第30回 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍

(2015/08/29〜30) B

Top-page > Mt.-Cycling& Marathon-Index > Page: 1  2  3  4  5  6  7 

(Update:2015/09/22)

 

【8月30日(日)、大会当日は大雨、レースはどうなる!】

午前4時 − 大雨

大会当日8月30日(日)、時刻は午前4時です。昨晩22時頃から続く雨が一層強くなり、その雨音で目覚めるほど降り方です。気温は15℃でほぼ無風状態。まだ夜明け前ですが、選手の車が続々とやってきます。

 

大会本部 − パソコンで天気チェック
=夜が明けてから現地状況を確認=

大会本部にはスタッフが到着し、挨拶もそこそこにパソコンで天気予報や雨雲レーダーの様子を食い入るように注視します。「6時ぐらいになると雨雲が薄くなってますよ。この分なら通常通りにできそうですが、夜が明けてから現地にスタッフが向かいますので、その現場状況の連絡を待ってからの判断になります。」

2時40分現在の畳平の天候は雨、気温7℃、風速8メートルと、少し風が気になるところですが、それ以外はレースに大きな支障となるものではありません。また、24時間雨量も20mmほどで雨の降り方もさほどではありません。ただ、視界不良のため、岐阜県側の乗鞍スカイラインは自転車通行止めとなっています。なお、長野県側の県道乗鞍岳線は本大会のため、6時から12時30分まで通行止めが予定されています。

 

なお、レース当日のスケジュールはご覧の通り。(拡大 − 画像をクリック)

 

スタート地点 − 準備は着々と進むが、雨は収まる気配なし

午前5時、雨の降り方は強弱を繰り返し、収まる気配はありません。そんな中でも、スタート地点の準備も着々と進み、すべての作業が手順通りに進んで行きます。

 

旅館・民宿 − 選手に合わせて、夜明け前から朝食準備

乗鞍高原一帯の旅館・民宿は、この日ばかりは朝がめちゃくちゃ早い...7時スタートの選手に合わせて、朝食は5時前後に始まります。さらにどこも満室状態で、夜明け前から家族総出で厨房に立ちます。

ただ、1週間前の週間予報で この週末の天候が芳しくないと発表され、出場を取りやめる選手の宿泊キャンセルが目立つ旅館・民宿もあった模様です。こちらの旅館では直前になって半数近くもキャンセルが発生してしまったとのこと...しかし、大半の選手はもう宿泊先を決めていて、この日は一般観光客の扱いも困難なため、結局、シーズン最大の書き入れ時に、客室を埋められなかった模様。

例年、このようなキャンセルが出ることはなく、出場が決定した際には、即座に宿泊場所の確保をしなければいけません。出場される方の中には家族同伴というケースもあるかと思いますが、この日ばかりは出場選手をメインとした対応となり、付き添いの方なども選手と同じ時間帯(朝5時)に朝食をとっていただくようお願いする宿も多いようです。

 

6時前 − レース開催可否を確認に会場へ

時刻は6時前、レース開催可否を確認しようと、大会会場にお越しになった方もいらっしゃいます。

「今回はもうあきらめました。スタート前の待機中に濡れてしまい、ゴールして上で待ってるとさらに冷え込んで耐えらない状態になります...ですから、返却するためにアンクルバンドを持ってきちゃいましたよ。」

と、その時、場内アナウンスが始まりました。
「ご案内いたします。本日の大会実施可否につきましては、この後、6時に発表予定となっていますが、天候状況によっては、発表が遅れる場合があります。5時45分現在のゴール付近の気象状況です。気温10℃、風速3メートル...本日、棄権される方は、アンクルバンド・センサーを大会事務局まで返却お願いいたします。なお、大会実施可否については、JCAのサイトでもご確認いただけます。」

 

大会本部には気象・道路状況が刻々と無線連絡
=雨は小康状態だが、36号カーブで道路が川のように冠水=

大会本部には、現地に向かった無線連絡のスタッフから、気象状況・道路状況が刻々と入電します。「雨は小康状態になってきましたが、三本滝ゲートの上、36号カーブ付近から先は道路が川のように冠水していて、深さ10センチくらいになっています。」

 

大会本部で協議
=冠水箇所、ゴール責任者の現場判断をもってもう一度検討=
36号カーブはこの辺(三本滝ゲートの先です)

時刻6時過ぎ、すでに発表時刻を過ぎていますが、大会本部では協議が続けられています。

「6時45分のレーダーでは雨雲がまだ厚いのがかかってるからなぁ〜〜。」
「36号カーブってどの辺ですか?→三本滝ゲートの先ですよ。→結構、下のほうですね〜」
「風さえなければ、大雨でも大会はやれるんですけどね。→ いや、雨が収まっても、流れ出る水量は当面変わらないので...」

事務局担当者はそれらの情報を聞きながら...
「摩利支天の浸水箇所以外は問題ない...大雪渓付近は視界は良好。雨量やゴールの状況から、今の判断だったら予定通りにスタートがいい。ただ、下山の低体温と浸水箇所が心配。ゴール責任者が現在向かっているので、その判断をもってもう一度、検討したい。」と、冷静に判断。

 

【参考画像 2013年7月撮影】 冠水した道路 − 29〜31号カーブ付近(中間地点付近)
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2013/07/05〜06) @
【参考画像 2013年7月撮影】 冠水した道路 −   36号カーブ(三本滝ゲートの先)
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2013/07/05〜06) @

「10センチ溜まるっていうこともあるんですか?法面から溢れ出した水は、大体道路を横切るだけじゃないんですか?」と、イメージするのが普通のようですが、県道乗鞍岳線は全線でかなりの勾配があり(←だからヒルクライムに人気)、道路に流出した雨水は、道路をそのまま下に向かって一気に流れて落ちて行きます。

こちらは2013年7月に撮影したもので、今回とほぼ同じ個所の冠水の模様です。上段の画像は中間地点付近の29〜31号カーブ。そして、下段の画像は大会本部で盛んに飛び交っている「36号カーブ」の模様です。平均傾斜が6%もありますから、かなりの勢いで流れ、、実際、この時は流れに足を踏み入れると、足元がすくわれそうになるほどの勢いでした。

 

「もしもし、位ヶ原山荘までいけない。じゃ〜三本滝ってこと?」 青くなる実行委員長

「ゴールを位ヶ原山荘にしようが大雪渓にしようが関係ない。問題は冠水箇所だ!」色々な協議の末、論点は浸水箇所の規模にしぼられてきます。要はそこが通れるか通れないか?

そして、ゴール担当者からの電話が入り、実行委員長自ら状況を聞きます。
「水たまりのところに救護班とか待機させて安全対策はとれないの?...えぇ〜無理...じゃ〜どこまでだったら行けるの?...クライ(位ヶ原山荘)まで行けない...じゃ〜三本滝っていうこと?」 傍らで電話内容を聞くスタッフが固唾をのんで聞き入ります。

事務局の担当者はさらに...
「中止にしないで三本滝ゴールにした場合、すべての設備を移動させるのにどれくらいかかる?...今から1時間半...わかりました。もしもし...では、三本滝ゴールで8時スタートということで準備に入ってもらっていいですか?えぇ〜っと、三本滝レストハウスが締まっている場合はトイレは使えますか?外の...わかりました。」

と、いったん電話を切り、大会本部に詰めている実行委員・スタッフに対して、
「クライまでいけないっていうのは、上のスタッフの全員一致の判断らしいので、それで決定でいいですか?」という審議の末、8時スタート・三本滝ゴールということになりました。

そして、この協議の間、会場内には、「選手のみなさまに申し上げます。本日の大会実施につきましては現在協議中となっております。」のアナウンスが繰り返されていました。

 

「雨水が10センチを超え自転車走行不可能なため、三本滝ゴールでの大会開催を検討中です」

すぐに会場内に流すアナウンス原稿のすり合わせ...

「えぇ〜っと、全長7km・標高差360メートルですね。検討中ということで大会実施は追ってご連絡しますということですね...現在中間地点から1キロ区間で沢の水が流入し、雨水の量が10センチを超えている状態です。自転車による走行が不可能な状況で、フルコースの大会が不可能となりました。残念ではありますが、第1チェックポイントの三本滝とする大会実施を行います。」 

そして、6時30分に上記の内容で検討を実施しているという会場アナウンスが行われました。おそらく検討中という扱いにしたのは、ゴール設備などの移動が確実になった段階で正式発表という形にしたかったものと考えられます。

その後、7時前に正式発表がなされましたが、スタート時刻(8時00分)を含め、すべてのタイムテーブルが1時間遅れで実施されることに決まりました。

 

アンクルバンドを返却する選手が続々と 「三本滝ゴールじゃ短くて絵にならない...」と困り顔
=放映は9月19日(土)14:00(長野放送)=

まだ、検討段階ではありますが、実質的にはほぼ決定で、アンクルバンドを返却する方々が続々と訪れます。受け取るスタッフは「ありがとうございます。また、来年もよろしくお願いします...」と、一人一人の選手に精一杯の声をかけることを忘れません。

選手も残念そうですが、長野放送のスタッフも「三本滝ゴールじゃ〜短くて絵にならないよなぁ〜だけど『中止になっちゃいました〜』っていう番組も作れないしねぇ〜〜」と、こちらも困り顔...番組の放映は、2015年9月19日(土)14:00〜14:55です。

 

ローラー台を回す

大半の選手があきらめたり、しょうがないと思っている中、ローラー台を回し続けるこちらのふたり。

 

「行きます!」と、
即答の金子 広美選手
「ショート!オレの時代が来た!」と、
満面の笑みの筧 五郎選手

黙々とウォームアップを続ける金子 広美選手「行きます!」と、即答...そして、その隣の筧 五郎選手は「ショートコースですよねっ!ショートだったら勝算ありますから...いや〜いいなぁ〜ショートは!勝機が回ってきた!オレの時代が来た!!やってきてよてよかったですよ〜」と、水を得た魚のごとく満面の笑み。

「勝負師」の筧選手にとって、この状況は待ちに待った一大チャンス。2005年の再来(優勝)を期待していますよ!

 

「スプリントレースですよ。俄然やる気出てきた!」

こちらの選手も「三本滝ですよ。スプリントレースですよ!わはは〜〜俄然やる気出てきた!」と嬉しそう。持久力が必要がヒルクライムとは裏腹に、スプリントに近いショートコースは瞬発力がモノを言うため、全く性格の異なるレース展開になりそう。

トップ選手の場合は、フロント1枚(インナー)のヒルクライム仕様にしているケースが多いのですが、急遽、予備のバイクに変更したり、発表からスタートまでの1時間半の間に、即座にアウターを装着してスプリント仕様に変更された選手もいらっしゃり、三本滝ゴールということは、コース短縮にとどまらない大きな「仕様変更」なわけです。

 

雨の降り方は一向に変わらず...

三本滝ゴールというアナウンスが流れた後も、雨の降り方は一向に変わりません。完全に梅雨末期のような降り方。

 

軒先は選手で埋め尽くされる 紅葉のポスターがきれいだったから秋にもう一度来ます

軒先・テントなど、雨宿りできるところはどこも選手で埋め尽くされています。

今年は5回もノリクラに通ったこちらの選手(一番右の選手)。5回もお越しになっていらっしゃいますので、当WebSiteにもたびたびご登場いただいております。「ショートコースだからみなさん速そうですね。今日はこんな状況でも出場しますが、改めてまた来ます!紅葉のポスターがきれいだったから、秋のヒルクライムも来ます!」

 

@ 2014/09/28 09:35
紅葉 − 中腹エリアの色合いは他のエリアよりも鮮やか
(県道乗鞍岳線 − 摩利支天〜荒田沢橋間)
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2014/09/27〜28) F
A 2014/09/28 09:55
紅葉 − ダケカンバの色合いが昨日よりも進む
(県道乗鞍岳線 − 冷泉小屋前)
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2014/09/27〜28) F

B 2014/09/28 10:40
紅葉 − 昨晩は霜が降りず、上部エリアの紅葉は温存
(県道乗鞍岳線 − 位ヶ原11号カーブ)
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2014/09/27〜28) E

C 2014/09/28 11:35
紅葉 − 全エリアで一斉に見事な発色、稀に見る当たり年
(県道乗鞍岳線 − 大雪渓下)
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2014/09/27〜28) E

こちらは昨年9月下旬の紅葉の様子。特におすすめは位ヶ原・大雪渓付近の紅葉をヒルクライムされること。位ヶ原・大雪渓の紅葉は9月下旬ですが、見頃は1週間もありません。当WebSiteでは、9月から紅葉情報を掲載していますので、今シーズンの状況や過去の状況推移などをご覧になりながら、見頃の時期を逃さずにぜひともお越しください。

 

観光センター2階の講堂 「この雨は悪魔の仕業??」と、ニヤリ...

観光センター2階の講堂にも多くの選手が待機中。外の軒先で雨宿りの選手の中には、寒さでカタカタ震える様子が見られましたが、講堂はむしろ暑いくらいでした。講堂のテラスには悪魔おじさんの姿がありましたが、「この雨は悪魔の仕業??」とニヤリと笑っています。

その悪魔おじさん、「棄権...いやいやしませんよ。だって選手のみなさんの応援に行かなければなりませんからね。」 多くの選手が悪魔おじさんに会えることを楽しみに出走しますので、その期待に裏切ることは決してありません。

 

1時間遅れで開会式 − 三本滝短縮開催を発表(大会実行委員長 福島 眞氏)

7時30分、1時間遅れで開会式が始まります。「大会説明を第30回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍2015 大会実行委員長の福島 眞より、ご説明いたします。」

「おはようございます。本当につらい報告をしなければなりません。昨年・一昨年と短縮のコースをやむなく行いました。今年こそはと思いましたが、あいにくの天気になってしまいました。改めて、本日の開催コースの変更についてご報告いたします。昨日からの悪天候によりまして、コースの中間点から約500メートルくらい上、法面からコース上への本当に大量の水の流入がございます。水深約10センチ以上ということでございますので、自転車走行は全く行いえない状況でございます。これにより、大変残念ではございますが、フルコースでの開催は断念いたしまして、ゴールをチェックポイント1(CP1)の三本滝とさせていただくように決定をさせていただきました。この変更に伴いまして、スタート時間を1時間遅らせ、8時からの開催といたします。また、選手のみなさんには雨による体温低下と下り坂でのスピードに十分注意していただきまして大会に参加していただきたいとおもいます。大会主催者といたしましても残念には思いますがどうぞご理解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。」

また、「去年は事故はありませんでしたが、毎年下山時に事故が発生しています。三本滝・休暇村での事故が多い。くれぐれも下山時は追い越し禁止・カーブ減速・左側通行を守ること。」との注意喚起もありました。

 

チャンピオンクラスの誘導が始まる

そして、7時47分。チャンピオンクラスの選手のスタートエリアへの誘導案内が始まります。

 

小山田 智也選手と宮崎 新一選手

自転車を押しながら小山田 智也選手と宮崎 新一選手。「どうですか〜」「いや〜調子がピークに来てるといいんですけどね〜」

 

カテゴリーごとのマスドスタート − 計測はネットタイム スタート3分前 − 雨が激しくなってきた、少し寒そう

各カテゴリーごとに指定した時間にマスドスタートでレースが始まりますが、第27回大会(2012年)より、計測方式がネットタイム形式に変更されましたので、スタートポジションに関係なく、スタートライン通過からゴールライン通過までの時間で順位が確定されます。そのため、ゴール着順と確定順位が一致しない場合もあります。今回はコースが短くスプリント要素が多いため、ゴール着順と確定順位が大きく異なることが予測されます。また、今回はゼッケン番号を入れると、即座に結果が表示されるサイトが用意されました。

スタート3分前...雨は激しい降り方になってきました。気温15℃、スタートを待つ選手を見ると、少し寒そうな様子です。

■ Next>>  Page4 【三本滝に向かって一斉にスタート − 雨の中のスプリントレース】 ■

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  5  6  7  Next>>