ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.3(2016/05/28〜29) A
【春山バス大雪渓に到着、アルペンボーダー】
大雪渓に到着 |
春山バス始発便が到着した8時の大雪渓の気温は12℃。少しばかり肌寒さを感じるコンディションです。おそらく、動き出せばちょうど良いのですが、アウターがあったほうがよい状況です。スキーヤー・ボーダーの方はアウター持参でお越しになると思いますが、一般観光客の方は手ぶらでお越しになるケースがあり、必ず、何か羽織るものを持って春山バスに乗車することをお勧めします。
夏の常連が早くも集結 | この先除雪作業のため立入禁止 |
夏の常連の方々は、月山、かぐらなど、ゴールデンウィーク以降も営業を継続するスキー場が閉鎖したのち、ノリクラにお越しになることが多いものの、今年は5月で大半の方がノリクラ入りされる状況です。毎年、雪のあるところを渡り歩き、最終地点がノリクラという流れですが、それが例年よりも1ヶ月以上も早い状況で、本格的な夏スキーのシーズンまで、大雪渓の雪が残っているかが一番の懸念材料です。
ハイクアップも慣れてしまえばそれほど苦痛ではありません |
リフトが稼働しているスキー場が残っている限りは、どんなに遠方であっても営業中のスキー場に足しげく通い続け、練習密度を稼ぎます。かといって、一旦、ノリクラに来てしまえば、ハイクアップの辛さは毎回感じつつも、それが当たり前になり、スキーをするうえでの一つの動作に過ぎなくなってしまいます。また、ゲレンデ滑走と比べて練習密度が低くなる分、一本一本を大切にする「考えるスキー」に打ち込むようになり、ゲレンデ練習とは違う取り組み方ができます。
バックカントリースキーヤーの方から見ると、「同じところを何度も滑っていて楽しいのか!」と思われますが、トレーニングとは何度も繰り返し行うものですから、次元の違うものとみるべきところでしょうか...
夏スキーやの姿が目立つ | 常連の春スキーヤー − 「今日でノリクラ最後かな〜」 |
今日はシール・スノーシューを装着するバックカントリースキーヤーよりも、アルペンレーサーなどトレーニングを主体としたスキーヤーのほうが圧倒的に多く、雰囲気的には7月の夏スキーに近い状況でした。そして、毎週通い続けたこちらのバックカントリースキーヤーは「稜線からの滑走ができなくなってきたので、今シーズンのノリクラもそろそろ閉幕かな...」と、おっしゃり、大半のバックカントリースキーヤーも同じような心情だった模様です。
夏になると多様なスキーヤー・ボーダーが集まる |
バックカントリースキー・ボードの場合は、厳冬期ならパウダーを求めて訪れ、春なら稜線からの大滑走を楽しむために訪れます。ですから、そのスタイル・目的はほぼ一致しています。
しかし、夏スキーのシーズンになると、基礎スキー、レーシングスキー、モーグルなど、多様な種目の方が訪れ、その滑走スタイルに応じたバーンの選定・整備を大雪渓の各エリアで行います。
おそらく、ウインタースポーツの中でも、レアーでありコアな方が多いアルペンボード。一般の方の中には、フリースタイルボードとの違いすらご存じない方もいらっしゃることと思いますが、そんなアルペンボーダーが全国各地から大挙してノリクラに集結します。
アルペンボーダーの方々 ゲートを設置して |
先週までは岐阜県側の滑走指定地の鶴ヶ池雪渓で滑走されていましたが、雪解けが進んで滑走できなくなったことから、今週は大雪渓に移動してきたとのこと。
ノリクラ通いが今年も始まりました |
ゲートを設置するには、適度な斜度とある程度の広さが必要であるため、大雪渓の中でも、滑走できる場所が限定されていて、ポールをセットするアルペンスキーやモーグル以上に今後の雪解けが気になるところです。
【大雪渓下部 T】
ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。
早くも岩の帯が |
大雪渓入口から見た雪渓下部の様子。ご覧のように早くも岩の帯が出現しました。
一昨年の岩の出現した時の画像(2014年7月19日) 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2014/07/19〜20) B |
昨年の岩の出現した時の画像(2015年7月18日) 2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2015/07/18〜19) B |
=いずれも7月中下旬で、今年と一ヶ月半以上も開きがある= |
昨年・一昨年でこの岩の帯が出現したのは、昨年は7月18日、一昨年は7月19日で、いずれも今年より1ヶ月半以上も先のこと。過去に5月中にこの付近の岩が見え始めたケースはありません。
今回と同じ積雪量の昨年画像(6月下旬) 2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2015/06/27〜28) A ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2016/05/20〜22) B ↓ |
今回の大雪渓入口 昨年より4週間早い雪解け |
道路法面付近の積雪状況を見ると、先週は昨年より3週間早い雪解けでしたが、今週は昨年より4週間早い状況になっていて、雪解けスピードが速くなっています。
トイレ側 − 昨年より1週間早い雪解け | 位ヶ原山荘方面へは下山滑走不能 下山は春山バスをご利用ください |
道路を挟んで反対側(トイレ側)は先週と同じく、昨年より1週間早い雪解けです。先々週まではこちらから位ヶ原山荘へ下山滑走できましたが、雪解けが進んで滑走不能です。また、前のページの位ヶ原山荘周辺の画像でも説明したように、これより下部はさらに雪解けが進んでいますので、無理に下山滑走せずに、春山バス下り便を利用して下山してください。
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今回と同じ積雪量の昨年画像(6月中旬) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) A |
今週の登山道入口 |
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。先週から標識が姿を現すようになり、昨年より2週間早い雪解けです。
今回と同じ積雪量の昨年画像(6月下旬) 2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2015/06/27〜28) A ↓ |
先週のモーグルコースの岩 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2016/05/20〜22) B ↓ |
今週のモーグルコースの岩 昨年より4週間早く、例年の6月下旬〜7月上旬並み |
岩場がゴツゴツとしている大雪渓も、厳冬期以降はすべてのものが雪に閉ざされてしまいます。春になって雪解けが進んで最初に姿をあらわすのが画像の中央に写るモーグルコースの岩です。そのためモーグルコースの岩は、大雪渓の積雪量・雪解け状況を最も早く観測できるバロメーターとなります。7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。
ただ、今年の厳冬期は積雪量が少なかったため、一度も姿を隠すことはありませんでした。昨年より4週間も早く、例年の6月下旬から7月上旬並みの積雪量です。
例年、このモーグルコースの岩は厳冬期の3月(年によっては4月)に埋まりますが、2014年は一度も姿を消すことなく、また、2015年は2月中に埋まってしまいました。そのため、昨年と今年では比較することに少し無理があるかもしれません。また、さらにさかのぼって出現時期をみると、2012・2011年は今年より1週間遅く、2010年は6月に入ってから岩の頭が見られ、2009年・2008年は今年より2週間ほど遅い雪解けでした。
車道まで127メートル − ただし岩の帯出現のため、滑走距離は100メートルほど |
モーグルコースの岩から車道までの距離は先週より3メートル減少して、127メートル。しかし、岩の帯が出現していますので、実際の滑走距離は100メートル程度しか取ることができません。
今回と同じ積雪量の昨年画像(6月下旬) 2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2015/06/27〜28) A ↓ |
先週の石碑の岩 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2016/05/20〜22) B ↓ |
今週の石碑の岩 昨年より4週間早く、例年の7月上中旬並み |
そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります(石碑の岩)。こちらは厳冬期に一度完全に埋まり、4週間前に姿を現しました。昨年より4週間早く、例年の7月上旬〜中旬並みの積雪量です。
【大雪渓下部 U、モーグルコース】
モーグルコース |
それではモーグルコースの様子をお伝えします。
今日もコブ管理人による整備が完了 |
先週からノリクラ入りされたコブ監理人。朝一番からコブ整備です。先週のコブが残り、手入れもあまり必要なかったほど状態が良かったとのこと。ただ、モーグルコースに限ったことではありませんが、今週は全体的に若干凍った部分がみられるようになってきて、少しずつ夏のコンディションに近づきつつあります。
20コブ×85メートル(ピッチ:4.25メートル) |
モーグルコースの長さは20コブ×85メートル(ピッチ:4.25メートル)。現時点では十分な滑走距離がありますが、まだ5月ということを考えると、この先が心配です。
ここからは翌日5月29日(日)のモーグルコースの様子をお伝えします。
「昨日のWebSiteでコブ管理人が写っていたので、『これなら間違いないコブができている!』と確信でき、やってきました。」という夏モーグル常連のこちらの方も、今日から今シーズンのノリクラ入りです。
ノリクラは初心に帰れる場所なんです | がむしゃらに滑っていたあの頃に立ち戻って |
こちらの方も今日からノリクラ入り...中学生の頃からノリクラにお越しになり、「ノリクラって初心に帰れるんですよ。がむしゃらに滑っていたあの頃がよみがえってくる...何か原点のようなものを感じます。」と...
今ではワールドカップにも出場するナショナルチームメンバーにまで成長され、その過程の中ではノリクラよりももっと広い世界での経験を積んでこられているはず...でも、初心に帰るノリクラという存在を心に持ち続けることが、本当に大切なものだと思うのです。
今日はコブ管理人が不在で整備が不十分なため、多くの方が滑り続けるうちにコブの形状が変化してしまい、滑りづらくなったようですが、それでも果敢にアタックを続けます。
どんなコブでもそれに対応できるように動くことが大事...一つ一つの動作を聞くと、門外漢の筆者でも「なるほど〜」と感心するもの。
カレンダーの上ではまだ5月。でも、モーグルコースだけは夕方まで滑り続ける方々で、夏の大雪渓そのものの雰囲気になっていました。
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