ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.2(2018/04/07) C

 

 

Top-page > Index > Page:   1  2  3  4 

(Update:2018/04/12)

 

 【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面 − この先オープンバーン

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

ここ位ヶ原山荘に向かう看板があり、「この先は今までのような道はありません。悪天候時はルートを見失いやすいです。最近、単独行の道迷い遭難が多いです。経験・自身のない方は無理せずここで引き返してください。」と、記されています。

この先は森林限界を超えてオープンバーンになりますから、今日のような視界不良時は確実に方角を見失うことになります。方角を見失ってから(迷ってから)戻ろうとしても、もうその時点では戻れませんから、この看板の位置で、この先、進んでもよいのか・撤退すべきかを判断しなければなりません。なお、この看板の上に見える急斜面上端部分が確認できるかどうかが、判断材料の一つとなり、今日のようにかろうじて見える程度の状態なら、撤退したほうが良いと判断しましょう。

 

2017年の位ヶ原急斜面
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2017/04/08) C
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2018/03/31) B
昨年より1メートル近く少ない

 

位ヶ原急斜面の積雪は、昨年より1メートル近く少ない状態ですが、極端に積雪の少なかった一昨年よりも多く、過去数年間で見た時はほぼ例年並みの状況です。

 

朝からの降雪で吹き溜まりでは10センチほどの積雪

朝から降り始めた雪は、吹き溜まりではすでに10センチほどの積雪になっているものの...

全体的には硬いバーンにうっすらと シールが効かないほどのアイスバーン

全体的にはご覧のような硬いバーンにうっすらと積もっている程度にすぎません。特に6番標識から上部はバーンの硬さがひどくなり、シールで登ることが困難な状態になってきました。ツアーコース内では入口急斜面の上端部分を除いては、シールが効かないほどのアイスバーンになることは珍しいことです。

 

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

【位ヶ原】

今回の位ヶ原は完全アイスバーン 緩斜面でもシールが効かずアイゼンで登攀

そして、位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原。これより森林限界となります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。

位ヶ原はかなりなだらかな台地ですが、吹き溜まりを除いては、全面にわたってアイスバーン。シールで歩くのはほぼ困難な状態で、アイゼンでの行動となります。

2017年の位ヶ原 −積雪量184センチ
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2017/04/08) C
先週の位ヶ原 − 積雪量164センチ
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2018/03/31) B
今回の位ヶ原
積雪量129センチ、昨年より55センチ少ない

今回の位ヶ原の積雪量は129センチ。先週より35センチ減少し、昨年より55センチ少ない状態です。それでも、積雪の少なかった一昨年より、25センチほど多い状態です。

 

先週の位ヶ原 − ハイマツが出現
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2018/03/31) B
今回の位ヶ原 − ハイマツの背丈が高くなる

先週からハイマツが出現するようになってきましたが、今週は幾分ハイマツの背丈が高くなっていますので、全体的に雪解けが進んでいることがわかります。位ヶ原はまだ積雪が増加する時期ですので、今後の降雪に期待したいところです。

 

【翌日4月8日(日)はパウダーになりました】

4月8日(日) − パウダーゾーンが広がるツアーコース

さて、4月7日(土)の吹雪は午後から勢いを増して、乗鞍高原でもしっかりとした降り方となり、日付が変わるころには積雪が5センチ程度に達していました。

そして、翌日4月8日(日)はかなり上質なパウダーとなった模様です。こちらは常連ボーダーの方からいただいた画像ですが、昨日からの降雪がまだ続いていて、積雪は屋根板など深いところで50センチほどに達したようです。

 

前日4月7日(土)の5番標識 4月8日(日)、降雪後の5番標識
少なくとも30センチほど降り積もる

こちらは5番標識を前日と比較した様子。幹の二股部分が隠れていますので、少なくとも30センチ程度は積もったものと考えられます。

 

6番標識 位ヶ原山荘前

おそらく、今シーズン最後のパウダーではないかと思いますが、4月中の位ヶ原・大雪渓はまだ積雪が増加する時期でもあり、過去には山麓の乗鞍高原でも、4月下旬に一面真っ白になるほどの降雪に見舞われたケースもありますので、夏タイヤに交換された方はタイヤチェーンの携行をお忘れなくお願いいたします。

●参考 : 4月下旬、乗鞍高原は全面真っ白にとなり、ツアーコースはパウダーゾーンとなったケース(2013年4月27日)。→ ノリクラ 雪渓カレンダー 2013シーズン プレリリース版 Vol.6(2013/04/25〜29) C

 

<編集後記>

「この冬のツアーコース入山者」

冬のツアーコースに入山される方は、スキーヤー・ボーダー・登山者に分けられますが、これまではスキーヤー・ボーダーの方が大半を占めていました。しかし、今年は登山者の割合が増えてきているように感じます。そこで、問題となって来たのは、スキー場内を歩いて登る人が多くなり、ゲレンデ中央付近を歩いて登る様子が見受けられます。

山頂に到達する時刻から逆算すると、リフト運行開始前から登りはじめないと間に合わないこともあり、ゲレンデを歩かざるを得ないとは思われますが、営業前のゲレンデ圧雪整地作業の車両が走行していることもあり、中央付近を歩くのは危険があります。また、きれいに整備されたゲレンデをツボ足で歩かれてしまうのは、スキーヤー・ボーダーや整備された方々としては心情的な問題があるでしょう。

多様な方々を受け入れることができるノリクラですから、立場の違う方々への配慮も忘れないようにしたいと思います。


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4    -  Next-Page (Vol.3)>>