ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.6前編(2016/04/20・23) A

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(Update:2016/04/28)

 

【乗鞍岳春山バス試運転】

試運転を待つ人々

冒頭にも申し上げた通り、今日は春山バス試運転が実施されます。これは毎年、運行開始の数日前に、関係省庁、及び、実施主体で試運転を行い、道路の安全確認を行ったうえで春山バスの運行が決定されます。

 

試運転バス到着 昨年に引き続き二回目の運転手さん

10時前、試運転バスが観光センターに到着。試運転バスに使用されるのは、運行を行うアルピコ交通が実際に春山バスに使用するハイブリッドの大型観光バス。そして、試運転を担当する運転手さんは、昨年に引き続き、今年も大役を任された模様で、夏のシャトルバス以来の久々の再会です。

 

乗車前の説明 関係者を乗せて出発

「皆様、おはようございます。これからバスに乗っていただいて、これから春山バスの試運転ということで、位ヶ原山荘まで行っていただきます。資料をご用意しておりますので、受け取られたのち、ご乗車ください。それではさっそく乗っていただきて、中のほうでご説明させていただきます。」との説明ののち、試運転バスは9時50分に観光センターを出発します。

なお、この春山バス試運転は一般の方々の乗車を目的としたものではありませんのでご了承ください。

 

乗鞍岳春山バス事業計画の説明(松本市山岳観光課)

乗鞍岳春山バスは、冬季閉鎖中の県道乗鞍岳線を利用し、乗鞍観光センターから位ヶ原山荘・大雪渓肩の小屋口まで1日4便運行するもので、松本市、アルピコ交通、のりくら観光協会、乗鞍高原温泉旅館組合、乗鞍高原温泉民宿組合が連携して実施されます。

今回の試運転には、松本建設事務所、環境省、中信森林管理署、長野県地方事務所環境課、松本市山岳観光課などの関係機関、道路除雪を実施する金多屋建設株式会社、春山バスを運行するアルピコ交通株式会社、そして、のりくら観光協会、乗鞍高原温泉旅館組合、乗鞍高原温泉民宿組合、休暇村乗鞍高原など地元関係者、合計30名が参加されました。

 

昨年の東大ヒュッテ口=三本滝間
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7(2015/04/28〜29) A
今回のの東大ヒュッテ口=三本滝間
雪がほとんど残っていない

除雪後、全長12メートルの大型バスが通行するのは今回が初めてとなりますので、道幅は大きく確保されていても、大型車両特有のオーバーハングの問題から、部分的に再除雪を行う必要があったり、場合によっては、関係機関了解のもとで、枝打ちを行う必要もあり、実際の運行車両を使用した試運転が必須です。

さて、こちらの2枚の画像。左は昨年の試運転時のもので、右は今回の画像。どちらも東大ヒュッテ口から三本滝間の同じ場所の様子です。今年は三本滝までは雪がほとんど残っていない状態になっています。

 

三本滝ゲート、この先6月30日まで冬季閉鎖中

観光センターから約7km先の三本滝ゲート。この先、6月30日までは冬季閉鎖です。

 

試運転バス(春山バス)が通過するときだけ開門

アルピコ交通の係員がゲートの施錠をあけて、試運転バスを中に入れましたが、実際の乗鞍岳春山バスも、通行するときだけ開門して通行します。

道路の「冬季閉鎖」は、すべての通行に対して関係するもので、自動車だけに適用するものではありません。ですから、除雪が完了しているといえども、自転車の通行も認められていません。たまに夏のシャトルバスと同じ感覚で、春山バスに下山目的で自転車を積み込もうとされる方がいらっしゃいますが、上記のような事情により、春山バスには自転車は積み込みできません。また、ヒルクライム目的で三本滝より先の自転車通行もできません。

 

【乗鞍岳春山バス試運転− 三本滝から冷泉小屋前】

三本滝ゲートから300メートル 道路を覆い尽くす土砂崩れ(試運転3日前の様子)

三本滝ゲート以降が試運転の本番...今シーズンは大雨に見舞われるケースが多く、三本滝ゲートから300メートルほど先では、4月上旬の大雨で、道路左の斜面から土砂崩れが発生しました。右の画像は試運転の3日前の様子で、まだ土砂が道路を覆い、さらに下流まで流れていました。

 

上の道路から土砂崩れが始まる ガードロープなどがが宙吊りに

こちらはその上の道路。土砂崩れはこの道路から発生し、先ほどの下の道路まで達し、ご覧のようにガードロープなどが宙吊りになっています。なお、冬季閉鎖が解除される7月1日までには復旧工事を完了させる予定とのことです。

 

かもしかゲレンデを通過 のりくら観光協会会長から春のイベントの説明

松本市山岳観光課の方からの春山バス事業計画の説明に続いて、ゴールデンウィークなどこれからの時期、オススメの乗鞍高原の楽しみ方について、のりくら観光協会会長からの挨拶です。

「おはようございます。例年より1週間早くバスが運行されることについては、松本建設事務所をはじめ各機関の方々にお世話になり、お礼を申し上げたいと思います。今年は年末から非常に雪が少なくて、私共非常に心配しておりますが、冷泉小屋を過ぎるあたりから、例年のごとくの積雪量のようで、非常にきれいな雪の壁が見えますので、ぜひご覧になっていただきたいと思います。

この春山バスは昔は会員バスといって、春スキーを楽しむ方ために、松電さん(※)のほうで運行していただいたわけですが、一般の方も入れてはどうかということで現在に至っており、一般の方にもたくさんお越しいただく状況になっております。そのため、乗鞍高原のイベントとしては大きなウエイトを占めるようになってまいりました。(※ 松本電鉄の略称、現在のアルピコ交通)

春山バス以外の乗鞍高原のイベントとしては、5月22日(日)に開山祭(すもも祭り)を一の瀬園地で実施いたします。それから、4月29日から10日間、水芭蕉のガイドツアーを行います。地元のガイドをお願いして3年目となりますが非常に好評です。他のところでは水芭蕉が咲いている場所はロープで規制されていますが、地元ガイドが案内する場所では足元で咲いている様子をご覧いただくことができる唯一の場所であります。そして、6月には乗鞍天空マラソンが実施され、一年を通していろいろなイベントを通して、お客様にお越し頂くよう頑張っていきます。」

 

今年は何の変哲もない場所ですが...(↓)

ちょうど、かもしかゲレンデを横切っているところですが、特に変わった様子はありません。

例年、大きな枝が張り出して、運行の支障になっている
2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.6(2013/04/25〜29) A

でも、毎年、雪解けとともに大きな枝が道路に張り出し、バスの乗務員が枝を持ち上げながら通行しなければならない状況です。しかし、今年はなぜそれがないかというと、完全に雪がなくなってしまったため、雪から張り出していた枝は、真上に向かって伸び始めたためです。ですから、この付近は、雪解け水の夜間凍結の心配もなければ、張り出す枝にも心配することなく、ほとんど夏のシャトルバスと同じ状況といえます。

 

29号カーブ上の直線区間

さらに進んで、29号カーブ上の直線区間。摩利支天バス停の約1km先になります。県道乗鞍岳線のカーブ番号は、ノリクラガイドマップ 県道乗鞍岳線カーブ番号版 にてご確認してください。 芽吹き前の今の時期は単なる丸裸ですが...(↓)

 

新緑のダケカンバ(29号カーブ上、6月中旬)
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2014/06/14〜15) @
紅葉のダケカンバ(29号カーブ上、9月下旬)
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2014/09/27〜28) F

芽吹きを迎える6月にはご覧のように明るい緑に包まれ、9月下旬の紅葉の時期には見事な錦絵が広がります。この一区間だけで十分四季を感じることができます。

 

こちらでも法面崩壊 法面崩壊直後の様子(撮影:2015/12/12)
昨年12月上旬の大雨で大きくえぐられる

さて、この直線区間を進むとグリーンのシートがかけられて、右側通行となっています。これは昨年12月上旬の大雨で、道路下の斜面が崩れてしまい、厳冬期の積雪による崩落拡大を防止するために、本格的な降雪の前にかけられたものです。

右の画像は崩落直後の画像。路面にはすでに50センチ程度の積雪があったものの大雨で融け流され、流れ落ちがこの箇所では道路下がほぼ垂直にえぐられています。よく見るとお分かりかと思いますが、手前の側溝がその先は跡形もなく押し流され、ガードロープも宙吊りになってます。

こちらに関しても、7月1日の冬季閉鎖解除前までに復旧工事が進められるとのことでした。

なお、県道乗鞍岳線のカーブ番号は、ノリクラガイドマップ 県道乗鞍岳線カーブ番号版 にてご確認してください。

 

この先、急峻なつづら折れ箇所へ

その先の荒田沢橋(観光センターから約11km地点)を過ぎ、急峻なつづら折れ付近に差し掛かると、ようやく雪壁が車窓に広がるようになってきました。

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■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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