ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.7(2016/04/29・30) B

Top-page > Index > Page:  1  2  3  4 

(Update:2016/05/05)

 

【屋根板〜位ヶ原、ポール練習・霧氷・濃霧・雷鳥】

屋根板でポール練習 ここしか雪がなく早々にノリクラ通いを開始
=10月末まで長いノリクラシーズンを=

屋根板にポール...これまで屋根板で滑走できる時期にポール練習されるケースはあまりなく見慣れない光景です。こちらは夏の大雪渓の常連のお二人...季節はもう春から夏へとシフトしているんです...実は雪不足で練習できるバーンがもうなくなってしまい、今年は早々にノリクラ入りされた模様です。「もうここしか雪がないんです。10月末までのノリクラ通いが始まってしまいました!」と、お二方とも苦笑...前のページでご紹介した方々と同様に、今年は本当に滑るところがなく、夏スキーヤーの方が夏を待たずにお越しになっています。

 

硬いバーン − シールが滑る

今日はポールレッスンのほうが適しているような固いバーン。スリップしながらシールで登るよりも、アルペンブーツでキックステップをつけながら登るほうがラクだったかもしれません。

 

屋根板上部 − 幻想的な光景(樹氷)

屋根板上部に差し掛かると、昨晩の降雪が着雪し、真っ白な幻想的な光景に包まれます。実は厳冬期の屋根板・位ヶ原ではこのような現象はまず見られません。木々に着雪するには水分が必要ですが、厳冬期は温度が低すぎて、水分の少ない乾いたサラサラの雪ですから、木々に着雪しません。

 

急激に雲が流れ込む ものの30分で濃霧の中へ

そんな幻想的な光景を楽しんでいるのもつかの間のこと...お昼前から急速に雲が流れ込んできて、ものの30分程度のうちに、右の画像のように濃霧が立ち込めてきました。

 

初めてのノリクラ − 「位ヶ原山荘でおでん食べようか...」

それでも一生懸命登るこちらの親子のお二人。お父さんに板を背負ってもらいながら、初めてのノリクラに挑戦です。「もうちょっとだから...その先から滑り出したら、位ヶ原山荘でおでん食べようか...」 せっかくのノリクラデビューもこの天気ではちょっと残念...天気の良い日にリベンジにお越しください...ぜひとも。

 

霧のかなたからオスの雷鳥

視界は100〜200メートルで悪化傾向。そんな霧のかなたからオスの雷鳥の鳴き声があちこちで響きます。

 

カメラを構えながら「待って待って...」 雷鳥(オス)

「日本の雷鳥は人を恐れない」 西洋のように雷鳥を食用にしなかった日本では、飛び立って逃げようとはしません。とはいうものの、近づけば足早に逃げていきますので、撮影するのも一苦労...

 

ハイマツ帯は雷鳥の住処 − 不用意に近づかない

厳冬期の雷鳥は位ヶ原などまで下っているとのことですが、今後はハイマツ帯に移動して巣作りの時期が始まります。不用意にハイマツ帯への進入は避けるようお願いいたします。

 

気温マイナス6℃ − 完全にホワイトアウト

風雪はさらにひどくなり、目の前すら見えない吹雪に。正午の大雪渓の気温はマイナス6℃、視界は50メートルまで低下し、山頂方面に向かおうとされた方の多くはここで撤退です。

 

硬いバーンにけたたましいエッジ音が響く

バーンは昨日の新雪が数センチ乗った固いバーン。けたたましいエッジ音を響かせながら滑り降りて行きます。この時期は天候によって、バーン状況や視界が急変します。特に視界に関しては、下山するにも方向を見失ってしまう可能性がかなり高く、視界が急速に低下してきたら、その時点で視界が確保できる標高まで、すぐに下山する必要があります。

 

【大雪渓下部、滑走の様子】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓下部
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7(2015/04/28〜29) E

先週の大雪渓下部
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) E

今週の大雪渓下部
先週より15センチ減少
昨年より50センチ少ない

先週より15センチ減少して、昨年より50センチ少ない状態です。例年なら4月中にある程度の降雪があり、積雪量が増加するところですが、今年はまとまった降雪がなく、減少するばかりです。そのため、4月下旬〜ゴールデンウィーク前半あたりに最大積雪量を迎えるはずですが、その前例から外れることになるかもしれません。

 

トイレ・避難小屋方面 ガードロープと岩−積雪は先週より10センチ減少

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。右の画像では駐車場の石と道路のガードロープが確認できます。この時期に駐車場の石が確認できる状態は、ここ数年では初めてのことです。先週と比べて積雪量は10センチ程度減少しています。前日から降雪に見舞われ、吹き溜まり箇所には10センチ程度積もっていますが、全体的には数センチ程度で、積雪量増加につながっていません。

 

柱の転変に停まるのはカラス
ターゲットは人間の弁当 − 食べ物を不用意に放置しないで

柱の天辺に停まっているのはカラス。訪れる人が多くなって来ると、どこからともなくやってきます。...人が来るたびにその行動を終始監視し、「隙あらば...」を絶えず狙っています。目的は避難小屋等に訪れるスキーヤー・登山者の弁当。不用意に置いたレジ袋のパンやおにぎりがターゲットで、食べ物をザックから放置しないようお願いいたします。

 

先週の大雪渓入口の看板
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) E
今回の大雪渓入口の看板

大雪渓入口の看板の様子から、先週よりも20〜30センチほど雪解けしています。昨年は大雪渓入口の看板が頭を出したのは5月下旬ごろでした。また、大雪渓内部に岩の頭が確認できます。いずれの画像も赤丸に岩の頭が見えます。

 

今回のモーグルコースの岩 今回と同じ積雪量の昨年画像(6月上旬)
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2015/06/06〜07) A

赤丸の岩がこちら。例年、春先には雪で完全に埋まってしまいますが、2014年のように全く隠れない年もあります。しかし、今年はそれ以上の雪の少なさ。右は今回とほぼ同じ状態の昨年画像で、撮影は6月上旬です。積雪量は1ヶ月以上も開きがあります。また、夏スキーの時期、この岩の下にモーグルコースができるため、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。

 

トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

避難小屋・トイレは冬季閉鎖中で、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬に利用可能になります。この付近の積雪量は昨年より多い状態です。

 

30日(土)の大雪渓 − 固いバーン

こちらは4月30日(土)の模様、お昼前から天候が悪化し、バーンも固い状況は29日(金)と変わりありません。若干まだら模様になっていますが、これは昨日・一昨日の降雪がうっすらと乗っているいます。ただ、パウダーと呼べるほどの積雪量はありません。

 

天候悪化で肩の小屋方面から一斉に滑走

そのため、山頂・稜線方面を断念して肩の小屋から滑り始める方が多い状況でした。

 

一本杖を操るテレマーカー

一本杖を操るこちらの方。「いや〜〜固くてだめ!スキーにならんよ〜なんとか大雪渓トイレまで滑り降りられれば、あとは楽なんだけど。」と、杖でバランスをとりながら滑り降りて行かれました。

 

【肩の小屋は暴風 、これ以上先は無理】

4月30日(土)の肩の小屋 − 猛烈な暴風が吹き抜ける 風下に集まる

こちらは30日(土)の肩の小屋。気温はマイナス4℃、室堂ヶ原から猛烈な暴風が吹き抜け、小屋の脇に集まって休憩です。

 

今日はここまで! ストーブで湯を沸かす − ヒップソリで「カゼセード」

「いつもWebsiteを参考にさせてもらっています。」と、おっしゃって下さった左のお二人。「山頂方面に行こうとしましたが、この状況ならあきらめがつきます。」 ゴールデンウィークなど、少し足を延ばして普段入山できない山に行くというケースもあるかと思いますが、そんな場合でも無理して決行すると事故のもとです。

そして、右の方々は強風の中、ヒップソリを風よけにしてお湯を沸かしています。「シリセード」ならぬ「カゼセード」ですね〜。

 

肩の小屋西側 − 積雪が大きくえぐられる

肩の小屋周辺の積雪は例年よりも少ないのですが、西側の積雪が大きくえぐられています。

 

例年は屋根まで積雪が
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2014/05/10) A
年によってはえぐられることもある
2008ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2008/05/17〜18) E

例年だと、左の画像のように屋根までびっしり積雪がありますが、年によっては今年と同様に西側がえぐられることもあります。

■ 次のページは >>  Page4 【県道乗鞍岳線の除雪状況、位ヶ原】 ■


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  Next>>