ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.4(2015/04/11) C

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(Update:2015/04/16)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C

今週の位ヶ原急斜面
先週より40センチ減少、昨年より30センチ多い状態

位ヶ原急斜面の積雪は、先週より40センチ減少し、昨年より30センチ多い状態です。積雪量は昨年よりもかろうじて多い状態が続いていますが、次週も激しい雪解けが同じように続くと、ツアーコース内の各所と同様に、昨年よりも少ない状態に逆転してしまう可能性があります。

 

位ヶ原山荘はこの先斜め右へ

位ヶ原や大雪渓・山頂方面へは、そのまま直進しますが、位ヶ原山荘へは、ここから斜め右へ進みます。斜め右へ登って行くと竹竿に赤い布があり、山荘まで設置が続いているため、ルートを間違える心配は少ないかと思います。ただ、今日の濃霧では次の赤布が見えにくい状態ですから、しっかりと次の赤布を確認しながら進んでください。ツアーコース位ヶ原急斜面から位ヶ原山荘までは40分前後だと思います。

 

昨晩の降雪は5センチ

この付近でも昨晩の降雪は5センチに満たない状態。ただ、若干水分が少なくなって、新雪感が足裏に感じられるようになってきました。

 

位ヶ原急斜面 − 濃霧、この先入山困難

こちらは位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原の入口部分。ご覧のようにかなり濃霧がひどくなり、この先のオープンバーンでは方向を見失うことになりますので、地形などを熟知されていない方はこの先への入山はされないようお願いいたします。

1ページ目の観光センター前駐車場のコーナーで「低く垂れこめる雲が今日の天候のポイント」と、申し上げましたが、その雲の中にすっぽりと覆われた状態です。

 

【下山ルート】位ヶ原急斜面 【ルート間違い】伊奈川の谷 −過去に何度も遭難発生

こちらは位ヶ原急斜面周辺を上から見た画像。左は位ヶ原急斜面で右はその隣にある伊奈川の谷です。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進み、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありませんので注意が必要です。

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラガイドマップ冬スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面からツアーコースに下山する際、間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面と伊奈川の谷、その周辺の位置関係は、ノリクラガイドマップ冬スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

また、これからの春スキーに向けて ノリクラガイドマップ春スキー版 もリニューアルいたしましたので併せてご確認ください。4月25日(土)より運行が開始される乗鞍岳春山バスで春スキーにお越しになる方には、ぜひともご覧いただきたいと思います。

 

【位ヶ原 − 雲上の世界へ】

位ヶ原

ツアーコースを登りきった先の位ヶ原。標高約2500メートルの台地は森林限界を超えます。目印となる木々が極端に乏しくなってきます。

 

昨年の位ヶ原
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C

先週の位ヶ原
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C

今週の位ヶ原
先週より30センチ減少、昨年より30センチ少ない

位ヶ原の積雪量は、先週より30センチ減少して、昨年より30センチ少ない状況。こちらでもツアーコース同様に激しく雪解けが進んでいます。今週の画像の奥に見えるハイマツ帯が先週よりも大きくなっています。

 

先週の位ヶ原(ハイマツ帯)
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C
今週の位ヶ原(ハイマツ帯)
高さは1メートルを超える

 こちらがハイマツ帯部分。ダケカンバの大木に近づけないほどハイマツ帯が広がり、高さは1メートルを大きく超えています。

 

山頂方面もかなり雪解け

ツアーコース内では見ることのできなかった山頂方面を見ると、かなり雪解けが進んでいる様子がわかります。

 

昨年の剣ヶ峰方面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C

先週の位ヶ原
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C

今週の剣ヶ峰方面
裾のハイマツ帯部分の雪解けが激しい

こちらは剣ヶ峰方面。山頂付近は昨年や先週とそれほど大きな違いはありませんが、昨年はまだ全く見られなかった裾のハイマツ帯部分で、かなり雪解けが進んでいます。

 

昨年の摩利支天岳
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C

先週の摩利支天岳
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C

今週の摩利支天岳
ピーク下の岩場部分などで雪解けが激しい

摩利支天岳方面は、画像左のピークから下の岩場部分などを中心に雪解けが激しく進んでいます。山頂方面でも昨年よりも雪解けが少ない状態が一目でわかる状態になってしまいました。

大雪渓や山頂方面は4月下旬までは積雪量が増加する時期ですので、まだ若干増えると予測されますが、先週・今週の雪解けを補うほどの降雪に見舞われることは期待できないかと思います。

 

ツアーコース方面 − 厚い雲が谷底を埋め尽くす
=山麓側では低い雲が垂れ込めている=
位ヶ原では雲上の世界が広がる

位ヶ原7号カーブ付近まで登ってくると、突然青空が広がりました。そして、登ってきたツアーコース方面を見ると、厚い雲がツアーコースの谷底を埋め尽くしています。これが山麓での濃霧の原因で位ヶ原には雲上の世界が広がりました。

1ページ目の観光センター前駐車場のコーナーで「低く垂れこめる雲が今日の天候のポイント」と申し上げましたが、山麓の乗鞍高原でいつも以上に雲が低いときは、森林限界以上では雲の上に抜ける場合がよく見られます。

 

このような現象は夏場はよく見られるものの、この時期は珍しい

濃霧のツアーコースからは想像もできないようなローケーションです。夏場なら山麓の乗鞍高原はどんよりとした雲の中であっても、位ヶ原山荘付近から雲海の上に出て、位ヶ原・大雪渓は雲一つない快晴に包まれることは多々見られます。しかし、この時期にこれだけはっきりとした場面転換はあまり見られません。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C

先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C

今週の大雪渓入口
先週より30センチ減少、昨年より50センチ多い

先週よりも30センチ減少して、昨年より50センチほど積雪量が多い状態です。大雪渓はゴールデンウィーク前あたりに最大積雪量を迎えますので、今回のように積雪量が減少しても、再び増加することが期待されます。

厳冬期は乾いた雪質のため、絶えず強風にさらされる大雪渓や位ヶ原では積雪量が増加しません。そのため、厳冬期に入っても大雪渓内には最後まで姿を見せている大岩(※)があり、例年なら3月以降になってその姿がようやく埋没するのですが、今年は2月には完全に埋没してしまいました。(※当WebSiteでは「モーグルコースの岩」と呼んでいる大岩です。)

 

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。

 

【大雪渓からの下山− 春は突然の濃霧に注意】

大雪渓からの下山 −濃霧時はハイマツ帯を目印に
【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースに戻る下山ルート】

さて、大雪渓からツアーコースへの下山ですが、このようなオープンバーンのため、ツアーコース位ヶ原急斜面ではなく、すぐ隣の伊奈川へ侵入する道迷いがたびたび発生しています。初回の ノリクラ雪渓カレンダー 2015シーズンプレリリース版 Vol.1(2015/03/21) C 【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースに戻る下山ルート】 で、下山ルートを紹介しておりますので、再度ご覧ください。

 

ハイマツ帯が切れたあたりから斜め右方向へ
直進すると5号カーブ(除雪後5〜10mの雪の壁転落の危険)
中央のハイマツ帯より左へ

前の画像の緑丸部分ですが、先週から大雪渓トイレから屋根板方面に伸びる尾根筋にハイマツ帯が現れてきましたので、突然の濃霧に遭遇した時は、こちらの尾根がに伝って下山し、ハイマツ帯が終わったあたりで、斜め右に方向を変え、完全に平坦になったところで、上記の下山ルートを取るようにしてください。

ただ、これは突然の濃霧に対する緊急の対応方法で、濃霧時に入山することは絶対に避けて下さい。また、濃霧がひどい場合は、ハイマツ帯が途切れた場所から、斜め前に見えるツアーコース方面が確認できない場合もありますのでご注意ください。

なぜ、このようにハイマツ帯沿いのルートを濃霧時にお勧めしているかというと、大雪渓からフォールラインに沿って進むと、右の画像中央に見えるハイマツ帯の右側に進入してしまう恐れがあり、ルートを間違える危険があるためです(×印の赤線ルート)。

 










ハイマツ帯が切れたら斜め右へ(青線)
ノリクラガイドマップ春スキー版
除雪後は5号カーブの雪の壁(5月上中旬、転落注意!)
ノリクラガイドマップ春スキー版

地図で説明すると、濃霧時に大雪渓からそのままフォールラインに沿って下山滑走すると、誤って伊奈川方面に進入する危険性があり(ピンクの線@)、また、ハイマツ帯が途切れた地点から青線を斜め右に進まず、まっすぐ行った場合は、誤って位ヶ原山荘前の雪崩斜面に出る危険性があります(ピンクの線A)。

また、現時点では全く問題ありませんが、今後、道路の除雪が進むと、ハイマツ帯が切れた少し向こう側に、県道乗鞍岳線の5号カーブが出てきて、高さ5〜10メートルの雪の壁となります。そのため、誤って進入すると、道路に転落する危険性があり、ハイマツ帯が途切れたら、必ず斜め右へ進路変更してください。5号カーブ付近の除雪は例年5月上旬〜中旬頃で、5号カーブの位置は、ノリクラガイドマップ春スキー版で確認できます。(地図上の【立入注意】5号カーブ(雪の壁) というアイコンをクリックして下さい。) 

春は急速に天候が悪化して、突然の濃霧に見舞われて、方向感覚が失われてしまいます。このようにならないよう、雲の動きには細心の注意が必要です。

 

<編集後記>

「乗鞍はどれだけ高いの?」

標高3026メートルの乗鞍岳(剣ヶ峰)は、国内19位の高さの山で、県内を見ても北岳をはじめとする南アルプスや、穂高・槍ヶ岳など高い山が多数あって、ノリクラは際立って高い山というわけではなさそうです。

しかし、別の指標でみると、活火山においては、富士山、御嶽山に次いで3番目の山で、剣ヶ峰の火口に当たる権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m、)は、御嶽山 二ノ池(にのいけ、標高2905m)に次いで2番目に高い火口湖です。また、降った雨が太平洋と日本海のどちらに流れるかを分ける中央分水嶺の最高標高地点は、乗鞍岳の剣ヶ峰にあります。

また、人が居住している場所として、役場の標高を用いる場合はありますが、標高1500〜1200メートルに分布する乗鞍高原に最も近い奈川支所(標高1073m※)や旧安曇村の安曇支所(標高732m※)は、かなり離れた場所にあり、指標としては無理があります。

別の指標として、ある程度の人口の居住地域を現すものとして小中学校を挙げると、乗鞍高原宮の原にある大野川小中学校(標高1208m※)は全国で6番目。最も高いのは八ヶ岳の東麓にある南牧南小学校(長野県南佐久郡南牧村、標高1327.5m (当校HPより))。そのほか長野県内では、川上村立川上第二小学校(南佐久郡上川村、1279m※)、菅平小学校(上田市、1251m※)があり、乗鞍の大野川小中学校は県内4番目です。長野県内の他3学校は、集落の中心との標高差があまりないのに対して、大野川小中学校は乗鞍高原の中でも標高の低い場所ありますので、ある程度の規模の居住地域として、乗鞍高原は県内でもっとも高い場所といってもよいかもしれません。

※ 標高は地理院地図を参照

 

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