ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.8(2016/07/02〜03) @

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(Update:2016/07/07)

 

7月最初のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。7月1日に県道乗鞍岳線の三本滝〜県境間の冬季閉鎖が解除され、全線開通を迎えます。しかし、積雪量が多い年は、落石を防止する防護フェンスが雪の中に埋まっていて、落石への防護が不十分といった理由から、7月1日の全線開通にならないことが多々あります。今年は積雪量が少なく防護フェンスがも高くなっていますので、問題なく全線開通するかと思ったものの、富士見沢落石のため、大雪渓〜県境間の開通が1日遅れました。このほか、乗鞍高原下の大野川でも6月末に落石が発生し、夜間通行止めの措置が取られ、油断のできない状況が続いています。

7月2日(土)は、曇り空の朝を迎えます。7月から春山バスからシャトルバスに切り替わり、始発便はこれまでより1時間以上早い6時10分。ただ、富士見沢落石のため、大雪渓での折り返し運行です。大雪渓に到着する直前から濃霧となり、視界は30〜50メートル、それでも、10時過ぎから濃霧が抜けて、11時近くになると青空も広がる状況に。それと同時に西風が強く吹き始めます。ただ、その風は、気温12℃の割には冷たさはなく、かといって蒸し暑いという状況でもなく、過ごしやすいコンディション。今日は数多くのマイクロバスがお越しになり、雪渓上部右側は「ポール林」が立ち並び、かつての夏スキーブームの頃の賑わいを思い出させるものでした。

7月3日(日)は、低く垂れこめた曇り空の朝を迎え、6時30分ごろから雨が降り始めます。大雪渓方面は濃霧・強風・横殴りの雨。そのため、シャトルバスで向かったスキーヤーはほとんどなく、大半が自前のマイクロバスを利用したグループでしたが、それも10時過ぎには余儀なく撤退する状況。しかし、その後は雨・風が弱くなり、濃霧の中でも少し明るくなり、時間をずらしてやって来たスキーヤーはしばらく滑走されていた模様です。畳平お花畑はハクサンイチゲが全面満開でミヤマクロユリも開花が始まり、見頃を迎えました。例年より2週間程度早い状態で、早めに散策にお越しになったほうがよさそうです。

大雪渓の積雪状況は、例年の7月下旬〜8月上旬並みで、場所によっては2ヶ月も早い雪解けを見せている状況です。大雪渓での夏スキーを計画されている方は、お早目にお越しになることをお勧めします。梅雨明け頃には雪渓下部はなくなり、滑走エリアが少なくなる可能があります。

それでは、二日間の様子をご覧ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月2日(土)、観光センター駐車場】       【観光センターから大雪渓へ−車窓の風景】 
Page-2 : 【大雪渓に到着】       【雪渓下部 T、雪渓中段】 
Page-3 : 【雪渓下部 U、モーグルコース】       【雪渓上部 T】 
Page-4 : 【雪渓上部 U、基礎キャンプ、アルペンボード】       【肩の小屋、7月から営業開始】 
Page-5 : 【雪渓上部 U、モーグルコース】       【畳平お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>

【マイカー規制 −通行可能車両のナンバープレート(自転車・許可車を除く)】       (Page-1)
【長野県安全登山条例について】    (Page-2)


●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラガイドマップ 冬スキー 版<対象時期:12月末〜4月末>   ノリクラガイドマップ県道乗鞍岳線版  
(シャトルバス・マイカー規制) − 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(県道乗鞍岳線の通行止め) − 7月1日 県道乗鞍岳線通行止め情報<第3報>。(2016/07/02 )
(長野県安全登山条例) − 7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)。(2016/04/13)

  

 

【7月2日(土)、観光センター駐車場】

観光センター前駐車場

早朝6時の観光センター前駐車場。7〜10月はシャトルバスの運行も始まり、夏山シーズンの開幕の時期でもあります。

 

天候は曇り 7月最初の週末なのに来場者はまばら...

雲間に青空が若干みられるものの、山頂方面は全く確認できません。7月最初の週末ですが、今日は天気予報では下り坂とのことで、訪れる方はまばら...ただ、来場者が少ないのには、下記のような理由が考えられます。

 

シャトルバスの案内を見る そこには落石のため大雪渓折り返し運行の案内

シャトルバス乗場に掲示されたこちらの案内。富士見沢付近で発生した落石のため、大雪渓〜県境までは通行止めとなっていて、シャトルバスは昨日の運行開始から大雪渓折り返し運行となっています。

 

このほか山麓の大野川でも通行止(う回路あり)
=事前にWebSiteで情報確認できてよかったです=

また、県道乗鞍岳線では、このほか、乗鞍高原より山麓側の大野川でも落石が発生し、国道交差点の前川渡から大野川までの区間が6月28日より全面通行止め。そのため、乗鞍方面には、白骨温泉経由でお越しになることになります。

「WebSiteで通行止め・う回路を確認して来ました。でも、上高地乗鞍スーパー林道はしんどかった〜、確認せずに来ていたら、結構キツイものがありましたよ〜〜」と、おっしゃってくださいました。当WebSiteでは、ノリクラに関連し必要と思われる情報は、ジャンルに関係なく掲載するようにしています。ノリクラにお越しになる方にとって役立つ・有益な情報をお届けできたらと思っています。

 

通行止めの看板(観光センター前交差点)
=7月2日から5:50〜18:40は片側交互通行に=
夜間についてはこれまで通りう回路へ
=奈川木曽方面はスーパー林道A線=
=松本・高山方面はスーパー林道B線=

その通行止めですが、左の画像は観光センター前の交差点に設置された看板。進行方向が国道158号線方面で、大野川の落石現場へとつながります。

それに対するう回路は二通りあります。右の画像の交差点を右に進むと、上高地乗鞍スーパー林道B線で白骨経由で、湯川渡から国道158号線に迂回できます。また、交差点を左に進むと、上高地乗鞍スーパー林道A線で奈川へ出ることができますので、木曽方面へのう回路となります。

落石当初は全面通行止めでしたが、7月2日からは昼間(5:50〜18:40)は監視員を配置して片側交互通行となりました。しかし、夜間は引き続きう回路を利用することになります。

通行止め区間と う回路(GoogleMap)

こちらが通行止め区間とう回路を示した地図です。

 

シャトルバスは大雪渓折り返し運行 − 係員に山頂への行き方を尋ねる登山者

さて、シャトルバスについて、大雪渓での折り返し運行であることが係員よりアナウンスされます。多くの登山者はシャトルバスで畳平まで向かった後、畳平から登山を始める予定でお越しになっていて、「畳平までどのように行ったらよいのか?」「大雪渓で降りたら山頂にはどのように行ったらよいのか?」などと、係員に詰め寄る様子も見られました。

一般的に落石等通行止めの場合は、人の往来も含めたすべての通行が禁止されます。
そのため、今回の場合は、車道を歩いて大雪渓から畳平に向かうことはできません。また、大雪渓から山頂方面は、肩の小屋経由の登山道がありますので、そちらを利用してください。大雪渓から肩の小屋への登山道の様子は、次のページの【大雪渓に到着】のコーナーをご覧ください。

 

タクシーの営業も始まりました 「シャトルバスはあちらですよ〜」「切符売り場はこちらですよ」
=タクシー利用者以外にも親切に案内=

「シャトルバスの乗場はあちらですよ〜、乗車券の販売はこちらですよ〜」と、案内するのはタクシーの運転手さん。7月に入って、県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が終了したのに合わせて、ノリクラでの今シーズンの営業が始まりました。沿道の風景・高山植物を楽しんでもらえるように、細かな説明をくわえながらの観光がウリで、途中で止まって写真を撮るなどシャトルバスではできないサービスに徹しています。

 

ヒルクライムも7月からシーズンイン
「大雪渓までしか行けないんですか〜〜、でもそこまで行ってきます」

7月からスタートといえばヒルクライム。先ほどのとおり、大雪渓までしか行くことができませんが、それでも残りは僅か1.5kmですので、ほぼゴールまで登ったことと等しいのではないでしょうか?

話が変わりますが、5〜6月の冬季閉鎖期間や、今回の大雪渓〜県境間の落石通行止め区間を走行するヒルクライマーが散見されます。各地で自転車のマナーについて注目が置かれる状況ですので、自粛されるようお願いいたします。後世のヒルクライマーに汚点を残さないためにも...

 

【観光センターから大雪渓へ−車窓の風景】 

 それでは、いつものように大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。

 

ずらん橋駐車場(Mt乗鞍 第3駐車場)の入口付近

7月は数々の山野草・高山植物の季節ですので、少し沿道の花々にも触れたいと思います。こちらはすずらん橋駐車場(Mt乗鞍 第3駐車場)の入口付近。

 

ノイバラ 2万種にも及ぶ園芸種のもととなる8種類の原種の一つ

そこに咲いているのはノイバラ(野茨、バラ科バラ属)。「茨(イバラ」とは棘のある木の総称で、古くはバラのことを指していました。どこにでも見かけるノイバラですが、バラの品種改良には重要な品種で、2万種にも及ぶ園芸種に用いられる原種は、わずか8種類しかなく、その一つがノイバラで、バラの品種改良には欠かせない野生品種です。

大雪渓では雪解けが1ヶ月近く早い状況を見せていますが、こちらのノイバラは、ほぼ昨年並みの開花です。

ナツツバキ ハナアブが訪問中

その隣に咲くのはナツツバキ(夏椿、ツバキ科ナツツバキ属)。そこに訪問している虫は、はっきりとは確認できませんでしたが、おそらくハナアブ。蜜を求めてやって来たものと思われます。こちらのナツツバキも、昨年並みの開花ですが、例年よりも少し早いようです。

 

冬季閉鎖を待ちわびていたヒルクライマー

声をかけてくださったこちらのヒルクライマーも、7月の冬季閉鎖解除を待ちわびていた一人。天候が崩れる前に登り切りたいところです。
8月になると天候が安定し、日が差して暑いと感じる位であれば、登りのままの格好で下山も可能ですが、そんな好条件を除けば、大半の日は下山走行にはウインドブレーカーやレインウエアなどの防寒着が必須で、フルフィンガーのグローブを別に持参されることをお勧めします。

寒さでブレーキに力がかからず、オーバースピードでカーブを曲がり切れず転倒というケースが、毎年見られます。

 

三本滝ゲート − この先マイカー規制

観光センターから7km先の三本滝ゲート。先週までは冬季閉鎖でしたが、7月1日から解除されました。ただ、この先はマイカー規制となっていますので、バス、タクシー、自転車のみ通行可能です。

バス・タクシーの車両識別はナンバープレートにて確認しています。バスの場合は分類番号が「2×、2××」、タクシーの場合は事業用(青ナンバー)で分類番号が「5×、5××」、「3×、3××」です(下表参照)。

 

【マイカー規制 −通行可能車両のナンバープレート(自転車・許可車を除く)】
分類番号 自家用(白ナンバー) 事業用(青ナンバー)
1(普通貨物車) × ×
2(普通乗合車) ○(バス・マイクロバス) ○(バス・マイクロバス)
3(普通乗用車) × ○(タクシー)
4(小型貨物車) × ×
5(小型乗用車) × ○(タクシー)
6、7、8、9、0 × ×

車体がバスの形状でも、改造などで「8××」になっているものは通行できません。(例:マイクロバスを改造したキャンピングカー)

 

三本滝ゲートを管理する警備員 − 8ヶ月ぶりの再会

三本滝ゲートを管理する警備員の方は、昨年10月末以来の8ヶ月ぶりの再会。お元気そうで何よりです...

 

三本滝ゲートの情報を必ずチェックしてください

ご覧のように三本滝ゲートでは、各種情報を掲示しております。今回のように乗鞍スカイライン側では自転車通行止が実施される場合があります。三本滝ゲートを通過する際には、これらの看板を必ずチェックしてください。ここを通過すると、このような情報は畳平に入るまで一切ありませんのでご注意ください。

 

かもしかゲレンデ ニッコウキスゲが見頃に −昨年より3週間早い

三本滝ゲートの隣のかもしかゲレンデ。ニッコウキスゲが見頃に入ってきました。先ほどのノイバラやナツツバキは、ほぼ昨年並みの開花状況でしたが、ニッコウキスゲは昨年よりも3週間も早い状況です。

 

山野草・高山植物は例年よりやや早め − お早目にお越しを

他の山野草・高山植物でも、例年よりもやや早い様子がみられますので、お早目にお越しになったほうがよいかと思います。

 

ゴゼンタチバナ − 中の花が咲き始めた ベニバナイチヤクソウ

ゴゼンタチバナの「中の花」が咲き始めました。こちらはほぼ例年並み。ベニバナイチヤクソウは、例年並みかやや遅い状況。

 

ハクサンチドリ − 少し枯れ始める クロウスゴ − もう実ができてきた

ハクサンチドリは例年よりも早く、すでに枯れ始めているものも見られます。クロウスゴはもう実ができてきました。

 

土嚢を積んだトラックが何台も、富士見沢落石現場へ − 土嚢設置が終わると県境まで通行可能に

そこに大きな土嚢を積んだトラックが何台も走り抜けて行きます。富士見沢付近の落石現場を覆うための土嚢。この大型の土嚢の設置が完了すると、大雪渓〜県境の通行止めが解除されます。

 

ご覧のように落石現場では土嚢の設置が終わり、予定通り本日13時30分に開通しました。富士見沢付近と発表されていましたが、実際には3号カーブの手前、厳冬期の滑走エリアとして知られる摩利支天岳東斜面にある「すべり台」の場所です。

 

道端に咲く、クルマユリ

高山植物の多くは小型のものが多いのですが、そんな中、ひときわ目立つのがクルマユリ。こちらも一週間程度早い開花です。「花が風車のようになっているからクルマユリ」なんて申し上げたら、本当に信じてしまいそうなんですが...

 

葉が輪生だから「クルマユリ」

葉が車輪のように放射状に広がっているところからクルマユリと呼ばれています(輪生)。ユリ科の花の多くは、葉が左右段違い(互い違い)につく「互生」と呼ばれるつき方をしていますが、その中でも、このような輪生はクルマユリとタケシマユリの二つだけです。また、花がクルマユリとよく似ているオニユリは、他ののゆりの仲間と同様、互生ですから、オニユリとクルマユリは葉のつき方で判別できます。

 

位ヶ原山荘

そして、標高2350メートルの位ヶ原山荘。この先から森林限界となります。

 

位ヶ原山荘周辺

新緑と呼ばれる季節は過ぎ、広葉樹の緑も一段と濃くなり、針葉樹との違いがだんだんなくなってきました。

 

11号カーブ 霧が徐々に低くなってきた

11号カーブ、ツアーコース入口付近からは、すぐ目の間にあるはずの山頂方面が全く確認できません。でも、霧も徐々に低くなり、次第に濃霧の中へと突入...大雪渓の直前で濃霧という状況はしばしばみられます。

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