ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.4(2015/04/11) B

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(Update:2015/04/16)

 

【ツアーコースT − 入口急斜面】

ツアーコース入口

ツアーコースは標高2000メートルの入口から、標高2500メートルの位ヶ原までの約2kmの樹林帯を切りとおして作られたバックカントリーコースです。

 

視界30〜50メートル − 濃霧が続く

かもしかゲレンデ同様にひどい濃霧が続き、視界は30〜50メートルで雲の中にすっぽり入ってしまったような状況です。、気温は10℃。濃霧の中ですから湿気があって、日差しがなくても暑さを覚えます。もちろん、アウターを脱いで歩けば問題ない暑さです。ただ、もっと霧の粒が大きいときは、霧でぬれてしまいますので、その場合は、アウターやレインウェアが必要となり、その中での登行は「サウナ状態」になり、結構つらいものです。

 

根元付近から雪解けが始まる − 昨年より1週間ほど早い
積雪量は昨年より少なくなる

昨晩は雪が降ったものの、この1週間の雪解けを補うほどの降り方ではありません。ご覧のように一部ではブッシュの根元付近で雪解けが始まっています。これは先週までは見られなかった状況で。昨年よりも1週間程度早い雪解けです。

これまで、ツアーコースは昨年よりも積雪量の多い状態が続いていましたが、今週は完全に逆転して、昨年よりも少ない状況になってしまいました。

 

横たわっていたブッシュが起き上がり、背丈以上の密林に

入口急斜面は雪解けが進むと雪の下に横たわっていたブッシュが起き上がり、人の背丈以上の密林状態になってしまします。とても歩いて下山できる状態ではありません。

ご覧の画像は、雪の下に横たわっていたブッシュが、今まさに起き上がろうとしているところです。この付近は太さが2〜3センチの細い木々ばかりですので、高さが2〜3メートルと積雪量以上の高い木々であっても、厳冬期は降雪で押しつぶされて雪の中に横たわっています。ですから、雪解けが完全に終れば、地面も見えないほどの密林になり、歩くことは不可能です。

 

ツアーコースの下山滑走は5月中旬ごろまで
(積雪情報は当WebSiteで随時発信)

さて、ツアーコースの滑走可能時期は、例年5月中旬頃までです。雪解けが最も早いのはこちらの画像の入口急斜面ですが、雪解けが進むと雪の下に横たわっていたブッシュが起き上がり、人の背丈以上の密林状態になってしまします。とても歩いて下山できる状態ではありません。そうかといって、ここから再び登り返すわけにも行きません。

そのため、当WebSiteでは、4月下旬ごろからツアーコースやその下部のかもしかゲレンデの積雪状況をお伝えしておりますので、入山時にご覧くだされば参考になるかと思います。なお、ツアーコースでの下山滑走ができなくなった後は、位ヶ原山荘より乗鞍岳春山バス下り便に乗車して下山してください。

 

【ツアーコースU − 1〜6番標識付近】

入口急斜面を登りきった先のツアーコースは、比較的なだらかなルートが続きます。

 

春山・夏山シーズン前にノリクラで事前トレーニング

一旦、休憩されているこちらの方。今日は5番標識付近でテント泊され、毎年、リフトが終了するこの時期にお越しになっているとのこと...これから本格的な春山・夏山シーズンが入る前に、3000メートル級の山登りに向けての事前トレーニングとして、ツアーコースを登る必要があるとのことでした。

「実は3000メートル級の山でまだ登頂できていないのは、富士山と乗鞍だけなんですよ。毎年、乗鞍に来ているけど、いつも濃霧に見舞われて断念せざるを得ないんです。」
位ヶ原より上の森林限界では、厳冬期には吹雪によるホワイトアウトが長期間続き、これからの春山・夏山の時期は濃霧によるホワイトアウトが頻繁に発生します。吹雪は突然発生するというよりも、朝から晩まで継続しているのに対し、濃霧は稜線を超えて突然流れ込んで、一気に視界を奪うことが多々あります。

ですから、環境の厳しさでは厳冬期の吹雪のほうがはるかに上回りますが、視界不良による行動不能という点では、突然の濃霧のほうがはるかに怖いものがあります。

 

先週の1番標識付近
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) B
今週の1番標識付近
先週より75センチも雪解け
=これほど激しい雪解けは例がない=

晴れていれば、1番標識付近から、高天ヶ原や剣ヶ峰がくっきりと確認できますが、今日はツアーコース内から山頂方面を望むことは全くできませんでした。そして、1番標識の高さをご覧ください。先週よりも75センチも少なくなり、完全に人の背丈を超えてしまいました。

1週間で75センチもの雪解けは、この時期としては例がなく、夏の大雪渓でもこれだけの雪解けは珍し状況です。ただ、春雪は大雪渓の雪よりも柔らかいため、雪解けしやすいのは確かです。

 

昨晩の降雪2〜3センチ − ベタベタとした雪質

昨晩の降雪は2〜3センチ程度。シールにまとわりつくベタベタとした雪質です。また、うっすらと新雪が降り積もるバーン表面には縦溝が見られ、完全な降雪ではなく、比較的雨量の多い雨の時間帯もあったように見られます。

 

昨年の3番標識
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) B
先週の3番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) B
今週の3番標識
先週より30センチ減少
昨年より30センチ少ない

こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より30センチ減少して、昨年より30センチ少ない状態です。3番標識は先週から昨年より積雪量の少ない状態になりましたが、今週は根元部分のブッシュが見えるようになり、また、3番標識周辺ではすでに切り株が見える箇所もあらわれ、今後、雪着きの悪い場所は、急速に雪解けが進むことが予想されます。

 

路線バスなのでゲレンデ最下部から

「ゲレンデ内はトレースが全くなくて大変でした。」と、おっしゃるこちらの方。よくお話をお聞きすると、休暇村ゲレンデからではなく、Mt乗鞍最下部の事務所前のゲレンデから歩いてこられたとのこと...マイカーでお越しの方なら「休暇村からスタートすればよいのにと」不思議に思うかもしれませんが、路線バスでお越しの場合は、Mt乗鞍のベースにある「スキー場前停留場」までしか運行されていないため(※)、Mt乗鞍最下部から歩かざるを得ないのです。

※ 1ページ目に休暇村まで冬季も運行される旨の記述をしましたが、お昼の便しかなく、休暇村まで全便運行される春夏ダイヤになるのは4月17日からです。

 

昨年の5番標識
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) B
先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) B
今週の5番標識
先週より35センチ減少
昨年より35センチ少ない

こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より35センチ減少して、昨年より35センチ少ない状態です。

3番標識では、先週の段階で今年初めて昨年よりも積雪量の少ない状態となりましたが、5番標識は今週から昨年よりも少ない状態になってしまいました。なお、厳冬期は昨年よりもかなり多い積雪状態が続き、今年の最大積雪量は1ヶ月前の3月中旬(取材日3月14日(土))に計測でき、5番看板が80センチも埋没しました。もちろん、これが過去最高の積雪量でした。

 

降り積もった湿雪がボタボタと音を立てて落ちる

周囲の木々には昨晩の降雪が積もっていて、それがボタボタと音を立てて溶け落ちています。場所によってはボタボタというよりも、せせらぎが流れるような状態といったほうがよいもので、静かなツアーコースではかなり目立つ存在でした。

 

昨年の6番標識手前の谷
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) B
今週の6番標識手前の谷

5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。この画像を見る限り、ウェーブになっていることは全くわかりませんが、積雪がまだ少ない1月までは、往来するのに苦労するほどの谷になっています。この谷が埋まるのは2月以降で、春スキーにしかお越しになったこののない方が初めて厳冬期のツアーコースにやってくると、必ず閉口する場所で、特に年末年始ごろはここを通過するだけでかなりの時間を必要とするほどです。

しかし、今年は積雪量が増加するのが早くて、1月中下旬には、ほとんど問題ない状態になりました。

 

そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。

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