用意する必要があります。大雪渓にお越しになる方の中には、2リットルのペットボトルをがぶ飲みされる方もいらっしゃいます。少なくとも1リットルは持ってこられたほうが良いでしょう。

体調不良や負傷時などの対応に必要な携帯電話の電波状況は、乗鞍エリア全山に渡ってAUは良好で、ドコモ(FOMA)もほぼ利用可能です。しかし、ソフトバンクは山麓の乗鞍高原では利用できでも、大雪渓など上部エリアはほとんど利用できません。

どのようなスタイルで行ったらよいか、どんな雰囲気なのかは、このWebSiteを読み返していただければ、ある程度の見当がつくかと思います。気温についても、速報バックナンバー をご覧になればわかります。滑走可能エリアは ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー大雪渓・山頂版 をご覧になれば把握できるでしょう。いずれにせよ、WebSiteをくまなくチェックしてからお越しいただければ幸いです。

 

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