ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.12(2016/07/30〜31) @

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(Update:2016/08/04)

 

7月18日の東海地方の梅雨明けから10日遅れて、関東甲信地方もようやく梅雨明けとなり、岐阜・長野の両県にまたがるノリクラは、完全に梅雨空から解放されることになりました。そして、夏休みに突入したこともあって、家族連れの姿も多くなり、夏らしい賑わいとなってきました。

7月30日(土)は、県内各地で雨雲は一つもないのに、ノリクラだけピンポイントで雨雲がかかっていて、やや強めの朝を迎えます。ただ、これも7時には収まり、日中は曇〜濃霧でした。大雪渓は雪渓下部がほぼ完全に消滅し、雪渓上部右側も滑走不能となり、雪渓上部左側のみ滑走可能。右寄りのモーグルバーンのほかに中央部分と左寄り部分にポールをセットされ、アルペンボーダーも遅れてコース設置を行います。バーン表面は固くはないものの、滑落者が続出し、やはり例年よりも斜度が強いことが影響しているかもしれません。午後になると、山麓にかかっていた雲が抜けて、乗鞍高原はもちろん、松本市街地まで見渡せる状況となり、青空が広がり始めました。

7月31日(日)は、朝から良い天気。観光センター前駐車場は5時の段階ですでに100台にも達し、ようやく週末らしい賑わいになってきました。日差しは強くても、風が心地よく、暑さをあまり感じない状況。ヒルクライマーは275名と今季一番を更新しました。また、山頂への登山もかなり多く、登山道は絶えず数珠つなぎ状態。お昼前から山麓から湧き上がる雲で山頂付近は濃霧に覆われますが、14時過ぎから再び晴れてきて、今日は天気に恵まれた一日でした。

大雪渓の積雪状態は、この後のコーナーで詳しくお伝えしますが、さらに雪解けスピードが速まり、9月中旬頃の状況で、場所によっては10月中旬に匹敵するほど。車道沿いの雪渓下部は積雪がなくなり、雪渓上部右側も今週は滑走不能となって、雪渓上部左側のみ滑走可能状態です。ただ、こちらも例年よりも面積・距離が短く、また、例年よりも傾斜が強いことも影響して、滑落者続出状態。ヘルメットなどの保護具を着用の上、滑走されることをお勧めします。また、ソフトブーツでのハイクアップは困難になってきてますので、ボードの方はご注意ください。

それでは、二日間の様子をご覧ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月30日(土)・31日(日)、観光センター駐車場】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景】
Page-2 : 【大雪渓に到着、夏山・山岳風景、ハードな陸トレ夏合宿】       【大雪渓〜肩の小屋登山道は花盛り、登山客が集う肩の小屋】       【山頂登山は人気の的】
Page-3 : 【雪渓下部 T】       【雪渓下部 U】
Page-4 : 【雪渓中段】       【雪渓上部 T】
Page-5 : 【雪渓上部 U、モーグルバーン】       【雪渓上部 V、ポールバーン】
Page-6 : 【畳平、お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>

【長野県安全登山条例について】 (Page-3)

●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラガイドマップ 冬スキー 版<対象時期:12月末〜4月末>   ノリクラガイドマップ県道乗鞍岳線版  
(シャトルバス・マイカー規制) − 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(長野県安全登山条例) − 7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)。(2016/04/13)

  

 

【7月30日(土)・31日(日)、観光センター駐車場】

7月30日(土)の観光センター前駐車場

1日目、7月30日(土)は、雨の朝を迎えます。

 

激しい雨 − 梅雨末期のよう

関東甲信の梅雨明けが発表され、どこもかしこも夏モード全開ですが、こちらも激しいしゅう雨で梅雨末期のような降り方です。

 

雨雲レーダー − ノリクラだけ雨雲がかかる

雨雲レーダーを見ると、まさにピンポインとでノリクラの上に降水の強い雨雲が固まっていることがわかります。

 

シャトルバス始発便 − レインウェア姿の登山者

この雨も日中には収まるとのことで、始発便には登山に出かける方などが乗り込みました。

 

強弱を繰り返す雨

しかし、雨は周期的に強弱を繰り返す状況。

「今日はどないしようか...」

常連のアルペンボーダーの方々も、大雪渓に向かうかどうか迷っていらっしゃるようです。ただ、この雨は7時には収まり、大雪渓付近は曇〜晴のまずまずの一日になりました。

 

2日目 7月31日(日)見事な快晴 「朝飯前のひとっ走り」へ

そして、2日目の7月31日(日)。ご覧のように雲一つない晴天。観光センター前駐車場は5時の時点で、すでに100台ものマイカーがお越しになっていて、ようやく夏の週末の賑わいがみられるようになってきました。

そして、ヒルクライムもハイシーズンに突入。まだ6時前なのに、これから「朝飯前のひとっ走り」に集まっています。

 

昨年大会以来再会 今年も大会に向けて...

お会いするのは昨年の全日本マウンテンサイクリング以来でしょうか?お久しぶりです。今年も大会に向けて走り込みが始まりました。

 

夏らしい青空は久しぶり

日が高くなるにつれて青空がさらにくっきりと冴えわたります。7月中は綺麗にすっきりと晴れ渡る日が少なく、最終日になってようやく夏空が広がりました。

 

同じチームジャージに身を固めたヒルクライマー達 先週は国道最高地点を。今日は国内最高地点へ!

観光センター前駐車場のあちこちで、同じチームジャージに身を固めたヒルクライマー達が出発に向けてマシンメンテの様子が...「先週はノリクラの練習のために渋峠に行って来ました。」という熱の入れよう。

国道最高地点を制覇した後は、国内道路最高地点へとチャレンジです。それでは全員そろって、最高標高地点2702メートルの畳平に向けて出発です。

 

【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景】

国内最高標高地点は県道乗鞍岳線の県境付近

【国内道路最高標高地点】少し補足いたしますが、国道で最も標高が高いのは長野と群馬の県境にある国道292号線の渋峠で標高2172メートルです。そして、国内で自動車が通行できる道路のうち、最も標高が高いのは、乗鞍スカイライン(岐阜県道乗鞍公園線)の終点の畳平で標高2702メートルとされていますが、実際にはそのすぐ隣にある長野県道乗鞍岳線の県境付近で、標高2713メートル(地理院地図)が最も高いところ。さらに専用道となると、県道乗鞍岳線から宇宙線観測所・コロナ観測所へ行く専用道があって、終点のコロナ観測所の標高2860メートル(地理院地図)が最も高いところになるはずです。なお、富士山スカイライン(静岡県道富士公園太郎坊線)の最高標高は2380メートル、富士山スバルライン(山梨県道富士河口湖富士線)は2305メートルです。

 

ソバナ

こちらはソバナ(蕎麦菜、キキョウ科ツリガネニンジン属)。ソバナをゆでたとき、ソバをゆでたときの香りとそっくりであるという説、険阻な道に自生しているから「阻菜」という説、山で働く樵(きこり)を杣人(そまびと)と言いますが、杣人が好んで食べたという「杣菜」という説などがあります。

例年、ここでソバナが咲くのは8月上中旬。今年は先週から咲き始めましたので、実に2〜3週間も早い状態です。今年は山野草・高山植物すべてが早く咲いています。

 

沿道の様子を楽しむにはヒルクライムが最適 三本滝ゲート − この先マイカー規制

沿道の風景・草花を楽しむにはシャトルバスの車窓よりもヒルクライムの足取りがちょうどよい。なんといっても足元の様子がよくわかるからです。そして、観光センターから7km先の三本滝ゲートを数多くの自転車が通過して行きます。この日は6時の開門から8時までの2時間で45台もの自転車が登って行きました。45台という数字は、週末でも天候が悪いと、この数に達しないレベルで、わずか2時間ですから、いかに多いかがわかります。

 

かもしかゲレンデの斜面に咲く ヤナギラン(遠方の山は高天ヶ原と乗鞍岳主峰の剣ヶ峰)

ヤナギランは今が見頃。昨年より2週間早い状況。

 

全日本マウンテンサイクリングを目指す方も多い

訪れた人の多くが全日本マウンテンサイクリングを目指してトレーニングにお越しになった方々でしょうか?とにかく早い!トップレベルの選手になると、1時間程度で畳平まで到着しますから、シャトルバスとほぼ同じ平均スピードということになります。

 

位ヶ原山荘

標高2350メートルの位ヶ原山荘。観光センターから15kmで、全体の4分の3(75%)まで登って来たことになります。そのため、今日もヒルクライマーの方々が小休憩に足を止める様子がみられました。

 

畳平まで行ったら山頂登山へ

こちらのお二人も畳平に向かう途中で立ち寄られました。この後、畳平でシューズを履き替えて、山頂登山に向かうとのこと...山頂への登山道でサイクルジャージ姿で登られる方の姿をよくお見かけいたしますので、ヒルクライム&登山という楽しみ方は結構多いようです。

 

マイカー規制で自動車が少ないのが評判

気温は20℃、日差しの強さもさほど感じさせず、何をやっても心地よいコンディション。行き交う自転車の数も多く、マイカー規制で通行する自動車の数が少なく安全に走行できる点が評判のようです。

 

でも「自転車天国」ではありません − 下山時はスピードを落として

だからといってここは「自転車天国」ではありません。
蛇行しながら登ってくる方は、最近は少なくなりつつありますが、下りについてはあまり評判はよろしくない模様...通行する自動車が少ないとはいえども、シャトルバスやタクシーなどは普通に通行しています。下りのオーバースピードで、カーブを曲がり切れずに道路外に転落や転倒したり、道路のギャップにバランスを失って転倒する自損事故のほか、毎年、バスなどとの接触事故が発生しています。

とにかく、下山はスピードを抑えてほしい...それはトップレベルの方々の練習走行でも同様です。技術レベルが高く、高速でもコントロール範囲内の走行であるとは思いますが、他のヒルクライマーへの影響・波及が大きいため、ヒルクライマー全体が安全に走行できるよう、極力低速で下山走行していただきたいと思います(「マイカー規制」ならぬ「自転車規制」にならないために...)

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