ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.18(2016/09/10〜11)  B

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6

(Update:2016/09/15)

 

【雪渓下部】

それではここからは雪渓の様子をお伝えします。こちらは車道沿いの雪渓下部ですが雪はありません。今年は7月最終週(第5週)に雪解けが完了しました。2015年は9月第3週、2014年は9月第2週、、2013年10月第1週、2012年・2011年・2010年は9月第2週、2009年は9月第1週に雪解けが完了しました。2004年・2005年は2年連続して雪解けが早かったですが、それでも、8月第2週・8月第3週で、7月中に完了するのは2000年以降初めてのことです。

 

【長野県安全登山条例について】
大雪渓入口に新たな看板が設置 【画像拡大:7月より登山届が義務化されました】

大雪渓入口に設置された「肩の小屋口登山口」の看板は、7月からは登山届の提出が義務化されたことを案内する内容が記されています。登山届義務化の概要については、 お知らせ−7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)。をご覧ください。

長野県は、「長野県安全登山条例」を昨年12月17日に公布・施行し、登山計画書の提出を義務付ける「指定登山道」を4月11日に決定し、昨日7月1日から登山計画書の提出を義務化しました。

条例の中では、遭難の発生のおそれが高いと認められる167の山岳と、1の景勝地を「指定山岳」として定め、指定山岳の山頂及び景勝地に至る主な登山道の起点となる122の登山口を「指定登山口」として定めます。その中で指定登山口から指定山岳の山頂及び景勝地までの区間にある登山道を「指定登山道」として定めます。

ノリクラにおいては、指定登山岳「乗鞍岳(朝日岳、摩利支天岳)」、指定登山口に「鈴蘭橋登山口、肩の小屋登山口」が指定され、指定の登山道の一部でも利用する場合は、登山届の提出が必要です。また、大雪渓でのスキー・ボードは、肩の小屋口登山道を利用しているものと解釈され、登山届の提出が必要です。

【ご注意:実際の登山道入口は大雪渓入口から車道を北へ50m先にあります】

ご注意:実際の登山道入口は車道を北へ50m先にあります

実際の肩の小屋口登山口

おそらく、この看板は設置場所の問題からここに建てられたものと思われますが、肩の小屋口登山口は大雪渓入口とは異なり、この画像より車道を北へ50メートルのところにあります。

先週色づいた部分は枯れ始める

大雪渓入口のウラジロナナカマド。先週あたりからキレに色づきが始まりました。しかし、今週は枯れた色合いのものが多く、色づきが始まってからの持ちががよくありません。

 

石碑の岩

いつもお伝えする石碑の岩のチングルマ。例年ならそろそろ色づいた葉が多くなってきてもよいのですが、今年はほとんどありません。

 

コケモモの実 雪渓下部

高山植物の花の季節はもう終わりになっていますが、実の季節が始まっています。こちらはコケモモの実。大きさは1センチにも満たないもの。場所によってはもっとたわわに実るところもありますが、実の大きさはほぼ同じ。北欧では自生のコケモモを採取してジャムにしますが、これをジャムにするには相当な量を取らないとできません。

市販で出回っているコケモモジャムは、リンゴンベリーやラズベリー(ツルコケモモ)から作られるものが多いと思われます。

 

【雪渓上部 T】

雪渓上部全景

現在、積雪が残っているのは、雪渓上部左側のみ。

今年は例年になく雪解けが激しく、他のエリアでの滑走が困難となり、モーグラーだけでなく、アルペンレーサーも多数お越しになり、雪渓上部左側のほぼ全域で滑走されていました。しかし、雪渓上部左側で安全に滑走できるのはモーグルコースのある右寄り部分と一番奥の左寄り部分で、中央付近は傾斜が強いため滑走には適しません。現時点では雪が柔らかく、滑走に問題ないところ状態で、これがお盆以降はバーンが硬くなり、バーン表面のギャップもひどくなって滑走困難な状況も考えられます。そのため、急斜面を滑落の危険性があるため、初心者の方の滑走は困難ですのでご承知ください。

 

今回の雪渓上部左側
昨年同時期の雪渓上部左側
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.19(2015/09/12〜13) D
2004年同時期の雪渓上部左側
2004ノリクラ 雪渓カレンダーVol.18(2004/09/11) B

上段が今週の雪渓上部左側全景です。左下が昨年同時期の物ですが、その大きさの違いに今年の積雪量がいかに少ないかよくわかります。また、右下は2004年の同時期の画像で、2000年以降の同時期の画像としては最も近い状態もの。それでも今年のほうが小さい状態です。

 

先週の雪渓上部左側
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.17(2016/09/03〜04) C
今回の雪渓上部左側
=横幅は先週の3分の2に減少=

先週と比べて、左縁・右縁の雪解けが激しく、横幅は先週の3分の2程度になっています。ただ、幸いなことに、縦の長さはほとんど変わっていないため、滑走距離は先週と遜色ありません。

 

今回の雪渓下端(115m)
2011年の雪渓下端(10月上旬、72m)
2011ノリクラ雪渓カレンダーVol.22(2011/10/08〜09) B
2012年の雪渓下端(10月下旬、72m)
2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.24(

右寄り部分が消滅してしまいましたので、雪渓下端が先週よりも左に移動してしまったことから、落書きの岩と雪渓下端は先週よりも30メートルも離れて115メートル。昨年は10月末の時点ではこれよりも積雪が多い状態でしたので、昨年と比較することがもうできません。また、先週は2011年・2012年で10月上旬・下旬と近似の状態でしたが、これらの年はその後、降雪により積雪量が増えてしまったため、今週と近似の状態の物がありません。おそらく、先ほどの雪渓上部左側の全景画像で示した2004年に近似するものがあるはずですが、この年は落書きの岩からの計測を行っていないため、画像がありません。

 

先週の右寄り部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2016/09/03〜04) C
今回の右寄り部分

右寄り部分はご覧のとおり激しく雪解けして、積雪がほとんど残っていない状態で、中央部分と離れてしまいました。

 

先週の上端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2016/09/03〜04) C
今回の上端部分

上端部分は先週とほとんど比較にならない状態です。

 

先週までの測定箇所の積雪がなくなり
積雪の残る部分の一番右側を測定
上端から−雪渓下端まで23メートル
2000年以降最も短い

上端から下端までの距離の計測ですが、いつもの右寄り部分で計測しますが、もう積雪がありませんので、その隣での計測となり、23メートルです。

雪渓脇に古い空き缶

このところ空缶シリーズが続いていますが、キリン(先々週、Vol.16 B)があれば、アサヒ(先週、Vol17 B)もあるわけで、そうなれば、やはりサッポロもあります。

 

缶入サッポロピール(1954〜1965年発売) この当時にも積雪の少ない年があったことを
推定できる貴重な資料

アサヒが日本で初めて缶ビール「缶入アサヒゴールド」を発売した翌年の1959年8月(昭和34年8月)、続いてサッポロビール(当時は日本麦酒)が「缶入サッポロビール」を発売しました。アサヒと同様に「フラットトップ」と呼ばれる缶切りで穴をあけるタイプで、上蓋・底・胴体の3ピース構造のスチール缶です。

その後、プルトップと呼ばれる缶切り不要なタイプに切り替わったのは、アサヒ・キリンと同じく1965年(昭和40年)ですから、この缶が大雪渓に捨てられたのは1959〜1965年(昭和34〜40年)の6年間と推測されます。

確認された場所は今回の雪渓上部左側の下端部分。今年は積雪が少なくこの付近の雪がありませんが、例年だと積雪に覆われそのまま次の降雪期に入ってしまい、近年では2004年から今年まで積雪が残っていて、めったに姿を現さない場所です。ですから、1959〜1965年の間にも、今年と同じように積雪が少ない時があって、この位置に空缶が残ってしまったと考えられます。すでに50年以上経過するものの、原型をとどめているのは、通年にわたって雪中にとどまっていて、空気に触れることなく温存されていたものと思われます。

また、この場所にあるということは、当時はまだ温暖化が懸念される以前の時代ですが、それとは関係なく年によって積雪量に変動があり、積雪の少ない年があったことが考えられます。

なお、積雪の多い春〜初夏に雪渓の真ん中で休憩を取り、そのまま雪渓上に放置した空缶が、雪解けの激しくなった近年になって地面に落ちたということも否定できませんが、この場所は急斜面で雪上で休憩を取ることは適さず、一般的には雪渓脇の岩場で休憩すると想定されます。

単なる「迷惑なゴミ」ではあるものの、今となっては過去の積雪量を測りうる貴重な資料になるものと考えています。

 

【雪渓上部 U、今日も練習に励みます】

ショートターンを中心に1〜2レーン程度

これだけ狭くなると滑走できる箇所が限定されますが、ショートターンを中心に1〜2レーン程度の広さが確保できます。

 

滑走距離26メートル

滑走距離は先週の30メートルから26メートルに減少。斜度は以前と比べて幾分なだらかになって来たことから、比較的滑走しやすい状況となり、滑走距離が短いなりにも練習できる環境です。

 

ハイシーズンから滑り続けているから、この難斜面でも滑走できる
=一般の方の滑走はムリです=

しかし、この環境で滑走するには、7月・8月のハイシーズンから、この雪渓の雪質・斜度に慣れていないと滑られる状態ではなく、いきなり、ウインターシーズン前の事前練習のつもりでお越しになると、ウインターシーズンを棒に振ってしまう可能性もあります。

■ 次のページは >>  Page3 【ご来光バス − ご来光に照らされる雲海は絶景】■

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  5  6  Next>>