ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.22(2016/10/08〜10)  C

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(Update:2016/10/13)

 

【雪渓下部】

雪渓下部 今年は7月最終週に消滅

それではここからは雪渓の様子をお伝えします。こちらは車道沿いの雪渓下部ですが雪はありません。今年は7月最終週(第5週)に雪解けが完了しました。2015年は9月第3週、2014年は9月第2週、、2013年10月第1週、2012年・2011年・2010年は9月第2週、2009年は9月第1週に雪解けが完了しました。2004年・2005年は2年連続して雪解けが早かったですが、それでも、8月第2週・8月第3週で、7月中に完了するのは2000年以降初めてのことです。

 

【長野県安全登山条例について】
大雪渓入口に新たな看板が設置 【画像拡大:7月より登山届が義務化されました】

大雪渓入口に設置された「肩の小屋口登山口」の看板は、7月からは登山届の提出が義務化されたことを案内する内容が記されています。登山届義務化の概要については、 お知らせ−7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)。をご覧ください。

長野県は、「長野県安全登山条例」を昨年12月17日に公布・施行し、登山計画書の提出を義務付ける「指定登山道」を4月11日に決定し、昨日7月1日から登山計画書の提出を義務化しました。

条例の中では、遭難の発生のおそれが高いと認められる167の山岳と、1の景勝地を「指定山岳」として定め、指定山岳の山頂及び景勝地に至る主な登山道の起点となる122の登山口を「指定登山口」として定めます。その中で指定登山口から指定山岳の山頂及び景勝地までの区間にある登山道を「指定登山道」として定めます。

ノリクラにおいては、指定登山岳「乗鞍岳(朝日岳、摩利支天岳)」、指定登山口に「鈴蘭橋登山口、肩の小屋登山口」が指定され、指定の登山道の一部でも利用する場合は、登山届の提出が必要です。また、大雪渓でのスキー・ボードは、肩の小屋口登山道を利用しているものと解釈され、登山届の提出が必要です。

【ご注意:実際の登山道入口は大雪渓入口から車道を北へ50m先にあります】

ご注意:実際の登山道入口は車道を北へ50m先にあります

実際の肩の小屋口登山口

おそらく、この看板は設置場所の問題からここに建てられたものと思われますが、肩の小屋口登山口は大雪渓入口とは異なり、この画像より車道を北へ50メートルのところにあります。

 

石碑の岩 チングルマは枯れてしまった

石碑の岩にあるチングルマ。先週、紅葉が始まってオレンジ色になり、さらに真紅に色づくかと思いましたが、残念ながら枯れてしまいました。ウラジロナナカマドの紅葉は先週の段階で完全に終了し、その後はチングルマやミヤマキンバイなどの高山植物の紅葉が残るものの、それすらも終わってしまうと、見るべきものがなくなってしまいます。

 

後は初雪を待つばかり

後は初雪に覆われて雪化粧した光景を待つばかりです。今年は初霜(9月30日)・初氷(10月10日)が例年よりともに11日遅い観測でしたので、初雪も遅くなるかもしれません。10月10日の初氷についてはこの後の6ページ目にてお伝えいたします。

 

【雪渓上部 − 20世紀の雪が残る大雪渓を見に来なくちゃ!】

雪渓上部全景 雪渓上部左側

現在、積雪が残っているのは、雪渓上部左側のみ。

先週まではかろうじて滑走可能な状態でしたのが、滑走できる状態ではありません。積雪はまだ残っているものの、以下の画像を下されば、滑走できないことはお分かりになると思います。

 

先週の雪渓上部左側
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.21(2016/10/01〜02) B
今回の雪渓上部左側
横35m×縦7〜20m

先週と撮影箇所が若干異なっていて画像に大小の違いがありますが、縦横の全長は先週とほぼ同じです。ただ、全体的には一回り小さくなっているのは一目瞭然です。先日の台風18号の影響からいつも以上の雪解けが見られたものと考えられます。

 

今回の雪渓下端(145m)
2011年の雪渓下端(10月上旬、72m)
2011ノリクラ雪渓カレンダーVol.22(2011/10/08〜09) B
2012年の雪渓下端(10月下旬、72m)
2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.24(2012/10/20〜19) B

落書きの岩と雪渓下端は145メートルと先週から15メートルも増えています。昨年は10月末の時点ではこれよりも積雪が多い状態でしたので、昨年と比較することがもうできません。また、先週は2011年・2012年で10月上旬・下旬と近似の状態でしたが、これらの年はその後、降雪により積雪量が増えてしまったため、今週と近似の状態の物がありません。

 

先週と大きく異なる点は右側が消滅しているところ(赤丸)。

 

全景画像

右の画像が右側部分で概ね横幅で5メートル程度はなくなっています。また、左の画像を見ても全体的に雪解けが進んでいることがわかります。

 

先週の滑走箇所

こちらは中央部分、先週滑走していた箇所です。

 

先週の上端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2016/10/01〜02) B
今回の上端部分
2〜3メートルほど後退

上端部分が2〜3メートルほど後退しています。

 

 

先週の下端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2016/10/01〜02) B
今回の下端部分
3〜5メートルほど縮小

また、下端部分も3〜5メートル程度縮小しています。

 

左側部分 − 積雪がなくなって下地が出始めた

その隣の左側はもう少し滑走距離が取れる部分ですが、上部から絶えず小石が落ちてくるため滑走には適さない状態となっていました。今週の画像でも、同じように雪渓の上に数多くの石が乗っているのですが、よく見ると、石が乗っているのではなく、もう積雪がなくなって下地が出ている状態です。この付近の縦の最長距離は20メートルほどです。

 

ここに来ると落ち着く − 大雪渓でランチ

「なぜか、ここに来ると落ち着くんですよね。」と、ここでランチをするために自転車でやって来た常連スキーヤー。

 

コーヒーをドリップするときが一番リラックス

「こうやって、ここでお気に入りのコーヒーをドリップするのが一番リラックスできるんです。他の常連さんたちは今何しているんでしょうか?1999年から続くこの雪渓を自分の目でしっかり見ておくのもよいと思うんですよ。」 

 

20世紀の雪を間近に触れられることは歴史的なこと

大雪渓の積雪は、1999年の夏に全て融けてなくなり、それ以降は雪渓上部左側に積雪が残る状態が今日まで続いています。残念ながら2000年の画像が残っておりませんが、これほどまで積雪が少ないことはなく、また、2001〜2016年で最も少なかった2004年・2005年でも、今年よりも多かったため、現在表面に表れている雪は1999年当時の積雪と推測されます。

「20世紀の雪を間近に触れることができる」 そんな歴史的なことがこんな小さな雪渓で体験できるんです。

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