ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.14(2017/08/11〜12) C

 

 

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(Update:2017/08/17)

 

【第7回乗鞍フォーラム】

乗鞍フォーラム会場(畳平バスターミナル)

毎年、12月に高山市内で開催されていた乗鞍フォーラム。前回12月の会では「次回は山の日に現地乗鞍で開催したい」と副市長がアナウンスしていた通り、今年の乗鞍フォーラムは8月11日に畳平バスターミナルにて開催されました。

 

パネルディスカッション・意見交換会 120名の参加者

例年の乗鞍フォーラムは乗鞍グリーンシーズンが終了した後で実施されるため、入山数や事業報告が行われますが、今回は年度途中のため報告はなく、畳平という場所で実施される特色を生かして、午前中の第1部は乗鞍体感トレッキングが実施され、午後の第2部が今回ご紹介する従来から実施されているパネルディスカッション・意見交換会となります。

 

左 − 三井栄氏(岐阜大学教授) トレッキング参加の子供たち

最初にコーディネーターの三井栄氏(岐阜大学教授)は、「昨年の来場者数は11万5千人と一番少ない数になり、今回は乗鞍の魅力をここ畳平でみんなで一緒に考えよう。この畳平というところに来たことがない子供たちにこの魅力を知ってもらいという思いもあって、子供たちに来てもらい、山を考えて行きましょう。」と、冒頭のあいさつから始まり、第1部のトレッキングに参加した子供たちに今日の感想などを聞きます。

初めて来たという女の子は、「自然がたくさんある山だとしり、今日の散策でたくさんの種類の花があって楽しかったです。」、また、今回2回目という男の子は、「来るたびに色々な風景を見せてくれるので、霧の中でも楽しかった。また来たい」と話してくれました。

 

右 − 上平 尚氏(自然体験活動コーディネーター)

●子供たちへの取り組みに

学校登山などで子供たちが山に興味を抱いてやってくるかどうかは、事前のオリエンテーションや引率の先生方の姿勢・取組に大きく左右されるところがあり、パネリストの中屋妙子氏(NPO方針 ネイチャーグレイス・うたてい事務局)は、「印象的だった出来事に、今日のような霧の掛かった日で、子供の一人が「雲を食べる!」と言い出したら、他の子供たちも一緒に大騒ぎして一緒に食べようとしたんです。このような体験はテレビではできず、現地に来ないとわからないことだなぁ〜と感じた次第でした。ただ、中学生ぐらいになると喜怒哀楽をはっきり表現しないので、楽しいのかどうかわからないが、学校や年度によって大きく異なり、その違いについて考えると、事前学習だったり先生たちの取り組みかもしれない。また、登山道が込み合うことがあって、登りルートと下りルートが分けられるとよいなぁ〜と思いました」と、おっしゃっていました。

上平 尚氏は、「私の場合は、事前にオリエンテーションの時間を設けて、ガイド数などの打ち合わせを行ったりします。また、実際に現地に子供たちが来ると、自然と「めっちゃ景色がいい」とか」、特に教えたわけでもなく感動しあう様子がみられます。そして、子供たちからの感動シーンを、ガイドたちはまた新たな引き出しにしていきます。登山道に関しては、かつては荷物をボッカで山小屋に運ぶ必要性から、登山道の整備は必須だったが、現在はヘリコプターで荷揚げしてしまうため、登山道の必要性が薄れてしまし、整備しなければならない事情がなく、現在は登山道整備が追い付いていない」と、おっしゃっていました。

吉澤保幸氏(一社 場所文化フォーラム名誉理事)は、「ツェルマットがマイカー規制したのは次世代に良い環境を残したいという住民の想いなんですよ。だから街づくりの一環でそうしたんです。と聞きました.。地域づくりの主役は子供たちなんです。どうやって次の世代に託せるのか、地域に対して愛着と誇りを持ってもらう。そういった想いで、このような体験トレッキングを盛り込んでもらったんです。」、おっしゃっていました。

 

左:中屋 妙子氏(NPOネイチャーグレイス・うたてい事務局)
右:福島 眞氏(のりくら観光協会長)
右:西倉 良介氏(高山副市長)

● 学校登山について

福島 眞氏(のりくら観光協会長)は、「長野県では84%の学校が登山に行っています。乗鞍は安全に登れる山だと思う。松本市は「岳都・楽都・学都」のキャッチフレーズで取り組んでいます。地元では小学校5年生で乗鞍登山を体験します。中学校に入ると奥穂までヘルメットをかぶって登る学校もあります。」

西倉 良介氏(高山副市長)は、「昨年、高山市小中学校で乗鞍に登ったのは31校中4校しかありません。ただ、乗鞍山麓の五色ヶ原には14校行って、そのほか高山周辺の登っていて、自然環境に触れる機会は多いと思っている。ただ、本日のように家族で体験するのがまた違った魅力を醸し出し、親が楽しんでいるところを子供さんも体感して一緒に楽しむと、その子供さんが大きくなって、次の子供さんと楽しむ循環が生まれると、引き続きずーっと山に来ていただくことができるのではないかと思います。体験学習とか、外来植物除去作業とか親子で参加できる取り組みも続けていきたい。」

 

●乗鞍高原との比較

三井氏、「昨年は11万4千人という過去最低の記録となり、今年も7月現在で4万8百人で昨年の8割の数字で、今年も減少する可能性がある中、乗鞍高原ではあまり大きな減少はないと聞きますが、福島さんいかがでしょうか?」

福島氏、「地元のおやじたちと違って、よそから嫁いできた女将さんたちが綺麗な写真を撮ってくれるんです。決して情報発信がうまいとは思っていませんが、実際に宿をやっていても、そんなに減っているという実感はありません。一番のピークは平成12〜13年ごろで、ここ何年かは少し減っているようです。乗鞍高原も一番のピークで70万人くらいいたんですが、去年は40〜50万の間で減っていることは減っている。どの学校も何を求めているかというと、地域のことをもっと知りたいといいますね。一番のウリは乗鞍の雪に触れること。PRは毎年というほどいやどいうほどにマスコミに情報発信したしています。そうすると何かしらの記事にはしてもらえる。私たちは「蜜のツボ(ハニーポット)にはなりたくない」と常々言っております。蜜がなくなれば蜂もよって来ずに終りになってしまいますからね。だから短期間にお客様に求めていません。普段のとおり豊かな生活をしていれば、お客さんたちもそれにつられてやってくると思っています。乗鞍高原は昔から大手のホテルが来てないんです。だから、修学旅行などは分散して泊まり、そこの親父がガイドでついていったりして親しくなったりします。決して情報発信が上手ではなく、そういう努力はせず、普段通りの豊かな生活をしていれば、自然とお客さんが来てくださると思っています。」

上平氏、「以前、「乗鞍高原と丹生川とを語る会」をやってました。乗鞍高原は観光では丹生川よりも先輩で、丹生川は歴史の中で農業と観光の調和ある村づくりを公約していて、生活が先か環境が先かを考えるのが難しい所。訪れるお客様の声に耳を傾けながら、次の世代を受け継ぐ人たちを養成していかなければならないのではないかと思う」

●マイカー規制の問題

一般参加者から「乗鞍スカイラインは車で走って楽しいもの。一部緩和という方向性も考えられないか」という話に対して、高山市は「今年からEV乗り入れ実証実験があり、平湯の森で貸し出すEVレンタカーは乗鞍スカイラインを通行することだできるので、試していただきたい。」

●色々な企業があるものの、それを一手に取りまとめる所がない。

ガイドさんをお願いしたんだけど、どこにお願いしたらいいのかわからいという声がある。窓口となるようなものがあるとよいと思う。

 

後戻りしたくない − EVであっても慎重に検討を 自転車の人にも自転車以外の魅力を知ってもらうことを

そして、後半は一般参加者との意見交換が行われました。

●高山市民の方、「1973年の乗鞍スカイライン開通当初にでた「乗鞍の雷鳥」という写真集で、それに携わりました。その時、亀ヶ池はゴミ捨て場でした。せっかく作ったばかりの夫婦松駐車場の裏側もゴミ捨て場だったんです。そういうことを当たり前にやってきた結果がマイカー規制となったんです。言いたいのは絶対にこういうことは後戻りしたくないんです。たとえ電気自動車であっても慎重にやってもらわないとまた同じことが起こると思うんです。乗鞍の将来のことを考えてマイカー規制のことは考えてもらいたいです。(拍手)」

●高山市民の方、「今自分生きているものだちが楽しむためにマイカー規制を緩めてしまうというのは逆方向に行くのは、今の自分たちのことしか考えていなく、やっぱり次世代のことを考えると、今戻って来た自然を一回壊してしまうと大変なので、ここままずっともっと良くなるようにマイカー規制は保ってほしい。乗鞍は登山ルートが乏しく、剣ヶ峰に集中してしまい、もっともっとたくさんの登山道を作ってバリエーションを作るとリピーターが増えると思います。」

●松本市民の方、「以前からノリクラに来ていたのに、初めてガイドツアーに参加させて、新たなことを知ることができ、ガイドツアーの有用性を実感しました。自転車などある目的を持ってくる人に対して、ガイドツアーに参加してもらうと、自転車以外にも魅力を知ることができ、散策するために泊まってみて時間を作ってみようと思うので、ある目的を持ってくる人たちに対しても発信していくことが大事なのかなぁと思います。自転車来る人は多少休んで帰って行ってしまう人が多いんですが、特殊な靴を履いてくる人がいますが、魔王岳とか大黒岳に行くのは困難なので、山頂で登山靴を貸し出す取り組みがあってもよいと思います。」

 

右 − 吉澤保幸氏(一社 場所文化フォーラム名誉理事)

最後にまとめとして、

●乗鞍のブランド力(吉澤氏)

乗鞍で取り組むことは「人数×時間」どれだけ滞在してくれるか・リピートしてくれるか、満足してもらえるかを調べていくこと、何より、リピーターを増やすこと。そのためには、その一つにはガイドを一段ときめ細かく養成し、インバウンドの人たちはットップブランドのガイドを要請するため、ランク付けしてガイド力をつけて、リピートしてもらう循環を作る。それと旅館街と山(ガイド)との人のつながりを作り、山の下の人たちの情報がすぐに上に伝わり、こういうお客様が来た時どのようなもてなしをしたらよいかということができるようになる。ノリクラを山頂にした麓との一体となった暮らしと同時に、新しい事業・雇用をより一層強めていくことが大きなことになるかなと思う。高山松本が連携して、世界のエコリゾートとして世界とつながり合う。ツェルマットやグリンデルワルトと同じように認知されて来れば、よりここに来る人たちもノリクラルールを守ってくれます。そうすればノリクラルールが雇用を守ってくれます。インターナショナルな山岳エコリゾートなんだと胸を張って言えるくらい高山松本が手を組んで取り組んでもらいたい。

マイカー規制と考えないで、ノリクラルールを作りましょう。次世代のために人間と自然が同矯正できるのか?そのために必要なものを調和させるのか、それをこの乗鞍という場で作っていくことこそが精神的取り組みだと考えています。規制に対して反対という世界ではなく新しい山岳と人間との共生と孫の代へどう伝えていくかを考える。県境・行政は自然の後なんです。人間が自然を征服するのではなく、人間は自然に育まれているということを戻す原点として乗鞍ということを考えながらノリクラルールを考えて行くことこそが大事だと思う。

●自転車(三井氏)

自転車乗りの人には二つのタイプがあって、練習場としてここに来る人たち。でも、その人たちは必ずどこかで宿泊をしてくれるのでお金を落としてくれる人として魅力的。一方、ガイドなど様々取り組みをしてくれる人などは、ちゃんとリュックに靴を入れてくるなど、ここでのツアーを楽しみに来るというとか散策をされる人がいて、それぞれに対応が必要と思われる。前者のタイプに対して、乗ること自体に魅力を感じる人には、周遊性を持たせるため、ガチャの中にマップを入れて、案内するような形にして、周辺地域の魅力発信をしていくようにしていきたい。

 

 

【畳平お花畑】

畳平お花畑 イワギキョウ

ここからはいつものようにお花畑の様子をお伝えします。

 

お盆休み − たくさんの人出

天候が芳しくない状態ですが、お盆休みに入り、今日もたくさんの方がお越しになっています。

 

モミジカラマツ ハクサンイチゲは完全に終了

入口付近を見ると、モミジカラマツが見頃を迎えていて、ハクサンイチゲは完全に終了しました。

 

階段付近 ハクサンイチゲが咲いている

それでも、階段付近の雪解けが最も遅かったところでは、これからハクサンイチゲが咲き始めています。

 

遊歩道を奥に進むと...

 

ハクサンボウフウウ

こちらでもハクサンイチゲは完全に終了し、ハクサンボウフウが咲いています。同じ「ハクサン...」という名前がついておりますが、加賀の白山が原産(白山で自生している)という意味に過ぎず、ハクサンイチゲはキンポウゲ科でニシンソウと同じ仲間、ハクサンボウフウはセリ科の植物で、シラネニンジンやミヤマゼンコなど数多くあって、どれも同じ植物に見えてしまうほど数が多い植物です。

 

オンタデ

こちらはオンタデ。雌雄異株で、白いのが雄株、赤いのは雌株と呼ばれています。

 

さらに奥の方に進むと...

 

チングルマ(実) ミヤマクロユリ(実)

ほとんどのものが花から実になっています。

 

ヨツバシオガマ(実)

一見わからないのがヨツバシオガマ。まだ花が咲いているかと思ってよく見ると、花から包状の実ができていることに気付きます。

 

コウメバチソウ オトギリソウ

それでも、まだコウメバチソウやオトギリソウなど、晩夏の高山植物が楽しめます。

 

お花畑全体を彩るような咲き方はもうありませんが、小さな高山植物の世界ではまだまだ多くの変化が楽しめます。

 

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