ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.15(2011/08/18〜19) C
【雪渓上部 T】
それでは、雪渓上部の様子をお伝えします。雪渓上部を左右に分ける中央の尾根が大きさを増してきて、左右が分離しつつある状況となってきました。中央の尾根部分の岩の大きさから見ると、昨年よりやや早い雪解け推移を見せています。
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昨年同時期より一週間遅い雪渓上部右側 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2010/08/27〜28) D |
今週の雪渓上部右側 昨年より一週間早い雪解け |
こちらの画像は雪渓上部右側で、中斜面が続き、ポールレッスンが盛んに行われるエリアです。昨年同時期より一週間遅い画像とほとんど同じ状況から、先週と同様、昨年より一週間早い雪解けです。
雪渓上部の中央の尾根は、雪解けとともに次第に上部から下部に伸び、雪渓上部が左右に分離しつつあります。昨年より一週間早い状況です。
また、雪渓上部右側のバーン内にも岩の頭が見えるようになってきて、雪渓そのものは分離していないものの、滑走エリアとしては、上部と下部に分離しつつあります。上端部分の滑走距離は、およそ100メートルです。バーン内に岩が析出し始める様子も、昨年より一週間早い推移です。
雪渓上部右側エリアの下部で、ちょうど雪渓中段につながる位置にある鉄塔土台です。土台と雪渓との距離は36メートル。昨年より一週間遅い時期も36メートルでしたので、こちらに関しても、昨年より一週間早い雪解けです。
こちらは雪渓上部右側の上端部分。上端は先週よりも24メートル下がって、先週よりも雪解けスピードが上がって、昨年よりも二週間早い雪解けを示しています。
上端から雪渓下端までの距離は200メートル。昨年同時期より一週間遅い時の距離は207メートルでした。前述のとおり、上端部分は二週間早い雪解けを示しましたので、下端部分の雪解けが若干遅くなっているため、全体の距離としては、昨年より一週間早い雪解け状況となっています。
【雪渓上部 U − レーシングキャンプ】
こちらは大雪渓入口での出発の際にお会いしたレーシングキャンプの方々。出発時点では、雨に降られませんでしたが、その後、まとまった降雨に何度か見舞われ、ご覧のように、皆さん、合羽着用のもと、練習を継続しています。
レーシングキャンプだからといって、必ずしもポールをセッティングして、ポールを通過する際の攻略方法などといった、実践に近い練習ばかりではありません。
動的に移動するスキーの操作にはスタティックな力の使い方が重要になってきます。斜滑降という単純な動作の中で、ターンの始まりから終りまでの動作を再確認します。先生の見本のあと、メンバーがそれぞれ、同じように動作させて斜滑降してみます。
そして、通過後の二本のラインから、先生の滑りとメンバーの違いを確認してみます。
スプーンカットではエッジが点状にしかグリップしない | その中で安定して滑走するには... |
スプーンカットにストックをあてて、「ゲレンデのバーンではエッジは線上にグリップしますが、スプーンカットの上では、このようにエッジは点状にしかグリップしません。その中で、スキーを安定させるためには、どのようにしたらよいでしょう...」
普通のゲレンデばかりを滑っていると、なかなか気づきませんが、点状にしかグリップしない雪渓では、同じように滑走しようとしても、スキー板がバタつき、思うように操作できません。
単純な斜滑降でも、左右の板が同じように動作しないため、別々の方向へと進んで行きます。滑走しやすいゲレンデの雪質では、うまくスキー操作をしてしまっているため、各人の癖に気づきにくいもの。
悪条件になると如実に現れる、各人の癖に早く気づいて、トレーニングに生かしたいものです。
早いうちからスキーに真剣に取り組む環境になじませ、また、時には強制的にその環境に漬け込ませることが、今のジュニアには最も必要であると、強調されます。また、トレーニングだけでなく、スキーを取り巻くさまざまな環境作りが大切で、色々な意味での「層の厚み」というものを作って行くことが必要なようです。
午前中の練習が終り、お昼休みのために、一旦、下山します。そのため、ブーツなどは現地に置いたままにしておきます。
スキーは自然相手の競技。そのため、状況に応じた対応を考えることが大切で、単に荷物を置いておくだけのことですが、天候が不順な状況が続く中、荷物が濡れないように(濡れても問題のないように))しておくには、どのような対策が必要であるかという、ちょっとしたことにも考えをめぐらさなければ、到底、一流の選手にはなって行けません。
「スキーができる環境」と、「スキーに打ち込める環境」は、若干ニュアンスが異なっています。単にスキーをするだけの環境作りではなく、、打ち込める環境作りは、周辺の関係者のサポートに加え、各人の取り組み次第と言えます。
トレーニングしているバーンの下部では、常連の方がいつものように練習をされています。先生は各メンバーに、「年間100日以上もスキーに打ち込んでいる人だから、下山の際にはちゃんと挨拶して行くんだぞ!」と、告げられます。
常連の方とメンバーそれぞれとのちょっとした会話の中に、「打ち込んで行く秘訣は『継続は力なり』ですかねぇ〜」と、ちょっと苦笑しながら、メンバーへメッセージを送ります。
そして、翌日の8月19日(金)。この日は、山麓の乗鞍高原で早朝からまとまった雨が降りましたが、大雪渓エリアは雲の上にあってまずまずの天候。しかし、悪天候の山麓からは、上部エリアの天候回復など想像できない状況に、大雪渓は訪れる方は皆無。しかし、常連の方は、どんな天候でもお越しになっています。
通常、年間滑走日数は、スキーシーズンの開始から終了までの延べ日数をカウントしますが、一年中滑走されていますので、年間滑走日数の区切りも独自のもの...初雪が降って新雪上の滑走ができた時点をそのシーズンの始まりとし、そこから年間滑走日数をカウントされるとのこと。そして、今シーズンの年間滑走日数は今日で137日目。
午後になると、さらに天候はよくなり、ご覧のような青空が広がり始めます。静かなノリクラを独り占めする楽しさは、ノリクラに通い続けないと味わえないものです。
「ノリクラに通い続ける」ことは、ある意味、偉業かもしれません。でも、当の本人にとっては、空気を吸うことそれほど変わりない程度の出来事かもしれません。週末になると、自然とノリクラに向かって車を走らせてしまうものなんでしょう。でも、それを継続することが、いかに大変なものであることは、当の本人が一番理解しています。(→ Next)
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