ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.12(2016/07/30〜31) E

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(Update:2016/08/04)

 

【畳平、お花畑】

畳平

それではここからは畳平のお花畑の様子をお伝えします。夏山ハイシーズンを迎え、バスツアーの観光バスが数多く訪れ、また、ヒルクライマーの姿は夕方になっても絶えぬことなく続いていました。この日は、朝方の悪天候のため、出足がやや遅かったことが、夕方近くまで人が絶えない要因になったかもしれません。

 

お花畑 − バスツアーの一行

バスツアーの中には、お花畑の散策が盛り込まれているものもあって、通常の添乗員ではなく、山岳ガイドが高山植物の説明をされていました。単に遊歩道を一巡するよりも、このような説明があるとより理解が進むのではないでしょうか?

 

「あそこに咲いている花は何かしら..イワギキョウ??」 ミヤマオダマキ − 畳平ではちょっとレアな高山植物

パンフレットを片手に「あそこに咲いている花は何かしら..イワギキョウ??」と、写真と照らし合わせながら確認する花はミヤマオダマキ。畳平ではちょっとレアな高山植物で、パンフレットには載っていないかもしれません。遠目に見た場合は、イワギキョウに見えてもおかしくありません。

 

カメラを構えて コバイケイソウ − 今年は極端に少ない

こちらはミヤマキンポウゲの群生の中に、コバイケイソウが咲き誇る様子。今年はコバイケイソウが極端にすくないため、この光景は今年に限っては貴重といえます。

 

ヨツバシオガマ ネバリノギラン
イワギキョウ チングルマ(実)
=大群生はないかわりに、種類が多い=

ハクサンイチゲやミヤマクロユリが終了した後は、大群生と呼べるような状況はもありませんが、その代わりに、種類がかなり多くなってきました。

 

全体的にはヨツバシオガマが目立つ

先週に引き続き、お花畑全体で目立っているのはヨツバシオガマ。

 

モミジカラマツは、葉がモミジだから オンタデ(左:雌株、右:雄株)

モミジカラマツは少し終わりに近づきつつあります。お花畑は数々の高山植物が密集していて、葉まで確認できないことが多いのですが、ご覧のように葉はモミジに似ていて、花がカラマツソウに似ていることからモミジカラマツと呼ばれます。

右の画像はオンタデ。赤い左側が雌株、白い左が雄株で雌雄異株です。

 

木道の隙間 小さな一角に数多くの高山植物
(ミヤマアキノキリンソウ、ヨツバシオガマ、コウメバチソウ)

木道の隙間に咲く高山植物を見ると、小さな一角に3種類も咲いていて、数多くの高山植物が咲いていることがよくわかります。

 

ウサギギク ミヤマクロユリ − 実が大きくなってきた

そのほか、こちらはウサギギク。葉がウサギの耳に似ていることが由来。そして、ミヤマクロユリはかなり実が大きくなってきました。

 

ほぼ全種類の高山植物が出そろう
=例年より2週間ほど早い状況=

畳平お花畑は、ほぼ全種類の高山植物が出そろい、あとはトウヤクリンドウの秋を待つばかり...例年より2週間ほど早い状況ですので、お早目にお越しいただくとよいでしょう。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.13(2015/08/01〜02) @

先週あたりから暑さが一段と厳しくなり、各地では真夏日・猛暑日が連日続く状態となっています。冷涼と言われているノリクラにおいても、日中はそれなりに暑い日が続くようになり、ノリクラにも短い夏が本格的に訪れたようです。

8月1日(土)は、雲一つない快晴の朝を迎えます。気温は15℃と決して高いわけではないものの、朝特有のすがすがしさが感じられません。日が高くなると気温はぐんぐん上昇し、8時の三本滝ゲートで26℃で、先週よりも2〜3℃は高い状況。20℃をめったに超えない大雪渓でも10時で22℃まで上昇します。おそらく、この状態で無風だとかなりを暑さを感じますが、今日は幸い弱い風が絶えず吹き抜け、何とか暑さをしのげた状態。朝一番は雲一つない状態でしたが、上空には夏らしい雲が湧き上がり、遠景の山々は稜線を縁取るように雲が並びまさに夏空らしい光景が終日続きました。

8月2日(日)も、快晴の朝から始まりました。昨日と異なり、10時過ぎには空全体が雲に覆われるようになり、午後にはほぼ曇りに近い状態になりました。気温は昨日よりも若干低いものの、体感的にはやはり暑い一日でした。大雪渓のスキーヤーやヒルクライマーは昨日よりも若干多い状態が見られました。

稜線付近の登山道の積雪は、3週間前になくなりました。また、大雪渓から肩の小屋への登山道で現在積雪が残っているのは、大雪渓の登山道入口を91メートル進んだ先で、積雪区間は35メートルです。おそらく、今後は急速に雪解けが進んで、1週間程度でほぼ積雪はなくなるかと思います。それより上部の肩の小屋方面は完全に夏道となり、登山道周辺ではチングルマ・アオノツガザクラ・イワギキョウなどが咲き始めました。

また、この1週間の大雪渓は、梅雨明けと同時に気温も高く、やや雪解けスピードが速まった感じがあるものの、全体的にはほぼ昨年並みと言ってよい状態で、上部では昨年より1〜2週間早い雪解け、中段・下部は昨年並みかやや遅い状況です。強い日差しでバーン表面は柔らかく、先週は多く見られた氷柱がほとんどなくなり、バーン整備も最小限で済む状態です。なお、雪渓下部のモーグルバーンの雪解けが進んできたため、雪渓上部左側にモーグルバーンが新たに作成され、今後は下部から上部へモーグラーがシフトすることと思いますが、雪渓下部のモーグルバーンはあと1〜2週間程度は滑走可能かと推測されます。

 

<編集後記>

「雪がなくなったらどうしよう...」

ノリクラ 雪渓カレンダー  Vol.8(2016/07/02〜03) の<編集後記>でも申し上げましたが、今年はもしかすると、1999年以来、大雪渓の積雪がすべてなくなる可能性があり、現時点では2000年以降、最も積雪が少ない状況になっています。

夏スキーヤーにとって一番心配なのは、大雪渓の雪がなくなって滑走できなくなったらという点に尽きます。ウインターシーズンに向けてのトレーニングですから、少しでも長く、そして、次のウインターシーズンとシームレスに滑り続けたいという思いがあるのは間違いないでしょう。

でも、こういう時こそ、普段できないことをやってみる良い機会ととらえるのもよいかと思います。夏スキーヤーの中には毎週のように大雪渓に通い続けているにも関わらず、まだ山頂に行ったことのない人もいらっしゃいます。ノリクラというものを別の視点で眺める良いチャンスと考えられます。また、乗鞍高原の旅館・民宿に泊まって、地元の人との会話を楽しむのもよいでしょう。

スキーヤーだけではありませんが、やはり多角的に物事をとらえるのが大事。「ない袖は振れぬ」という言葉がありますが、雪がなくなったらそれは仕方のないこと。何か新たなことを始めるきっかけかもしれませんね。

 

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