ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.13(2016/08/06〜07) D

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(Update:2016/08/11)

 

【畳平、お花畑】

畳平

今回は内容が盛りだくさんで、最後になりましたが、いつものように畳平のお花畑の様子をお伝えします。まだまだ、高山植物の季節が続いています。

 

ヒルクライマーが集う 冬はスキー、夏は登山・ヒルクライム

今日はどこもかしこもヒルクライマーばかり...冬はバックカントリースキー、夏は登山・ヒルクライムという過ごし方が素敵...

 

こちらが畳平お花畑。

 

階段付近 まだハクサンイチゲが咲いている

入ってすぐの階段部分周辺は、春先にかけて大量の積雪が残る場所で、雪解けが他の部分よりも遅いことから、まだ、ハクサンイチゲが咲いています。ですから、この一角だけは初夏の高山植物が咲き、それ以外の部分のほぼ全域は、晩夏の高山植物が咲く状況になっています。

 

黄色い花はオトギリ

階段部分を降りて、黄色い花はオトギリソウ。長いまつげのような雄しべが特徴の花です。黄色の花は数多く見られますが、時期が少しずつずれていて、お花畑ではいつも黄色の花が咲いている状況です。畳平お花畑で代表的な黄色の花を開花の順番で並べると、ミヤマキンバイ → ミヤマキンポウゲ → ウサギギク・ミヤマアキノキリンソウ → オトギリ と、続いています。

 

今が旬のコウメバチソウ

一輪ずつは小さな花でも、これだけ群生するとなかなかの見ごたえ。今が旬のコウメバチソウ。

 

今週はイワギキョウが見頃に

そして、今週もっとも勢いのあるのがイワギキョウ。

 

ネバリノギラン ミヤマアキノキリンソウ
ヨツバシオガマ(実) チングルマ(実)

まだまだ、高山植物の季節は続いています。上のネバリノギラン、ミヤマアキノキリンソウは、開花状態ですが、下のヨツバシオガマとチングルマは花から結実へとシフトしています。それでも、花の時期に見劣りしない状況です。特にヨツバシオガマは、これから葉まで紫色に染まり、まさに「葉まで美しい(※)」と表現されるヨツバシオガマになります。

(※ 「葉まで美しい」という表現が、ヨツバシオガマの名前の由来になっています)

 

折り返し地点

一見して大群落がわかるような時期はもう過ぎてしまいましたが、まだまだ観察ポイントは隠されています。

 

実ができているミヤマクロユリ
実ができていないミヤマクロユリ
実ができるのは両性花(雄しべ・雌しべ)
2016ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2016/07/08〜09) E
実ができないのは単性花(雄しべのみ)
2016ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2016/07/08〜09) E

こちらはミヤマクロユリ。上は今回の様子で実ができているもの(左)とできていないもの(右)が存在します。この違いは下の開花した時の状況と関連があります。

下の画像は今年7月上旬のミヤマクロユリの花、左は雄しべ・雌しべの両方がある両性花、右は雄しべだけの単性花。当たり前の話ですが、雌しべがないため、実ができませんでした。ミヤマクロユリは成長状況で単性花から両性花へと変わって行きますので、右の花も今後は両性花へと変化すると思われます。

 

お花畑 鶴ヶ池周辺

さて、お花畑だけに高山植物が自生しているわけではなく、畳平周辺(鶴ヶ池周辺)は少し歩くだけで、お花畑に咲いていない高山植物に出合うことができます。

 

コマクサ(大黒岳周辺) トウヤクリンドウ(鶴ヶ池周辺)
=トウヤクリンドウが咲くと、高山植物シーズンは終盤に=

大黒岳周辺は探さなくともコマクサが点在していますので、すぐに探すことができるでしょう。しかし、そろそろ、終わりに近づきつつあります。そして、右の画像はトウヤクリンドウ。まだつぼみの状態ですが、特徴的な花弁の縞模様がはっきりと確認できます。

トウヤクリンドウが咲き出すと、高山植物の季節は終了となります。ちょうどカラマツの紅葉が始まると、紅葉シーズン終了となる状況に似ていますね。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.14(2015/08/08〜09) @

台風すら日本列島に近づけない強い高気圧に覆われ、各地で猛暑日連続記録が更新されています。ただ、この週末のノリクラは先週のような暑さはなく、朝晩は冷え込んで寒く感じるようになり、立秋を迎えましたので、ノリクラの真夏はもう終わりに近づいているのかもしれません。

8月8日(土)は、筋状の雲がたなびく青空の朝を迎えます。気温は13℃でひんやりとしたノリクラらしい気候。日が高くなっても日差しの暑さはそれほどでもなく、また、雲が多くなって日差しが隠れると日中でもひんやりとした空気感となります。正午の大雪渓は16℃、山麓の三本滝ゲートとは10℃も異なる気候で、雪渓を流れる空気はひんやりとして汗が引く感覚があります。今日もヒルクライマーは多く、一日で229台にものぼり、今季一番の入山台数を更新しました。

8月9日(日)は、朝5時の気温は昨日と同じ13℃ですが、長袖でないと寒さを覚えるほど。また、昨日よりも人出は多く、7時30分には観光センター前駐車場は満車となりました。そして、駐車場内はヒルクライムに出発する方々があちこちで準備を始め、総勢150名ものヒルクライマーが参加する走行会が開催されるなど、県道乗鞍岳線は自転車が数珠つなぎ状態。最終的には昨日の台数をさらに更新して356名ものヒルクライマーが訪れ、、過去最高の台数を記録しました。気温は大雪渓で16℃、稜線で14℃と、日差しは強いものの、ひんやりとした空気に包まれて快適そのもの...午後になると夏雲が沸き始めたものの、見事な天候が終日続きました。

大雪渓から肩の小屋への登山道で一部積雪が残っていたものの、今週は完全になくなりました。ほぼ例年並みの推移です。また、登山道の周囲にはチングルマを初め、ミヤマキンバイやイワギキョウ、さらにはトウヤクリンドウまで咲き始め、数多くの高山植物を楽しむことができます。逆に畳平のお花畑はそろそろ終盤に近づきつつあります。

また、大雪渓は、全体的にはほぼ昨年並みと言ってよい状態で、上部では昨年より1〜2週間早い雪解け、中段・下部は昨年並みかやや遅い状況です。強い日差しでバーン表面は柔らかく、最も滑りやすい状態となっています。また、雪解けが進んで、雪渓中段の上半分は岩場が多くなり、あと1週間程度で雪渓上部と雪渓下部が分断されると考えられ、歩いて下山することとなります。雪渓下部のモーグルバーンは、滑走距離が短くなってきたもののまだ滑走可能ですが、あと1週間程度が限界かと思われ、メインは雪渓上部左側のモーグルバーンとなりました。

 

<編集後記>

「インターネット化が偏食を招く...」

最近は電子書籍だけでなく、雑誌もタブレットで読むことができるようになり、1冊ずつ購入する必要がなくなりました。確かに雑誌こそ、タブレットのほうが便利かもしれません。ただ、読んでいて気が付いたのは、読むというより、頁を送って単に見ている..つまりななめ読みの頻度が多くなってしまったように思います。もともと、雑誌はそういうものといえばそうかもしれませんが、ある意味「インターネット化」したなぁ〜と、改めて思った次第です。

雑誌は一冊購入すると、必要でない部分も付随してくるわけで、初回は読み飛ばしてしまっても、ページを送っているうちに目に留まって読み返すということができました。タブレットでも同じなんですが、なぜか読み返そうという気になりません。おそらく他にも多くの雑誌があって、そちらの方に目移りするからで、ただ、読み移った雑誌でも同じように必要な部分しか読みません。

インターネットはまさに「必要な部分」を効率よく得るための仕組みが備わっています。それはそれでよいと思います。ただ、好きな物しか閲覧せず、極端な言い方をすれば、「偏食」を助長させるかもしれません。最近は「いいから、食べて見なさい!」と、親が言う機会が少ないように感じます。

SNSやポータルサイト的な単発的な情報があふれる中、「伝わるように情報を発信する」ことのむずかしさを感じるところです。

 

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