ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.15(2016/08/19〜20) D

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(Update:2016/08/25)

 

【畳平お花畑】

畳平バスターミナル

ここからは畳平の様子をお伝えします。

 

午後から天候が回復してきた

19日(金)は午後から天候が回復し、きれいな青空が広がり始めました。平日ということもあって人出はやや少な目。

 

お花畑

畳平の目玉の一つはお花畑ですが、高山植物の季節は終盤となってきました。

 

入口階段付近 − 高山植物がまだ咲いている

それでも、入口の階段付近には、ミヤマキンポウゲ、ハクサンボウフウが咲いています。

今年の畳平お花畑は例よりもかなり早く、6月下旬にはハクサンイチゲが咲き始め、他の高山植物も2週間程度早い推移を見せています。そのため、ミヤマキンポウゲのピークは7月上中旬、ハクサンボウフウのピークは7月中下旬でした。

それから比べるとすでに1ヶ月以上経過していて、同じお花畑に同じ種類の高山植物がずーっと咲き続けていることは考えにくいところです。実際のところは、この一角だけ積雪が多く、雪解けが遅かったことから、開花そのものがかなり遅れたためです。(4月下旬の畳平駐車場除雪時に、雪捨て場となることが影響していると考えられます。)

 

お花畑全体では花の時期は終わりに近づく

お花畑としては、もう終わりなんですが、高山植物を花以外の視点から見て見ましょう。

 

モミジカラマツの葉 − 紅葉が始まる(↓) ミヤマキンバイの葉 − 紅葉が始まる(↓)

紅葉というとモミジ・カエデなどという木を思い出しますが、左はモミジカラマツの葉。少し黄色く変化が始まっています。そして、右はミヤマキンバイの葉。こちらも赤く変化が始まっています。

 

花の時期のモミジカラマツ
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.12(2016/07/30〜31) E
花の時期のミヤマキンバイ
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.7(2016/06/25〜26) D

それらの花の時期の画像がこちら。モミジカラマツは葉がモミジで花がカラマツソウに似ているところからこのように呼ばれています。ミヤマキンバイは、漢字で表記すると「深山金梅」となり、花の形が梅の花に似ていて、色が黄色ということをあわわしています。

 

葉の変化が面白い ミヤマゼンコの葉

さて、こちらは変わった変色ですね...葉だけではわかりませんが、もう少し全体を見ると、ミヤマゼンコであることがわかります。

 

コウメバチソウ イワギキョウ

紅葉の始まる高山植物がみられる中、まだ、花の時期のものもあります。左はコウメバチソウ、右はイワギキョウ。他の高山植物が例年より早く進んでいる中、これらはほぼ例年通りです。

 

上下二輪のイワギキョウ−雌しべに違い
=成熟すると先端が開く=

こちら二輪のイワギキョウ、上のものと下のもので、中央の雌しべに違いがあるのがお判りでしょうか?これはちょっとした理由があります。

イワギキョウに限らず、一般的に雄しべが先に成熟し花粉を放出し終わったのち、雌しべが成熟して受粉可能な状態となります。雄しべと雌しべの成熟タイミングが異なるため、雌しべは他のイワギキョウの花粉で受粉します。下のイワギキョウはまだ雌しべが受粉可能な状態ではなく、上のように先端が開いて受粉可能状態になります。

このような現象は、自家受粉を避けるため、多くの両性花の植物で仕組みが備わっています。先のコウメバチソウでも同じ仕組みがみられます。今年は「雄しべ」がすべて開いてしまいましたので、その様子はまた来年お伝えしましょう...(コウメバチソウは「雄しべ」が開くタイミングなんです)

 

目立つのはミヤマアキノキリンソウのみ

お花畑の周回コース内には、ミヤマアキノキリンソウの黄色が目立つほかは、前述のイワギキョウ・コウメバチソウのみとなっています。

 

さらに奥の方に進むと...

 

黄色い部分はミヤマクロユリ − 実が大きくなってきた

黄色く変色しているところはミヤマクロユリ。こんなにたくさんのミヤマクロユリが存在していたのかと、今となってわかる光景です。また、先週よりも実が大きくなってきました。

 

トウヤクリンドウが数多くみられる

忘れておりましたが、こちらの花...先週あたりから咲き始め、一番奥にある折り返し地点付近では数多くみられるようになってきました。トウヤクリンドウが咲くと高山植物の季節も終わりに近づきます。

 

早くから咲き始めたものの、最後まで楽しませてくれました

お盆が過ぎると秋へまっしぐらに進むのがノリクラの夏。早くから咲き始めてしまった今年のお花畑も最後まで何とか楽しませてくれました。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.16(2015/08/22〜23) @

ノリクラの夏はまだ終わっていませんが、「真夏」は完全に終わったように感じられる今日このころ...あっという間に日中も長袖じゃないと過ごせないという季節がやって来ます。「秋の日はつるべ落とし」という事がありますが、「まだ8月でしょ!」と思って油断をすると、季節の変化の速さに驚かされます。

8月22日(土)は、午前中は霧雨濃霧で午後から回復。この天候のため、平日並みの人出で、シャトルバスは各便1〜2台運行。それでも、ヒルクライマーは138台もお越しになり、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍を1週間後に控えて、練習走行にお越しになった方も多かった模様です。また、大雪渓のバーンは先週までとは異なって、スプーンカットが目立ち、氷柱も所々で散見するようになってきました。バーンが冷え込んで硬くなってきたための現象で、秋に一歩近づいた証拠でもあります。

8月23日(日)は、はっきりしない天候。乗鞍高原は曇り空の朝から始まりましたが、雲間から望む山頂方面はしっかりと朝日が差し込んでいる様子が見られ、大雪渓方面は乗鞍高原に垂れ込める雲の上となり、今日のご来光バスの乗務員さんは「こんなに見事な日の出・雲海はノリクラに来て初めて!」と感動されるほどでした。ただ、その後は山頂方面へ雲が湧き上がるようになって、曇ったり晴れたりを繰り返す状況。大会最終日曜日で今日も数多くのヒルクライマーがお越しになり、また、山頂方面への登山客も夏休み終盤を迎えて家族ずれの姿が目立ちました。

大雪渓は、全体的には雪解けがさらに遅くなって、昨年よりも積雪が多い状況になってきました。
雪渓上部左側が1週間早い雪解けですが、それ以外のところでは昨年と同じか1週間程度遅い状態。雪渓上部右側、雪渓中段の下半分、雪渓下部はまだ滑走可能。また、雪渓上部左側は過去最高の長さが見られます。今後は雪渓上部左側がメインになってきますが、急斜面のため上級者・経験者限定で、これからノリクラデビューはお勧めできませんので、ご了承ください。

 

<編集後記>

「旅行の形態...」

気軽に旅行って言うものの、宿を取ろうとすると「1泊2名様から...」という表記が多く、おひとり様の旅行もなかなか難しいところ。宿側からしてみれば、1名だからといって、経費が半分になるわけではなく、できれば2名以上で取りたいところだと思います。

でも独りでふら〜っと旅行っていうのはいいもので、相手の都合に合わせることなく、当日だって旅立つことができます。また、最近はキャンピングカーもブームになっていて、軽自動車のキャンピンクカーは経費が掛からず人気とのこと。そして、旅行の形態が多様化し、乗鞍観光にお越しになっても、中には松本市内の安いビジネスホテルを選択するという方もいらっしゃるようです。おひとり様の受け入れはもちろんOKだし、4人家族ともなれば、クルマを飛ばしてでも安いところのほうがよいという場合もアリなんでしょう。

「ノリクラは自然がいいから」というウリとは別に、多様な選択肢を来場者に提供できた方が良いんでしょうね。きっと...

 

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