ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.18(2011/09/08〜09) @

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(Update:2011/09/15)

 

 

台風12号の影響により、先週はほとんど取材にならなかった二日間でしたが、今週は秋の空気に入れ替わった雰囲気を楽しむことができました。

9月8日(木)は、青空に鰯雲の広がる朝を迎えます。これだけでもう秋の気配となっていますが、朝の冷え込みは、それまでとは全く異なったもので、油断して薄着で就寝すれば確実に風邪を引いてしまうほど。しかし、この寒さは昨日が一番で、9月7日(水)は畳平で初霜が観測され、98年以来、最も早い記録なりました。
天候はさらによくなり、ほぼ快晴といった大雪渓が迎えてくれます。さわやかに空気が吹き抜けて行き、汗というものを完全に忘れてしまった状況。まさに登山日和の一日です。また、大雪渓エリアでは、雪渓下部と雪渓上部右側の雪解けが完了し、急斜面の続く雪渓上部左側では、常連の方々が、どこまでも続く青空に向かって滑り抜き、まさに「天空の秋スキー」といった趣を演出されていました。この天候は終日続き、またとない一日を送ることができました。

9月9日(金)は、昨日の晴天とは裏腹に、周期的に雨の降る朝を迎えます。それも一時間おきに降ったりやんだりを繰り返す状況。その後、山麓は天候が回復してくるものの、上部エリアは濃霧と細かな雨の降り続く天候で、お昼近くになると風も強くなってきます。このため、乗鞍スカイラインは、シャトルバス・タクシーなどの自動車の通行は可能でも、自転車の通行は見合わせられる状況でした。この天候も、午後には雨はやんで、14時30分ごろから霧も抜けて行きました。

昨年と同様に、9月から紅葉情報を始めます。5ページ目の 【紅葉情報】 をご覧ください。大雪渓・位ヶ原などの上部エリアは、あまり変化がないものの、冷泉小屋から摩利支天に掛けての中腹では、昨年よりも早い推移が見られます。


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【9月8日(木)、観光センター前駐車場】       【大雪渓までの沿道の風景 T】
Page-2 : 【大雪渓までの沿道の風景 U】       【大雪渓に到着】
Page-3 : 【雪渓下部 T】       【雪渓下部 U】
Page-4 : 【雪渓上部 T】       【雪渓上部 U − モーグルコース、雷鳥】
Page-5 : 【紅葉情報 − 大雪渓付近】       【紅葉情報 − 宝徳霊神〜位ヶ原付近】
Page-6 : 【紅葉情報−冷泉小屋〜魔利支天付近】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>

 

 

【9月8日(木)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。

 

鰯雲が広がる

昨晩は、明るい月をかすめるようなきれいな鰯雲が広がる夜空を見せてくれましたが、一夜明けても、その状況は変わらず、雲の造形の美しさを象徴するような空です。

気温は6℃。この時期としては寒い朝を迎えています。昨日は、さらに冷え込みが厳しく、畳平の鶴ヶ池では、初霜が観測され、98年以降、もっとも早い初霜となりました。

 

ほぼいつもの人出が見られる

そして、観光センター前駐車場は、20台ほどの車がお越しになっています。平日としては、ほぼ平均的な台数です。

 

紅葉シーズンの混雑前に静かなノリクラを楽しみに...

早朝から、準備をはじめられているこちらの方々。紅葉のシーズンになると、混雑が予測されるため、紅葉が始まる前にお越しになったとのこと。剣ヶ峰登山にこれから向かう予定ですが、やはり気になるのは...「熊はいますか?」

おそらく、ミズナラなどの山麓の木の実ができるまでは、高山植物の実を採るために、上部エリアに分布していると考えられますが、人の声には敏感に反応するという話もありますので、三人で楽しくおしゃべりに花を咲かせて歩いて行けば、遭遇する危険性も低くなるでしょう...

 

常連のスキーヤ − そろそろ、シーズンも終盤かな...

そして、こちらの常連のスキーヤも出発の準備が整いました。「そろそろ、シーズンも終盤かな...」と、おっしゃりながら、シャトルバス乗り場へと向かいます。

「夏スキーは、いつまで可能ですか?」という問い合わせがあります。一般的にはお盆ごろまでと考えられます。それ以降になると、気温の低下とともにバーンが硬くなり、また、表面のスプーンカットが大きくえぐれた状態となり、バーン整備しないと滑走できる状況ではありません。また、滑走できるエリアも狭く、急斜面しか残っていない状態となりますので、この時期の雪渓の滑走経験のない方や、初心者の方は滑走できる状況ではありませんので、ご注意ください。

 

そして、シャトルバスがいつものように到着し...

 

改札後、乗車します

いつものように乗車券の改札を行って車内に乗車します。スキー板などの荷物は、トランクに搬入します。

紅葉シーズンを迎えると、大きなカメラバックを携えた写真撮影の方々がたくさんお越しになります。もちろん、トランクにカメラバックを預けても良いですが、内容物の破損などの心配を懸念される場合は、車内に持ち込んだほうが良いでしょう。

 

青空が広がり始め、シャトルバスは出発

時間とともに鰯雲が立ち去り、しっかりとした青空が広がり始めました。すがすがしい空気が流れ、一日のスタートとしては、まずまずの状況となってきました。

 

【大雪渓までの沿道の風景 T】

善五郎の滝駐車場から − ススキの穂

それでは、ここからはいつものように、大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。先週もお伝えしたように、ススキの穂が大きくなっている様子が見られます。朝一番のススキは、どういうわけか、あまりピンとこないものですが、ノリクラの峰に夕日が沈む頃になると、自分が主役とばかりに、その穂をきらびやかに輝かせ始めます。

やはり、ススキの穂は、秋の夕方が一番似合う存在なんでしょうか...

 

道端のノコンギク

そして、今一番の見頃を迎えているのは、ノコンギク(野紺菊、キク科シオン属)。こちらも先週お伝えしましたが、色合いは純白に近いものから、紫が濃いものまでさまざまです。

 

つぼみもあって、これからしばらく楽しめる

よく見ると、まだ、つぼみのものもあって、しばらくの間は、沿道に彩を与えてくれることでしょう。ハルジオンやヒメジオンといった、春から夏に掛けて咲く野菊もあれば、ゴマナやヨメナなどの秋の野菊もあります。

このような野菊は、ノリクラでなくても一般的に見られますので、ちょっとした道端にも目を向ける心遣いが、心の彩を与えてくれるでしょう。

 

アキノキリンソウ

そして、こちらはアキノキリンソウ(秋の麒麟草、キク科アキノキリンソウ属)。「秋の...」という名のとおり、晩夏から秋に咲きますが、実際には8月くらいから咲き始めます。

 

小さな花が集まって咲くので「黄輪」

一般的に漢字では「麒麟草」と表記します。しかし、中国で伝わる空想上の動物の「麒麟」との関連はなく、小さな黄色の花がたくさん集まり、ひとつの花のように咲いている様子から、「黄輪」という表記であるという説もあります。

 

ミヤマアキノキリンソウ−アキノキリンソウの高山型(大雪渓)
2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.20(2010/09/25〜26) B
違いは花が頂部に集中している点

こちらは、高山型のミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草、キク科アキノキリンソウ属)。大雪渓エリアなどで、普通に見ることのできる高山植物です。

山地型のアキノキリンソウは、上から下までたくさんの花をつけますが、高山型のミヤマアキノキリンソウは、花が頂部に集中している点が特徴です。

 

三本滝ゲート − 今日は朝焼けがきれいでした

こちらは、観光センターから7km先にある三本滝ゲート。この先からマイカー規制が始まり、バス・タクシー、自転車のみ通行できます。三本滝ゲートには、警備員の方が常駐しており、開門前の道路パトロールや許可車両の誘導を行っています。

警備員の方の話では、今朝のパトロールは、日の出は見られなかったものの、朝焼けがきれいだったとのこと。夜明け前に鰯雲が赤く光る様子が見られました。三本滝ゲートの開門時間は6時(10月は7時)ですが、夜明け前に県境付近などから日の出を楽しむための、開門前にご来光バスが毎日運行されています。ご来光バスの運行ダイヤなどについては、乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 〜2011シーズン版〜 をご覧ください。

「元日の初日の出でなくでも、日の出はきれいなんですか?」という話を聞くこともあります。雨・濃霧など天候の悪いときは、日の出は見られませんが、天候の良いときの早朝は、空気が澄んでいて、夏でもきれいな日の出を見ることができます。

 

かもしかゲレンデ − ヤナギラン

三本滝ゲートを過ぎてしばらくすると、乗鞍高原温泉スキー場のかもしかゲレンデです。ヤナギランが再び花を開かせようとしています。

 

綿毛(実)がふわふわと舞い上がる − 秋の空にきらびやかに浮かび続ける

ご覧のようにきれいな綿毛が咲き、周辺にはフワフワと上下を繰り返しながら飛んで行く様子が見られます。まるで、虫が飛び交っているかのような光景です。

紅紫色の鮮やかな花もきれいですが、綿毛(さく果)が無数に舞い上がる様子は、秋の高い空をより一層、煌びやかに演出します。実際には花は二度も咲きませんが、結実して綿毛の実がはじける様子は、まるで花が咲いたような趣です。 Next


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

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