ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.7(2016/04/29・30) C

Top-page > Index > Page:  1  2  3  4 

(Update:2016/05/05)

 

【県道乗鞍岳線の除雪状況、位ヶ原】

県道乗鞍岳線 − 位ヶ原11号カーブ付近

県道乗鞍岳線の除雪は、4月1日より休暇村から始まりました。そして、位ヶ原山荘には4月16日まで除雪が完了して、4月23日から乗鞍岳春山バスの運行が位ヶ原山荘まで行われるようになりました。今年は積雪が少なく、例年よりかなり早いペースで除雪が完了したため、今年は23日に春山バスの運行開始が実現できました。

 

県道乗鞍岳線全景

除雪は位ヶ原山荘からさらに先に進み、5月下旬には大雪渓まで到達し、それに合わせて、春山バスも大雪渓まで延長運行されます。

 

森林限界を超えると広大な雪原が広がる

位ヶ原山荘を過ぎると森林限界を超えるため木々がなくなり、広大な雪原が広がります。春山バスが大雪渓まで延長運行されれば、このような風景が車窓に広がり、バックカントリースキーヤー・ボーダーが歩いて登って来なければ体験できなかった世界を、春山バスの中から得られるようになります。

 

この先は立入禁止
立入禁止視点は除雪状況で移動します
現在の除雪地点 − 位ヶ原9号カーブ

現在、除雪は位ヶ原山荘から約1.6km先の位ヶ原9号カーブまで進んでいて、その手前にご覧のような立入禁止のバリケードが設置されています。位ヶ原山荘からここまでは一般観光客の方も自由に車道を歩いて、風景を楽しむことができます。

位ヶ原山荘までの雪の量と、位ヶ原山荘から先の雪の量は雲泥の差がありますので、ぜひとも歩いてご覧になっていただきたいと思います。

 

最大4〜5メートルの雪壁

そして、除雪が行われている箇所では、目測ですが最大4〜5メートルの雪壁になっています。この雪壁が融けないうちに、春山バスの大雪渓延長運行を開始してもらいたいものですね。なお、春山バスの大雪渓延長運行が決まりましたら、当WebSiteにて、お知らせいたしますので、随時チェックしてください。

 

昨年の位ヶ原
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7(2015/04/28〜29) E
先週の位ヶ原
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) F

今回の位ヶ原
先週より15センチ減少
昨年より25センチ多い

位ヶ原の積雪量は、先週より15センチ減少して、昨年より25センチ少ない状況。一面の銀世界でしたが、ハイマツが目立つようになり、大雪渓から下山滑走する際にもルートを考えて滑走しないと、測定している場所に到達できない状況になっています。

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

22日((金)に地元の方々により誘導ロープ設置− 誤ってツアーコースの隣に入らない措置

なお、22日((金)に、伊奈川上部から前川あたりにかけてご覧のような誘導ロープが地元の方々により設置され、誤ってツアーコースの隣の沢に立ち入ることがない措置が取られました。

 

【ツアーコースの積雪状況、今回で下山滑走終了】

位ヶ原急斜面

ここからはツアーコースの積雪状況についてお伝えします。こちらは位ヶ原急斜面、これまでは下から上に向かってお伝えしましたが、今回は上から下へとお伝えします。

 

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) F
今回の位ヶ原急斜面
先週より20センチ減少、昨年より2メートル少ない

位ヶ原急斜面の積雪は、先週より20センチ減少して、昨年より2メートル少ない状態です。また、過去5年間の中でも1メートル以上少ない状況です。

 

中間部に帯状にブッシュ − 滑走しにくい

ご覧のように、中間部に帯状にブッシュが目立つようになってきました。そのため、全体的には十分な積雪量があるものの、必ずこのブッシュの帯を通過しなければならず、滑走しにくい状態です。

 

昨年の6番標識手前の谷
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7(2015/04/28〜29) E
先週の6番標識手前の谷
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) F
今週の6番標識手前の谷
先週より谷が深くなってきた − 下山滑走転倒注意

今年は全く埋まらなかった6番標識の谷。先週よりも谷がやや深くなっていて、下山滑走では転倒に十分注意してください。

今年もこの付近の下山滑走時にウェーブに対応できず、転倒して骨折負傷する事案が発生しております。特に曇ったときなど影のできにくい状況では、地形の状況が不明瞭になり、ウェーブの存在に気づかず、減速しないまま突っ込んでしまう場合があります。

 

昨年の5番標識
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7
(2015/04/28〜29) E
先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) F
今週の5番標識
前回より20センチ少ない
昨年より1メートル少ない

こちらはツアーコース上部付近の5番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より20センチ減少して、昨年より1メートル少ない状況です。

 

5番を過ぎるとブッシュ・地面

5番標識を過ぎたあたりから、ブッシュ・地面が点在するようになってきました。このように地面が出現してしまうと、太陽の熱を吸収しやすくなるため、雪解けが急速に広がります。ただ、滑走上の問題はありません。

 

昨年の3番標識手前の谷
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7
(2015/04/28〜29) E
先週の3番標識手前の谷
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.6(2016/04/20・23) F
今回の3番標識
先週より20センチ減少
昨年とほぼ同じ

こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より20センチ減少して、昨年とほぼ同じ。すでに根元部分まで雪解けが進んでいます。3番標識付近までは滑走に影響を与えるほどのブッシュはありません。

 

2番標識〜1番標識 − 滑走しにくくなる

3番標識を過ぎてからは、バーン全体にブッシュが広がるようになってきます。こちらは2番標識から1番標識へ滑走するバーンです。見た目ではそれほど問題なさそうに見えますが、結構タイトなターンが必要で、滑りにくい状態になっています。

 

1番標識付近 − 途中で板を外しながら

そして、こちらは1番標識付近。すでに1番標識周辺は積雪がなく、標識に近づけない状態です。積雪部分がかなり少ない状態ですから、斜滑降や板を外しながら下山しなければなりません。

 

入口急斜面最上部 − クマザサが生い茂る 少し進んでもご覧のとおり雪がない
=この箇所がツアーコース下山滑走可否の要で、この状態では今シーズンは滑走終了=

こちらがツアーコース下山滑走の可否を握る入口急斜面の最上部。左の画像が最上部に差し掛かったところ。クマザサが生い茂ってきました。これを歩いて進んだところが右の画像。結構斜度があって、スキーブーツだと足元が滑りやすく、慣れていない方だと滑り落ちる可能性がある状態です。

また、最上部を迂回するために、隣の樹林帯の積雪をたどる方法もありますが、今年はその箇所の積雪もなく、どちらにしても歩いて降りざるを得ない状況です。そのため、板を外したりする手間などを考えると、春山バスで下山したほうが早いと考えられます。

 

入口急斜面、滑走困難 − 今シーズンはツアーコース下山滑走終了

何とか最上部を降りたとしても、その先の入口急斜面もご覧の状態で、積雪はあってもターンするスペースがなく、下手をすれば、歩いて下山したほうが早いと考えられます。

このような状況のため、今シーズンのツアーコース下山は終了の時期になったと考えられます。今後は位ヶ原山荘から春山バスにて下山することをお勧めします。なお、これまでお伝えしてきたツアーコースの積雪状況も、今回をもって終了とさせていただきます。

 

<編集後記>

「オフシーズンのノリクラも...」

プレリリース版は今回で終了させていただき、1週間ほどお休みをいただいたのち、正式版を5月中旬から開始いたします。内容的にはプレリリース版と初期段階の正式版はほとんど変わりありませんが、これから始まるグリーンシーズンは、内容が季節に合わせて変化して行きますので、あえて分けております。

ノリクラはシーズンを通して楽しめる場所ではありますが、やはり、「冬だけ・夏だけ」という方が多いのが事実です。ご覧いただく方々も、それぞれがお越しになる時期の「ノリクラ雪渓カレンダー」はご覧になるものの、それ以外の時期のノリクラはの状況はご存じない・興味がないというのが現状のようです。

読者の方々にとっての「オフシーズンのノリクラ」を、ノリクラ雪渓カレンダーでご覧になっていただきたい...
そこには新たな発見があるはずです。また、現時点では興味はないシーズンであっても、年を重ねると嗜好が変わってくるもので、そんなときにふと思い出して、ご覧になっていただいても構わないと思っています。

当WebSiteは2001年から開始し16年目になります。ふと思い出した時にご覧になっても新鮮なノリクラが得られるように続けて行くつもりです。

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  -  Next-Page (Vol.1) >>