ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.3(2017/04/15) C

 

 

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(Update:2017/04/20)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

 

位ヶ原山荘に向かうための案内看板
=悪天候時はここで進退の判断を決めること=

こちらは位ヶ原山荘に向かうための案内看板。ここには、「この先は今までのような道はありません。悪天候時はルートを見失いやすいです。最近、単独行の道迷い遭難が多いです。経験・自身のない方は無理せずここで引き返してください。」と、記されています。

この先は森林限界を超えてオープンバーンになりますから、今日のような視界状況では確実に方角を見失うことになります。方角を見失ってから(迷ってから)戻ろうとしても、もうその時点では戻れませんから、この看板の位置で、この先、進んでもよいのか・撤退すべきかを判断しなければなりません。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2016ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.5(2016/04/16) D
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2017/04/08) C
今回の位ヶ原急斜面
昨年より2メートル近く多い

  位ヶ原急斜面の積雪は、昨年より2メートル程度多く、積雪の多かった一昨年よりも多い状態です。先週と比べるとわずかですが、雪解けが進んでします。

 

わずかな雪解けでも、突如として木々が出現する 雪着きの悪い場所

しかし、このわずかであっても、雪の中に横たわっているブッシュや木が出現すると結構目立つ存在になります。現時点ではまだ横になった状態ですが、起き上がれば高さ1メートル以上になりますので、少しの雪解けでも、滑走に影響のある木々が数多く出現するということになるわけです。

また、この辺りから降る雪が乾いた状態になってきていて、雪付きの悪いところもみられました。今日は気温が氷点下にならず、このような場所もアイスバーンになっていませんが、まだまだ、この辺りでは氷点下になりますので、アイスバーンになることもあります。

 

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

【位ヶ原】

位ヶ原 −上端部分が見えないのでここで撤退

ツアーコース位ヶ原急斜面を登りきった先より、森林限界を超えて位ヶ原の台地に入ります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。

判断の一つとして、行く先の上端部分が確認できるかどうかがポイントです。もし、上端が見えない状態であれば、引き返すことをオススメします。今回はこの先に丘があるはずですが、視界が50メートルほどしかないため、確認できません。そのため、今回はここで引き返すという判断をします。

 

着雪性の良い湿雪 激しく音を立てて降る霰

木々が真っ白になるほどの着雪性のよい湿雪や霙(みぞれ)が降ったかと思うと、激しく音を立てて霰(あられ)が降ります。顔に当たるとかなり痛いもの...今日は本当に天候変化が激しい一日です。

 

そして、15時過ぎになって、ようやく青空が...

 

下山滑走のツアーコース − 積雪5センチのプチパウダー

一日のトータルの積雪は5センチ程度だったかと思います。午前中に下山された方々はストップスノーに閉口されていましたが、夕方には少し気温が低くなって、滑走性が良くなった影響もあって、ややまとわりつく足裏感覚があっても、プチパウダーを楽しむことができました。

ノリクラのように高い山では、春といえども、まだ冬の空気が残っていて、不安定な状況を見せています。厳冬期以上にひどい濃霧になることも多く、春になったから安心ということは決してありません。春山スキーにおいても、厳冬期と同じ装備や心構えが必要です。

 

<編集後記>

「ゴールデンウィークの旅行動向...」

JTBが4月6日に発表した、2017年ゴールデンウィークの旅行動向によると、前半の29日(土)〜30日(日)は通常の週末と変わらないものの、3日(水)〜7日(木)までは5連休となり、5月1日(月)と2日(火)を休めば9連休となります。

長い休みが取りやすいこと、為替相場が昨年GW時期と比べて円高傾向であることなどから、海外旅行が昨年より1.2%増加の29.5万人で過去最高の見込みとのこと。その反面、国内旅行は前年比−1.8%の2300万人とのことです。また、国内旅行のピークは5月3日(水)で、じゃらんではGW前半よりも後半の宿泊予約状況が多いことから、混雑を避けるためには前半の旅行がお勧めとしています。

GWの旅行を取り巻く環境と旅行動向においては、「長い休みが取りやすい」と「取りにくい」の二極化、予定費用が「2万円以下」と「10円以上」の二極化がそれぞれ見られるのも特徴でした。

乗鞍地域でも、29日(土)より乗鞍岳春山バスの運行が開始される予定があり、また、5月1日(月)には乗鞍スカイラインの一部オープン(平湯峠〜夫婦松、マイカー規制区間)が予定されています。乗鞍スカイラインの一部オープンは今年からの初めての試みで、オープン初日はほおのき平駐車場からの無料バスも計画されていますので、ぜひ、乗鞍地域に足を運んでみてはいかがでしょうか?


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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